「インクが割れない、搬送に蛇行がない」
実際にオペレートしている馬場氏は、アナプルナの評価点について「耐擦過性に優れ、インクが伸びるため割れない」という点を強調している。さらに、「3.2m機では両面印刷を行っているが、搬送の蛇行がないため巻き取りも綺麗で位置合わせも容易。LED-UVは熱が生じないのでメディアが伸びないという利点もある」と付け加える。
一方、長瀬室長は、「品質面では、インクの滲みが少ないため微細な文字や線画の再現性に優れている。プリントの速度と品質のバランスも申し分ない」と語る。
また、同社では3.2m幅機導入と同時に、ワイドフォーマットインクジェットプリンタ向けワークフローRIP「アサンティ」を最新版にアップグレードしている。V5.3では、両面印刷のレイアウトサポート機能や、ホットフォルダに投げ込めば自動で面付け、印刷直前まで進行する自動化機能がさらに強化されている。
「カット機連携も強化され、RIPでZUNDのトンボを自動生成してプリントし、ZUNDでバーコードを読んで、自動的にカットするという一連の流れが整った」(長瀬室長)
2つのカスタマイズ
同社のアナプルナには2つのカスタマイズが施されている。まず、2.5m幅のハイブリッド機では、長尺のロールを安定的にプリントできるようにシワを取る機構が追加されている。一方、2台のアナプルナともに、タイマーでバキュームをOFFにできる仕組みが付与されている。
「夜間運転で、例えば夜中の2時にプリントが終了したとしても、バキュームは吸引し続け、そこから出社までの時間、機械に負荷が掛かった状態が続く。そこでプリントが終了するくらいのタイミングで、自動的にバキュームをOFFにできるタイマー機能をお願いした。他社メーカーなら断られているかもしれないが、アグフアは快く対応いただいた」(長瀬室長)
同社では、顧客から支給されるもの、いわゆる持ち込み品にプリント出力する仕事も多い。パネルや看板、紙、布素材、さらには木材や古材など、「これにプリントできますか」という全国からの相談にできる限り応じており、この取り組みが同社の知名度をさらに引き上げたと言える。
「UVとはいえ、もちろんインクが載らないものもある。持ち込み品は、『1点もの』であるため、リスクを理解いただいた上で受けている。非常に神経を尖らせる仕事だが、利益率の高いサービスになっている」(馬場氏)
そのなかでも、とくにキャンバスへのプリントは年々倍増傾向にある。アナプルナには、グロス、マットの表現を、UV照射のタイミングをずらすことで切り換えることができる機能があり、アート関連のキャンバスプリントの表現バリエーションとして非常に高い評価を得ている。この点も「アナプルナ選択」のひとつの決め手になっている。
ARに着手
主力のターポリンの単価が下落傾向にある中、今後はどれだけ付加価値を提供できるか。そこでアナプルナは大きな武器になる。その代表的な機能が「白インクの厚盛り」による「立体表現」だ。
「平面から立体の表現が可能になるこれらの機能、技術に大きな可能性を感じている。『2.5D印刷』と称されるこの立体表現にも挑戦したい」(長瀬室長)
また、ZUNDをさらに活用し、什器やパッケージ分野への展開も考えられるだろう。
一方、今年はAR(拡張現実)にも着手する計画だ。「アート作品や等身大パネルにAR」といったアイデアはあるものの、まだサイン&ディスプレイの世界では、あまり手が付けられていない分野だ。同社では、これらデジタルを活用した機能やビジュアルでもプリント事業を拡張していく考えだ。これら展開を支える出力デバイスとして、アナプルナが担うべき役割は大きい。
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「インクが割れない、搬送に蛇行がない」
実際にオペレートしている馬場氏は、アナプルナの評価点について「耐擦過性に優れ、インクが伸びるため割れない」という点を強調している。さらに、「3.2m機では両面印刷を行っているが、搬送の蛇行がないため巻き取りも綺麗で位置合わせも容易。LED-UVは熱が生じないのでメディアが伸びないという利点もある」と付け加える。
一方、長瀬室長は、「品質面では、インクの滲みが少ないため微細な文字や線画の再現性に優れている。プリントの速度と品質のバランスも申し分ない」と語る。
また、同社では3.2m幅機導入と同時に、ワイドフォーマットインクジェットプリンタ向けワークフローRIP「アサンティ」を最新版にアップグレードしている。V5.3では、両面印刷のレイアウトサポート機能や、ホットフォルダに投げ込めば自動で面付け、印刷直前まで進行する自動化機能がさらに強化されている。
「カット機連携も強化され、RIPでZUNDのトンボを自動生成してプリントし、ZUNDでバーコードを読んで、自動的にカットするという一連の流れが整った」(長瀬室長)
2つのカスタマイズ
同社のアナプルナには2つのカスタマイズが施されている。まず、2.5m幅のハイブリッド機では、長尺のロールを安定的にプリントできるようにシワを取る機構が追加されている。一方、2台のアナプルナともに、タイマーでバキュームをOFFにできる仕組みが付与されている。
「夜間運転で、例えば夜中の2時にプリントが終了したとしても、バキュームは吸引し続け、そこから出社までの時間、機械に負荷が掛かった状態が続く。そこでプリントが終了するくらいのタイミングで、自動的にバキュームをOFFにできるタイマー機能をお願いした。他社メーカーなら断られているかもしれないが、アグフアは快く対応いただいた」(長瀬室長)
同社では、顧客から支給されるもの、いわゆる持ち込み品にプリント出力する仕事も多い。パネルや看板、紙、布素材、さらには木材や古材など、「これにプリントできますか」という全国からの相談にできる限り応じており、この取り組みが同社の知名度をさらに引き上げたと言える。
「UVとはいえ、もちろんインクが載らないものもある。持ち込み品は、『1点もの』であるため、リスクを理解いただいた上で受けている。非常に神経を尖らせる仕事だが、利益率の高いサービスになっている」(馬場氏)
そのなかでも、とくにキャンバスへのプリントは年々倍増傾向にある。アナプルナには、グロス、マットの表現を、UV照射のタイミングをずらすことで切り換えることができる機能があり、アート関連のキャンバスプリントの表現バリエーションとして非常に高い評価を得ている。この点も「アナプルナ選択」のひとつの決め手になっている。
ARに着手
主力のターポリンの単価が下落傾向にある中、今後はどれだけ付加価値を提供できるか。そこでアナプルナは大きな武器になる。その代表的な機能が「白インクの厚盛り」による「立体表現」だ。
「平面から立体の表現が可能になるこれらの機能、技術に大きな可能性を感じている。『2.5D印刷』と称されるこの立体表現にも挑戦したい」(長瀬室長)
また、ZUNDをさらに活用し、什器やパッケージ分野への展開も考えられるだろう。
一方、今年はAR(拡張現実)にも着手する計画だ。「アート作品や等身大パネルにAR」といったアイデアはあるものの、まだサイン&ディスプレイの世界では、あまり手が付けられていない分野だ。同社では、これらデジタルを活用した機能やビジュアルでもプリント事業を拡張していく考えだ。これら展開を支える出力デバイスとして、アナプルナが担うべき役割は大きい。
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