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フジアート、ロール専用機増設で生産効率最適化

[アナプルナ導入事例]耐擦過性、割れないインクを評価

2023年4月12日ケーススタディ

 「カタチにするチカラ」─ターポリン出力を主体としたサイン&ディスプレイ事業を展開するフジアート(株)(福岡県糟屋郡新宮町上府北3-3-25、狩野健社長)は2022年8月、アグフアの3.2mロール専用UVインクジェットプリンタ「アナプルナRTR3200i LED」を導入。板物の仕事が急増する中で、ロール専用機を増設することで全体の生産効率を最適化するとともに、サイン&ディスプレイ分野に隣接する新たな市場の開拓に乗り出している。

2台のアグフア製大型機が稼働

インク適性に応じたバリエーション

 フジアートの創業は1979年。スクリーン印刷業者として産声をあげた同社は、およそ20年前から、その出力業務においてワイドフォーマットのインクジェット技術に新たな可能性を見出し、現在は主にターポリン(ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドしたビニール系素材)や塩ビシートを使った幕、看板など、サイン&ディスプレイ領域向けの幅広い製品展開を、計10台におよぶインクジェットプリンタによって手掛けている。

 同社の強みとして、この10台のインクジェットプリンタに、ラテックス、溶剤系、UVといったインク適性に応じたバリエーションを持たせていることが挙げられる。また、3.2m幅を中心としたワイドフォーマットプリンタ出力に加え、それに付随する縫製や溶着、ZUNDによるパネルカットなど、多彩な加工工程を自社完結できるのも大きな強みだ。

 得意先は全体の約6割が広告代理店で、そのほか設計事務所や同業の印刷会社など、ほとんどがBtoBのビジネス。また、商圏としては意外にも九州圏より関東圏の方が多いという。このことについて企画室の長瀬拓也室長は、「関東だと距離的にも納期は他社より1日多くかかる。しかし、加工難度の高い仕事や相談事に対して柔軟に対応してきたことで、自然とそもそも案件の多い関東からの仕事が増えた」と説明。これが同社の「ノウハウ」となり、大きな経営資産となっているようだ。

狩野 社長

馬場リーダー(左)と長瀬室長

 同社では、俗に言う「営業」を置かず、すべての工程に精通した「制作営業課」というチームを組織している。クライアントと生産現場を繋ぐ橋渡し役として機能しており、ここでコンサルティングを進めながら仕事の形を決めていく。最近はホームページやSNS経由で入ってくる仕事も多いようだが、これらクライアントに寄り添うフレキシブルな対応が、そのリピート率を高めている。

UV機はアグフア一択

 初代アナプルナの導入は2016年3月。2.5mのメタルハライドランプ仕様だったが、2022年6月には後継機のLED-UV仕様機に入れ替えている。同社のプリンタラインアップにおいてUV機は最も後発だ。UV機導入の狙いは「仕事ありき」ではなく、あくまで板物系の新規事業を模索する中での選択だったという。長瀬室長は、「直接、非吸収素材へのプリントができるUV機には以前から興味があり、調査を行っていた中で『ロールもパネルもできる』というハイブリッド機の存在を知る。それがアグフアのプリンタだった」と当時を振り返る。ハイブリッド仕様の汎用性が決め手となり、新たな事業領域への参入に向けた戦略マシンとして導入された。

 そして2ヵ月後の同年8月、3.2m幅のロールtoロール機「アナプルナRTR3200i LED」を増設している。この背景には需要増に対する「生産能力の増強」はもちろんだが、最大の狙いは専用機化することによる「生産効率の向上」にあった。

 これについてインクジェット課グループリーダーの馬場裕資氏は「展示会ブース関係など、スチレンパネルやアルミ複合板、アクリル板といったパネルプリントの需要が急増したため、それに押し出される形でロールの仕事に『待ち』が発生するようになり、生産効率の面からロール専用機の必要性が生じた。いまでは売上の10%弱が板物になっている」と説明する。

 機種選択においては「いま無くなれば非常に困る」というくらい同社に貢献する2.5m幅機と同じインク、同じ操作性のアグフア製が、当然のことながら最有力候補に。「アグフアの上位機種も検討対象になったが、充分な生産性と後加工適性、そして予算とのバランスによりアナプルナRTR3200i LEDを選択した」(長瀬室長)

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 「カタチにするチカラ」─ターポリン出力を主体としたサイン&ディスプレイ事業を展開するフジアート(株)(福岡県糟屋郡新宮町上府北3-3-25、狩野健社長)は2022年8月、アグフアの3.2mロール専用UVインクジェットプリンタ「アナプルナRTR3200i LED」を導入。板物の仕事が急増する中で、ロール専用機を増設することで全体の生産効率を最適化するとともに、サイン&ディスプレイ分野に隣接する新たな市場の開拓に乗り出している。

2台のアグフア製大型機が稼働

インク適性に応じたバリエーション

 フジアートの創業は1979年。スクリーン印刷業者として産声をあげた同社は、およそ20年前から、その出力業務においてワイドフォーマットのインクジェット技術に新たな可能性を見出し、現在は主にターポリン(ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドしたビニール系素材)や塩ビシートを使った幕、看板など、サイン&ディスプレイ領域向けの幅広い製品展開を、計10台におよぶインクジェットプリンタによって手掛けている。

 同社の強みとして、この10台のインクジェットプリンタに、ラテックス、溶剤系、UVといったインク適性に応じたバリエーションを持たせていることが挙げられる。また、3.2m幅を中心としたワイドフォーマットプリンタ出力に加え、それに付随する縫製や溶着、ZUNDによるパネルカットなど、多彩な加工工程を自社完結できるのも大きな強みだ。

 得意先は全体の約6割が広告代理店で、そのほか設計事務所や同業の印刷会社など、ほとんどがBtoBのビジネス。また、商圏としては意外にも九州圏より関東圏の方が多いという。このことについて企画室の長瀬拓也室長は、「関東だと距離的にも納期は他社より1日多くかかる。しかし、加工難度の高い仕事や相談事に対して柔軟に対応してきたことで、自然とそもそも案件の多い関東からの仕事が増えた」と説明。これが同社の「ノウハウ」となり、大きな経営資産となっているようだ。

狩野 社長

馬場リーダー(左)と長瀬室長

 同社では、俗に言う「営業」を置かず、すべての工程に精通した「制作営業課」というチームを組織している。クライアントと生産現場を繋ぐ橋渡し役として機能しており、ここでコンサルティングを進めながら仕事の形を決めていく。最近はホームページやSNS経由で入ってくる仕事も多いようだが、これらクライアントに寄り添うフレキシブルな対応が、そのリピート率を高めている。

UV機はアグフア一択

 初代アナプルナの導入は2016年3月。2.5mのメタルハライドランプ仕様だったが、2022年6月には後継機のLED-UV仕様機に入れ替えている。同社のプリンタラインアップにおいてUV機は最も後発だ。UV機導入の狙いは「仕事ありき」ではなく、あくまで板物系の新規事業を模索する中での選択だったという。長瀬室長は、「直接、非吸収素材へのプリントができるUV機には以前から興味があり、調査を行っていた中で『ロールもパネルもできる』というハイブリッド機の存在を知る。それがアグフアのプリンタだった」と当時を振り返る。ハイブリッド仕様の汎用性が決め手となり、新たな事業領域への参入に向けた戦略マシンとして導入された。

 そして2ヵ月後の同年8月、3.2m幅のロールtoロール機「アナプルナRTR3200i LED」を増設している。この背景には需要増に対する「生産能力の増強」はもちろんだが、最大の狙いは専用機化することによる「生産効率の向上」にあった。

 これについてインクジェット課グループリーダーの馬場裕資氏は「展示会ブース関係など、スチレンパネルやアルミ複合板、アクリル板といったパネルプリントの需要が急増したため、それに押し出される形でロールの仕事に『待ち』が発生するようになり、生産効率の面からロール専用機の必要性が生じた。いまでは売上の10%弱が板物になっている」と説明する。

 機種選択においては「いま無くなれば非常に困る」というくらい同社に貢献する2.5m幅機と同じインク、同じ操作性のアグフア製が、当然のことながら最有力候補に。「アグフアの上位機種も検討対象になったが、充分な生産性と後加工適性、そして予算とのバランスによりアナプルナRTR3200i LEDを選択した」(長瀬室長)

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