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エイエイピー、「デジタル×紙」でイベント事業の高付加価値化へ[バリアブル印刷ソフトFormMagic採用事例]

処理スピードと汎用性〜DM制作のフロント側を強化

2023年12月26日ケーススタディ

 「人と、地域と、共鳴する。」──さまざまなメディアを駆使したプロモーション支援を手がける(株)エイエイピー(本社/静岡市駿河区森下町3-6、土屋康一社長)は2023年1月、ダイレクトメール(DM)をはじめとしたバリアブル印刷データの生成に、富士フイルムの「FormMagic」を採用。その処理スピードと汎用性を活かし、イベントプロモーション事業のさらなる高付加価値化に乗り出している。

FormMagicのオペレーションの様子

イベントとバリアブルDMの親和性

 同社の創業は1953年。熱海の旅館で支配人をつとめていた初代社長が、印刷物で旅館をPRしようとするものの「高品質な印刷物を依頼できる印刷会社がない」という現状を察し、自らが「熱海美術印刷社」を立ち上げ、旅館向け印刷業をはじめたのがその原点である。

 当初は、カタログやパンフレットなどの商業印刷物が中心だったが、同社に対する旅館の要望は、次第に館内・客室の備品の販売や紙袋・箸袋・お膳紙などの消耗品類、各種イベントの企画・運営などに広がり、この要望に寄り添うことで旅館の集客支援をおこなう「広告商社」へと業容を拡大。1968年には「アド・アート・プランニング」の頭文字を取って現在の「エイエイピー」に改称し、名実ともに総合的な広告宣伝分野に事業の軸足を置くことになる。現在では、ショッピングセンターや交通関連、メーカーほか一般企業の広報宣伝、販売支援も手がけ、ホテル旅館コンサルタントの(株)リョケン、Web・映像フォトの(株)プロフィックスといったグループ会社と連携しながら、イベントプロモーションやメディアプラン、クリエイティブ、空間演出、映像・動画制作、ウェブサイト制作、ネット広告、システム開発など、デジタル事業を積極的に展開。現在では売上高に占める印刷物の割合もおよそ1/4になっているという。同社専務取締役の土屋範之氏は、「プロモーションツールは日々、進化、多様化している。その『引き出し』を数多く持っていること。これが当社最大の強みである」と語る。

 現在、全国に7支店・3営業所を構え、グループ全体の社員数はおよそ400名。うち「アドプランナー」と呼ばれる営業が約200名、そして約70名のクリエイター・デザイナーを擁している。

 同社のDMを含む印刷事業を担うのは、約60名で組織するプリントメディア事業部。そもそも旅館には、宿泊客へのお礼状や四季折々の案内状など多くのDM需要があることから、15年ほど前からCRM(Customer Relationship Management)の考え方にもとづき、DMのさらなる需要喚起に注力してきた同社。一方で、2020年3月には、バリアブル印刷物を「デジタル印刷ならではの商品」として、より付加価値を高めていくことを目的に、富士フイルムのB2判枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を導入。同社はこれをひとつのきっかけにバリアブル印刷商材へのアプローチを一層強化している。

 プリントメディア事業部の技術担当部長である狩野真司氏は、「『広告会社』という立ち位置からバリアブル印刷物を考えた時、我々がクライアントに提案するイベントとバリアブルDMは非常に親和性が高い」とし、あくまでDMはイベントプロモーションの中のひとつのツールであることを強調している。

左から、土屋専務、狩野氏、久保田氏

高速でバリアブルPDFを生成

 バリアブル商材を強化する上で、ひとつの課題となっていたのがフロント側のシステムだ。

 同社のバリアブル印刷およびDM事業の出力デバイスは、富士フイルムビジネスイノベーションのプロダクションカラープリンター「Iridesse Production Press」と「JetPress」。そして、そのフロント側のバリアブル印刷データ生成には他社システムを採用していたが、このシステムと「JetPress」との間で課題があったという。

 狩野氏は、「従来システム+JetPressで約1万種類のQRコードのバリアブル印刷テストを行った際、演算に50分程度かかった。従来システムは単頁のPDFは書き出せるものの、面付けされたPDFを書き出せないため、間に富士フイルムのワークフローシステム『XMF』を介して面付け作業を行っていたが、ここでの演算に時間がかかっていた」と振り返る。そんな矢先に従来システムの「販売・サポート終了」のアナウンスが...。これを機に、すでにテストを進めていた富士フイルムのバリアブル印刷ソフト「FormMagic」の検証を急いだ。

 「FormMagic」は、単なる宛名書き・差し換えソフトの領域を超え、宣伝効果の高いバリアブルプリントデータを作成できるプロフェッショナル向けソフトウェア。流し込む項目ごとにデータの有無やフラグを判断してレイアウトを可変させる「自動判断組」や、グラフ作成、イメージバリアブルなどにも対応。顧客情報に合わせて商品や表現を変えるOne to Oneの分野において、もともと自動組版ソフトとして開発された「FormMagic」は、リッチデザインが求められる印刷物の制作に適している。

 「FormMagic」が他製品に比べて優れている大きな特徴は、高生産性(処理スピード)と様々な要素をバリアブル生成できる汎用性だ。

 「FormMagic」の高生産性は、PDFを生成するエンジンの性能に起因する。独自のフォーマットでバリアブル処理を高速にシミュレートし、一発でPDFを生成する仕組みを持つ。例えば、ハガキの宛名の場合、1万件のPDFデータを5分以内に生成できるという。

 前記の「演算に50分程度かかった」という件について、富士フイルムグラフィックソリューションズによると「FormMagicは高画質な台紙、パーツ等、DM紙面で繰り返し発生する画像をRIP演算に最適化された形でPDFを書き出す。そのため演算時間に大きな差が付く」としている。

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FormMagicのオペレーションの様子

イベントとバリアブルDMの親和性

 同社の創業は1953年。熱海の旅館で支配人をつとめていた初代社長が、印刷物で旅館をPRしようとするものの「高品質な印刷物を依頼できる印刷会社がない」という現状を察し、自らが「熱海美術印刷社」を立ち上げ、旅館向け印刷業をはじめたのがその原点である。

 当初は、カタログやパンフレットなどの商業印刷物が中心だったが、同社に対する旅館の要望は、次第に館内・客室の備品の販売や紙袋・箸袋・お膳紙などの消耗品類、各種イベントの企画・運営などに広がり、この要望に寄り添うことで旅館の集客支援をおこなう「広告商社」へと業容を拡大。1968年には「アド・アート・プランニング」の頭文字を取って現在の「エイエイピー」に改称し、名実ともに総合的な広告宣伝分野に事業の軸足を置くことになる。現在では、ショッピングセンターや交通関連、メーカーほか一般企業の広報宣伝、販売支援も手がけ、ホテル旅館コンサルタントの(株)リョケン、Web・映像フォトの(株)プロフィックスといったグループ会社と連携しながら、イベントプロモーションやメディアプラン、クリエイティブ、空間演出、映像・動画制作、ウェブサイト制作、ネット広告、システム開発など、デジタル事業を積極的に展開。現在では売上高に占める印刷物の割合もおよそ1/4になっているという。同社専務取締役の土屋範之氏は、「プロモーションツールは日々、進化、多様化している。その『引き出し』を数多く持っていること。これが当社最大の強みである」と語る。

 現在、全国に7支店・3営業所を構え、グループ全体の社員数はおよそ400名。うち「アドプランナー」と呼ばれる営業が約200名、そして約70名のクリエイター・デザイナーを擁している。

 同社のDMを含む印刷事業を担うのは、約60名で組織するプリントメディア事業部。そもそも旅館には、宿泊客へのお礼状や四季折々の案内状など多くのDM需要があることから、15年ほど前からCRM(Customer Relationship Management)の考え方にもとづき、DMのさらなる需要喚起に注力してきた同社。一方で、2020年3月には、バリアブル印刷物を「デジタル印刷ならではの商品」として、より付加価値を高めていくことを目的に、富士フイルムのB2判枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を導入。同社はこれをひとつのきっかけにバリアブル印刷商材へのアプローチを一層強化している。

 プリントメディア事業部の技術担当部長である狩野真司氏は、「『広告会社』という立ち位置からバリアブル印刷物を考えた時、我々がクライアントに提案するイベントとバリアブルDMは非常に親和性が高い」とし、あくまでDMはイベントプロモーションの中のひとつのツールであることを強調している。

左から、土屋専務、狩野氏、久保田氏

高速でバリアブルPDFを生成

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 同社のバリアブル印刷およびDM事業の出力デバイスは、富士フイルムビジネスイノベーションのプロダクションカラープリンター「Iridesse Production Press」と「JetPress」。そして、そのフロント側のバリアブル印刷データ生成には他社システムを採用していたが、このシステムと「JetPress」との間で課題があったという。

 狩野氏は、「従来システム+JetPressで約1万種類のQRコードのバリアブル印刷テストを行った際、演算に50分程度かかった。従来システムは単頁のPDFは書き出せるものの、面付けされたPDFを書き出せないため、間に富士フイルムのワークフローシステム『XMF』を介して面付け作業を行っていたが、ここでの演算に時間がかかっていた」と振り返る。そんな矢先に従来システムの「販売・サポート終了」のアナウンスが...。これを機に、すでにテストを進めていた富士フイルムのバリアブル印刷ソフト「FormMagic」の検証を急いだ。

 「FormMagic」は、単なる宛名書き・差し換えソフトの領域を超え、宣伝効果の高いバリアブルプリントデータを作成できるプロフェッショナル向けソフトウェア。流し込む項目ごとにデータの有無やフラグを判断してレイアウトを可変させる「自動判断組」や、グラフ作成、イメージバリアブルなどにも対応。顧客情報に合わせて商品や表現を変えるOne to Oneの分野において、もともと自動組版ソフトとして開発された「FormMagic」は、リッチデザインが求められる印刷物の制作に適している。

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 「FormMagic」の高生産性は、PDFを生成するエンジンの性能に起因する。独自のフォーマットでバリアブル処理を高速にシミュレートし、一発でPDFを生成する仕組みを持つ。例えば、ハガキの宛名の場合、1万件のPDFデータを5分以内に生成できるという。

 前記の「演算に50分程度かかった」という件について、富士フイルムグラフィックソリューションズによると「FormMagicは高画質な台紙、パーツ等、DM紙面で繰り返し発生する画像をRIP演算に最適化された形でPDFを書き出す。そのため演算時間に大きな差が付く」としている。

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