エイエイピー、「デジタル×紙」でイベント事業の高付加価値化へ[バリアブル印刷ソフトFormMagic採用事例]
処理スピードと汎用性〜DM制作のフロント側を強化
2023年12月26日ケーススタディ
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ホットフォルダ運用で自動化
3ヵ月以上を費やして試用版で徹底的に検証を行ったというプリントメディア事業部 商品開発 副課長の久保田和弥氏は、「PDFデータ運用統一化により作業の効率化を図る方針を打ち出していた当社にとって、PPML(Personalized Print Markup Language)データを書き出していた他社システムによる運用は、大きなボトルネックになっていたのは確かだ。FormMagicの採用で、PDFデータ運用の統一化を実現し、作業の煩雑さがなくなり、演算スピードも劇的に向上した」と評価する。
とくに、久保田氏が「尖った機能」と表現するホットフォルダ、外字の取り扱い易さには大きな可能性を感じたという。
「『できることが増えそう』と感じた。なかでもホットフォルダ運用によるワークフローの自動化は非常に直感的で分かり安い構造になっている。定期案件はリストを投げ入れれば自動でバリアブル印刷データを生成。ホテルの会員向けバースデーカード(3万人)などの定期案件は、このホットフォルダで運用している」(久保田氏)
また、大量のDM制作において最も注意が必要な「外字の取り扱い」を簡素化しているのも特徴のひとつ。FormMagicでは、専用ソフトでなければ閲覧できなかった外字の文字デザインやコードを一覧で確認でき、簡単操作でインストールできるようになっている。
「FormMagicの導入によって、JetPressでは敬遠していたバリアブルのジョブにも挑戦できるようになった。IridesseとJetPressの棲み分けは基本、クライアントの予算やロット、品質要求、また対応用紙などが基準になるが、JetPressでバリアブルデータを多面付けした方が効率の良い案件もある。そこは柔軟に使い分けている」(狩野氏)
「速く正確なバリアブル」を強みに
同社では、デジタル印刷機の色域の広さを活かして、近隣のデザイン学校の生徒とのコラボレーションにより、「DMを作ろう」という活動も行っている。これは、女性社員の事業提案から始まったもので、SDGsや社会、地域貢献という側面、あるいはDMの需要喚起、学生の教育、将来のビジネスパートナーづくりなど、様々な可能性を視野に入れた取り組みとして期待が高まっている。DM事業の課題として久保田氏は、「正確で整ったリストの収集・生成」を挙げている。
「提供されるリストの多くが整理されていない状態で入稿されるため、それを自社でハンドリングすると作業効率の低下だけではなく、リスクも上がる。いずれAIが解決してくれるかもしれないが、いまはリスト収集の段階でしかるべきシステムの必要性を感じている。ここでSEを擁するグループ会社との連携が有効になる。『速く正確なバリアブル』。これも当社の強みにしたい」(久保田氏)
さらに久保田氏は、「デジタル施策は効果が測定できる。これを突き詰めれば、まだまだ印刷物の効果が再認識されるような気がする。もっと『デジタル×紙メディア』を提案できるひとつのきっかけにもなるのではないか」との見方を示している。
一方、今後の方針について狩野氏は、「ホットフォルダ運用を上手く活用することで、さらなる効率化、省人化を目指す。また、FormMagicの採用によって、オフセット印刷の置き換え運用に留まっているJetPressを、B2判デジタルプレスの強みを活かした運用に切り替え、デジタル事業とのシナジーを創出していきたい」と語る。
最後に土屋専務は、「バリアブル印刷は、イベントや販促の効果測定との親和性が高い。『デジタル×紙メディア』という試みがより認知されることで、我々の印刷ビジネスにおけるバリアブル商材の比率は増えてくると確信している」と語る。
今回の取材から、印刷会社はデジタルと連携した効果的な紙DMの提案を行うことで、クライアントのビジネス拡大に貢献し、新たな印刷事業領域の商機を得ることができることを感じさせる。その紙DM制作のフロント側で、印刷会社の事業として成立されるだけの生産処理能力と多彩な機能による汎用性を提供するのが「FormMagic」である。
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ホットフォルダ運用で自動化
3ヵ月以上を費やして試用版で徹底的に検証を行ったというプリントメディア事業部 商品開発 副課長の久保田和弥氏は、「PDFデータ運用統一化により作業の効率化を図る方針を打ち出していた当社にとって、PPML(Personalized Print Markup Language)データを書き出していた他社システムによる運用は、大きなボトルネックになっていたのは確かだ。FormMagicの採用で、PDFデータ運用の統一化を実現し、作業の煩雑さがなくなり、演算スピードも劇的に向上した」と評価する。
とくに、久保田氏が「尖った機能」と表現するホットフォルダ、外字の取り扱い易さには大きな可能性を感じたという。
「『できることが増えそう』と感じた。なかでもホットフォルダ運用によるワークフローの自動化は非常に直感的で分かり安い構造になっている。定期案件はリストを投げ入れれば自動でバリアブル印刷データを生成。ホテルの会員向けバースデーカード(3万人)などの定期案件は、このホットフォルダで運用している」(久保田氏)
また、大量のDM制作において最も注意が必要な「外字の取り扱い」を簡素化しているのも特徴のひとつ。FormMagicでは、専用ソフトでなければ閲覧できなかった外字の文字デザインやコードを一覧で確認でき、簡単操作でインストールできるようになっている。
「FormMagicの導入によって、JetPressでは敬遠していたバリアブルのジョブにも挑戦できるようになった。IridesseとJetPressの棲み分けは基本、クライアントの予算やロット、品質要求、また対応用紙などが基準になるが、JetPressでバリアブルデータを多面付けした方が効率の良い案件もある。そこは柔軟に使い分けている」(狩野氏)
「速く正確なバリアブル」を強みに
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DM事業の課題として久保田氏は、「正確で整ったリストの収集・生成」を挙げている。
「提供されるリストの多くが整理されていない状態で入稿されるため、それを自社でハンドリングすると作業効率の低下だけではなく、リスクも上がる。いずれAIが解決してくれるかもしれないが、いまはリスト収集の段階でしかるべきシステムの必要性を感じている。ここでSEを擁するグループ会社との連携が有効になる。『速く正確なバリアブル』。これも当社の強みにしたい」(久保田氏)
さらに久保田氏は、「デジタル施策は効果が測定できる。これを突き詰めれば、まだまだ印刷物の効果が再認識されるような気がする。もっと『デジタル×紙メディア』を提案できるひとつのきっかけにもなるのではないか」との見方を示している。
一方、今後の方針について狩野氏は、「ホットフォルダ運用を上手く活用することで、さらなる効率化、省人化を目指す。また、FormMagicの採用によって、オフセット印刷の置き換え運用に留まっているJetPressを、B2判デジタルプレスの強みを活かした運用に切り替え、デジタル事業とのシナジーを創出していきたい」と語る。
最後に土屋専務は、「バリアブル印刷は、イベントや販促の効果測定との親和性が高い。『デジタル×紙メディア』という試みがより認知されることで、我々の印刷ビジネスにおけるバリアブル商材の比率は増えてくると確信している」と語る。
今回の取材から、印刷会社はデジタルと連携した効果的な紙DMの提案を行うことで、クライアントのビジネス拡大に貢献し、新たな印刷事業領域の商機を得ることができることを感じさせる。その紙DM制作のフロント側で、印刷会社の事業として成立されるだけの生産処理能力と多彩な機能による汎用性を提供するのが「FormMagic」である。
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