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コダックジャパン、オフとデジタル両輪で印刷業界にコミット

2024年1月16日スペシャリスト

 ワールドワイドでコダックの事業全体の7〜8割を占める印刷関連事業。プレート、CTP機器、ワークフローを三位一体とするオフセット印刷事業と、「唯一無二」の尖った製品ポートフォリオを持つインクジェット事業を両輪として、2024年はより印刷業界へのコミットメントを強化していく方針を表明している。そこで今回、コダックジャパン・プリント事業部プリント営業本部の中川武志本部長と、同プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原一郎本部長に、それぞれの分野における昨年の実績・成果と今年の具体的なソリューションについて語ってもらった。

中川武志本部長(右)と河原一郎本部長

出荷の6割が無処理版に

 プリント事業部プリント営業本部 中川武志本部長


 ワールドワイドにおけるコダック社の収益性は、印刷関連事業にコミットメントするなかで大きく改善しており、ジャパンにおいても昨年の業績は堅調に推移したと言える。

 当社としてトラディショナルな事業と位置付けるオフセット印刷分野のポートフォリオは、大きく分けてプレート、CTP機器、ワークフローになるが、とくにプレート事業において、一昨年のIGAS2022で発表した「SONORA XTRA」がユーザー数を順調に伸ばした。同プレートは、「視認性」「感度」「耐傷性」「耐刷性」の4点で性能が向上しており、加えてコダック独自の機上現像技術である「Press Ready Technology」に機上現像時の挙動を改善する新技術を導入、広範囲の刷り出し条件に対応可能な機上現像性も実現している。これらの機能改善が市場で受け入れられ、我々のプレートビジネスを下支えした。現在、商業印刷分野で累計700社超の採用実績があり、コダックのプレート出荷量ベースで約6割が無処理化されている。

 一方、昨年は設備投資における補助金への依存度が高まるなかで、CTP出力機事業は難しい局面にあったが、昨年8月末に三菱王子紙販売(株)との協業を正式に発表した製版フィルム出力ソリューションは、当社に新たな市場をもたらした。

 現在、スクリーン印刷やフレキソ印刷、プリント基板製造などの分野では、製版用フィルムが使用されているケースが多くあり、近年ではイメージセッターの老朽化や部品供給の終了などが課題となっている。これに対し、同ソリューションは、コダックのプレートセッター「TRENDSETTER」で現像処理薬品を必要としないドライ方式の三菱製紙サーマルレーザーフィルム「TRF-IR830」を出力し、これらの課題を解決するもの。このチャレンジは、プレートセッターの販売に大きく寄与した。

 ワークフロー事業では、機能による差別化が難しくなるなか、PRINERGYのサブスクリプションモデル、およびクラウドソリューションを訴求。とくに昨年は、サブスクリプション契約が増加した。ただ、クラウドに関しては、まだ「オンプレミスのサーバーは置いておきたい」という声が根強い。経済産業省が「DXレポート」内で提示したキーワード「2025年の崖」(DXを推進できず国際競争力を失う問題)は必ず印刷業界にも訪れる。今年は印刷業のDX対応のきっかけともなり得る「ワークフローのクラウド化」も積極的に提唱していきたい。

 今年も「印刷業界にコミットする」という姿勢を貫き、業界に貢献していく。

SONORA XTRA

 オフセット印刷分野では、「SONORAビジネスのさらなる飛躍」「製版フィルム出力ソリューションを含めた省力化、省人化CTPの訴求」「ワークフローのクラウド化」がテーマになる。決してその取り組みに「ウルトラC」があるわけではなく、積み上げてきたビジネスを着実に上積みしていく。これらプレート、CTP、ワークフローは三位一体であり、これらを自社製品でカバーする「総合力」がコダックの最大の武器である。

 印刷業界を俯瞰的に見たとき、需要の落ち込みやファイナンスの問題などもあるが、根本的には人材確保が大きな課題だと感じている。承継問題も含め、この「人材確保」が大きな経営リスクになってくるだろう。

 一方、我々メーカー・ベンダーという売り手側でも人材面、とくに若手の人材確保が課題のように思える。DTP化が進んだ90年代を振り返ると、売り手側の若い力が市場を動かす一助になっていたことは間違いない。今後、オフセット印刷からデジタル印刷へのシフトが進むなかで、印刷業界と資機材供給側のいずれにも若い力が必要であり、そのベースとして業界の価値を高めていく努力が必要ではないだろうか。業界の未来を語る上で、デジタル・ITに敏感でスキルを持った若い人材の確保、育成は急務である。

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2024年1月16日スペシャリスト

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 ワールドワイドでコダックの事業全体の7〜8割を占める印刷関連事業。プレート、CTP機器、ワークフローを三位一体とするオフセット印刷事業と、「唯一無二」の尖った製品ポートフォリオを持つインクジェット事業を両輪として、2024年はより印刷業界へのコミットメントを強化していく方針を表明している。そこで今回、コダックジャパン・プリント事業部プリント営業本部の中川武志本部長と、同プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原一郎本部長に、それぞれの分野における昨年の実績・成果と今年の具体的なソリューションについて語ってもらった。

中川武志本部長(右)と河原一郎本部長

出荷の6割が無処理版に

 プリント事業部プリント営業本部 中川武志本部長


 ワールドワイドにおけるコダック社の収益性は、印刷関連事業にコミットメントするなかで大きく改善しており、ジャパンにおいても昨年の業績は堅調に推移したと言える。

 当社としてトラディショナルな事業と位置付けるオフセット印刷分野のポートフォリオは、大きく分けてプレート、CTP機器、ワークフローになるが、とくにプレート事業において、一昨年のIGAS2022で発表した「SONORA XTRA」がユーザー数を順調に伸ばした。同プレートは、「視認性」「感度」「耐傷性」「耐刷性」の4点で性能が向上しており、加えてコダック独自の機上現像技術である「Press Ready Technology」に機上現像時の挙動を改善する新技術を導入、広範囲の刷り出し条件に対応可能な機上現像性も実現している。これらの機能改善が市場で受け入れられ、我々のプレートビジネスを下支えした。現在、商業印刷分野で累計700社超の採用実績があり、コダックのプレート出荷量ベースで約6割が無処理化されている。

 一方、昨年は設備投資における補助金への依存度が高まるなかで、CTP出力機事業は難しい局面にあったが、昨年8月末に三菱王子紙販売(株)との協業を正式に発表した製版フィルム出力ソリューションは、当社に新たな市場をもたらした。

 現在、スクリーン印刷やフレキソ印刷、プリント基板製造などの分野では、製版用フィルムが使用されているケースが多くあり、近年ではイメージセッターの老朽化や部品供給の終了などが課題となっている。これに対し、同ソリューションは、コダックのプレートセッター「TRENDSETTER」で現像処理薬品を必要としないドライ方式の三菱製紙サーマルレーザーフィルム「TRF-IR830」を出力し、これらの課題を解決するもの。このチャレンジは、プレートセッターの販売に大きく寄与した。

 ワークフロー事業では、機能による差別化が難しくなるなか、PRINERGYのサブスクリプションモデル、およびクラウドソリューションを訴求。とくに昨年は、サブスクリプション契約が増加した。ただ、クラウドに関しては、まだ「オンプレミスのサーバーは置いておきたい」という声が根強い。経済産業省が「DXレポート」内で提示したキーワード「2025年の崖」(DXを推進できず国際競争力を失う問題)は必ず印刷業界にも訪れる。今年は印刷業のDX対応のきっかけともなり得る「ワークフローのクラウド化」も積極的に提唱していきたい。

 今年も「印刷業界にコミットする」という姿勢を貫き、業界に貢献していく。

SONORA XTRA

 オフセット印刷分野では、「SONORAビジネスのさらなる飛躍」「製版フィルム出力ソリューションを含めた省力化、省人化CTPの訴求」「ワークフローのクラウド化」がテーマになる。決してその取り組みに「ウルトラC」があるわけではなく、積み上げてきたビジネスを着実に上積みしていく。これらプレート、CTP、ワークフローは三位一体であり、これらを自社製品でカバーする「総合力」がコダックの最大の武器である。

 印刷業界を俯瞰的に見たとき、需要の落ち込みやファイナンスの問題などもあるが、根本的には人材確保が大きな課題だと感じている。承継問題も含め、この「人材確保」が大きな経営リスクになってくるだろう。

 一方、我々メーカー・ベンダーという売り手側でも人材面、とくに若手の人材確保が課題のように思える。DTP化が進んだ90年代を振り返ると、売り手側の若い力が市場を動かす一助になっていたことは間違いない。今後、オフセット印刷からデジタル印刷へのシフトが進むなかで、印刷業界と資機材供給側のいずれにも若い力が必要であり、そのベースとして業界の価値を高めていく努力が必要ではないだろうか。業界の未来を語る上で、デジタル・ITに敏感でスキルを持った若い人材の確保、育成は急務である。

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