髙見紙化工所、表面化工+PODで新事業〜加工適性技術で差別化
2023年10月24日企業・経営
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エンドレスコートやPP貼、箔押・浮出、エンボス加工、合紙など、広範囲にわたる表面化工技術を持つ(株)髙見紙化工所(本社/大阪市平野区加美北1-12-22、髙見正行社長、電話06-6754-7755)は今年3月、スペシャルカラートナー対応のリコー製カラープロダクションプリンタ「RICOH Pro C7200SHT」を導入。5ヵ月にわたる加工適性の検証を経て、9月から「表面化工技術を活かしたオンデマンド印刷POD」という新規事業で本格的に受注を開始した。
同社が新たにPOD事業に乗り出した背景には、POD印刷物の加工適性における課題があった。同社が受注する表面化工の仕事でも、「フィルムがつかない、はじく」など、トナーの性能に起因するトラブルが頻発。そこで「表面化工技術からアプローチしたPOD事業が実現すれば需要があるのではないか」と考えたのがひとつのきっかけである。
この構想は、髙見社長がここ数年温めてきたもので、5年前に事務所を隣接地に移転し、その後、倉庫代わりに使用してきた旧事務所の有効活用という意味でも、POD事業構想への期待を膨らませてきた。そしてトナー技術の向上とともに、奇しくも新型コロナウイルス感染症問題が髙見社長の背中を押した形だ。
「今回の新事業は、事業復活支援金による公助を活用。プリンタというハードだけではなく、建物の改装までを含めた助成が得られたことで、当社に取っては『渡りに船』だった」(髙見社長)
一方、プリンタ機種の選択については、髙見社長自らがイベントに足を運び、様々なPODサンプルを取り寄せて表面化工や箔押しの加工適性を研究。結果として同社の加工に最も適したトナーがリコー製だったということだ。2022年末の助成金採択を受けて、今年1月から旧事務所の改装に着手。3月末にスペシャルカラートナー対応のカラープロダクションプリンタ「RICOH Pro C7200SHT」が設置された。
今回のPOD事業において、同社の最大の強みとなるのが、言うまでもなく「表面化工技術を活かしたPOD」ということになる。それだけにプリンタ設置から5ヵ月を費やして徹底的に加工テストを繰り返したという。そしてようやく技術検証を終え、受注体制が整ったことで9月から本格的に受注を開始した。
同社が技術検証で重視したポイントは、POD後の表面化工や箔押しはもちろん、さらにその上からPODで印刷するという一連の工程における加工適性だ。例えば、POD+マット調表面化工の上にクリアトナーをのせる、あるいはPODでクリアトナーを印刷後に箔を転写し、その上からさらにPOD印刷するなど、トナーだけでは表現できないようなメタリック感や質感を表現することで、表面化工会社独自の存在感を打ち出していく方針である。
一方、同社の顧客はほぼ100%印刷会社。今回のPOD事業もあくまで数百社ある既存顧客向けのサービスと位置付けている。従って基本的には表面化工の工程をともなう受注に注力していくが、その他、新規でもスペシャルトナー(ネオンピンク/ネオンイエロー/クリアー/ホワイトが切替可能)を使った付加価値の高い印刷受注などには臨機応変に対応していく考えだ。
「狙いはあくまで『使い勝手の良い表面化工屋』。PDFデータを入稿するだけで、印刷+表面化工を安心して発注いただける環境を提供することにある」と髙見社長。また、「加工知識に長けた当社営業マンが、表面化工側から印刷物を提案することもできる」としている。
将来的には、この事業において製本などの既存設備の活用やCAD導入によるパッケージのサンプルづくりなど、PODに派生するものを巻き込んだ事業として広げていく考えだ。
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同社が新たにPOD事業に乗り出した背景には、POD印刷物の加工適性における課題があった。同社が受注する表面化工の仕事でも、「フィルムがつかない、はじく」など、トナーの性能に起因するトラブルが頻発。そこで「表面化工技術からアプローチしたPOD事業が実現すれば需要があるのではないか」と考えたのがひとつのきっかけである。
この構想は、髙見社長がここ数年温めてきたもので、5年前に事務所を隣接地に移転し、その後、倉庫代わりに使用してきた旧事務所の有効活用という意味でも、POD事業構想への期待を膨らませてきた。そしてトナー技術の向上とともに、奇しくも新型コロナウイルス感染症問題が髙見社長の背中を押した形だ。
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