コダックジャパン、オフとデジタル両輪で印刷業界にコミット
2024年1月16日スペシャリスト
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市場創出の新フェーズに
プリント事業部デジタルプリンティング営業本部 河原一郎本部長
コダックのインクジェットヘッドの事業は、その対象がオフセット業界だけでなく、グラビア、フレキソ、データプリントなど多岐にわたり、しかも各分野のリーダー格の企業がターゲットとなる。我々のプリントヘッド事業のターゲットは「150m/分以上の大量生産でバリアブル」となり、今まで多くのプリントヘッドを各業界に導入してきたが、既存マーケットにおいては、ある程度成熟してきているため現在は、新たな市場創出のフェーズと位置づけて活動している。
我々がとくに注力しているのがパッケージ分野。すでにタバコやビールのカートンなどで多くの成功事例があり、最近ではグルアーにインクジェットヘッドを搭載し、これら加工機の処理能力を犠牲にすることなく、高速200m/分以上でQRコードや可変ナンバーを印字するというもの。これは既設のグルワーにヘッドを搭載するスペースがありさえすれば、専用の搬送部を準備する必要がないため、比較的リーズナブルな提案が可能である。この事例では、クライアントの提案を受けたお客様が先行投資でこのシステムを採用。生産性を落とすことなくバリアブル印刷が可能なため、価格競争力があり、新規受注につながった。現在我々は、このようなアプリケーション開発に注力している。
また、コダックではパーソナルケアインクも開発・発売している。例えば、紙おむつへの印刷の場合、フレキソで印刷・スリットした後にオフラインで成形するのが一般的なフローであるが、成形する機械にインクジェットヘッドを搭載することで、成形しながらフルカラー印刷することが可能となる。このソリューションは、米国の大手パーソナルケア企業で採用されており、世界中で大量のPROSPERヘッドの導入が進んでいる。
コダックのインクジェットヘッドの事業は、大量生産を必要とする層がターゲットになり、その稼働率も高いため、消耗品ビジネスはコロナ前を上回る成長をみせている。
一方、デジタルプレスの事業では、昨年ようやく高速デジタル輪転印刷機「PROSPER ULTRA 520プレス」を発売し、プロモーションを開始した。
PROSPER ULTRA 520プレスは、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを搭載した初のコダックオリジナルのデジタルインクジェット輪転機。600×1,800dpiの解像度、150メートル/分の生産速度を誇り、オフセットに匹敵する200線相当の印刷品質を提供。グロスコート紙にも高いインクカバレッジでの印刷を実現する。
このようにPROSPER ULTRA 520プレスは、商業印刷の世界において「品質」が大きな壁となっていたインクジェットプレス分野に「風穴」をあける「唯一無二」の存在と位置付けている。従来オフセットで印刷されていた高カバレッジの商業印刷物のリプレイスがPROSPER ULTRA 520プレスのテーマになる。
そこで昨年からオフセット印刷分野の営業チームの若手を中心に、デジタル印刷に関する教育プログラムを実施。これまで異なる市場だったオフセット印刷事業とインクジェット事業でシナジー創出にも乗り出している。
PROSPER ULTRA 520プレスは昨年8月から米国トップ5に入る商業印刷会社でベータテストの段階に入っている。この会社では、以前、ドロップ・オン・デマンド(DOD)方式のインクジェットプレスを採用していたが、インク乾燥の問題で、ハイカバレッジの仕事はスピードを出せないという課題を抱えていた。
そこで目を付けたのが、コンティニュアス方式のPROSPER ULTRA 520プレスだ。常にインクがノズルから吐出されているため、ノズルの乾きを想定した保湿剤も極めて少量であることから、印刷物の乾燥性が高く、インクカバレッジが大きい仕事への対応が可能になる。
さらに速乾性、広域なカラーガモットを追求したコダクロームインク並びにオプティマックスプライマーも開発し、150m/分のスピードでハイカバレッジな印刷が可能となった。ハイカバレッジのジョブの場合、DODインクジェットプレスと比較し、生産性は3台分をカバーする。
コダック社の今後の戦略を私なりに解釈すると、もともとフィルムメーカーからプレートメーカーへシフトしたように、次はインクメーカーへのシフトを目指しており、現在その初期段階にあると捉えている。
さらにコダックは昨年6月、ウェブ印刷・搬送機のメーカーであるGSS社を買収するなど、インクジェット分野への投資を強化している。現在、ドライヤー以外のプリントヘッドやインク、DFE、搬送機まで、ほとんどのコンポーネントをコダックの自社製品でカバーしており、今後はカスタマイズされたユニークな製品開発も可能になる点に私も期待している。
今年5月末から開催されるdrupa2024のコダックブースでは、インクジェット製品の出展がメインになることは間違いない。PROSPER ULTRA 520プレスに加え、GSS社から加わった新しい付帯設備が発表されることが予想され、オフセットからデジタルへのトランスフォームがテーマになるだろう。
また、ULTRASTREAM技術採用のOEM製品の進捗も気になるところ。トップバッターとしてUTECO社のデジタルパッケージング印刷機「SAPPHIRE EVO Wプレス」の導入がすでに全世界で開始されているが、他メーカーでも協業が進められており、軟包装分野での参入を目指している。「グラビア印刷のリプレイス」がテーマになる。
この分野では、人材や環境の問題を抱えているが、その解決策の選択肢として水性フレキソ印刷、あるいはインクジェットへのシフトがあり、とくにインクジェットへのストーリーは非常に分かりやすい。すでに印刷に関しては問題ないが、加工適性のすべてをクリアするにはもう少し時間がかかると思う。しかし大きなポテンシャルをもつマーケットであることは間違いない。
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我々のプリントヘッド事業のターゲットは「150m/分以上の大量生産でバリアブル」となり、今まで多くのプリントヘッドを各業界に導入してきたが、既存マーケットにおいては、ある程度成熟してきているため現在は、新たな市場創出のフェーズと位置づけて活動している。
我々がとくに注力しているのがパッケージ分野。すでにタバコやビールのカートンなどで多くの成功事例があり、最近ではグルアーにインクジェットヘッドを搭載し、これら加工機の処理能力を犠牲にすることなく、高速200m/分以上でQRコードや可変ナンバーを印字するというもの。これは既設のグルワーにヘッドを搭載するスペースがありさえすれば、専用の搬送部を準備する必要がないため、比較的リーズナブルな提案が可能である。この事例では、クライアントの提案を受けたお客様が先行投資でこのシステムを採用。生産性を落とすことなくバリアブル印刷が可能なため、価格競争力があり、新規受注につながった。現在我々は、このようなアプリケーション開発に注力している。
また、コダックではパーソナルケアインクも開発・発売している。例えば、紙おむつへの印刷の場合、フレキソで印刷・スリットした後にオフラインで成形するのが一般的なフローであるが、成形する機械にインクジェットヘッドを搭載することで、成形しながらフルカラー印刷することが可能となる。このソリューションは、米国の大手パーソナルケア企業で採用されており、世界中で大量のPROSPERヘッドの導入が進んでいる。
コダックのインクジェットヘッドの事業は、大量生産を必要とする層がターゲットになり、その稼働率も高いため、消耗品ビジネスはコロナ前を上回る成長をみせている。
一方、デジタルプレスの事業では、昨年ようやく高速デジタル輪転印刷機「PROSPER ULTRA 520プレス」を発売し、プロモーションを開始した。
PROSPER ULTRA 520プレスは、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを搭載した初のコダックオリジナルのデジタルインクジェット輪転機。600×1,800dpiの解像度、150メートル/分の生産速度を誇り、オフセットに匹敵する200線相当の印刷品質を提供。グロスコート紙にも高いインクカバレッジでの印刷を実現する。
このようにPROSPER ULTRA 520プレスは、商業印刷の世界において「品質」が大きな壁となっていたインクジェットプレス分野に「風穴」をあける「唯一無二」の存在と位置付けている。従来オフセットで印刷されていた高カバレッジの商業印刷物のリプレイスがPROSPER ULTRA 520プレスのテーマになる。
そこで昨年からオフセット印刷分野の営業チームの若手を中心に、デジタル印刷に関する教育プログラムを実施。これまで異なる市場だったオフセット印刷事業とインクジェット事業でシナジー創出にも乗り出している。
PROSPER ULTRA 520プレスは昨年8月から米国トップ5に入る商業印刷会社でベータテストの段階に入っている。この会社では、以前、ドロップ・オン・デマンド(DOD)方式のインクジェットプレスを採用していたが、インク乾燥の問題で、ハイカバレッジの仕事はスピードを出せないという課題を抱えていた。
そこで目を付けたのが、コンティニュアス方式のPROSPER ULTRA 520プレスだ。常にインクがノズルから吐出されているため、ノズルの乾きを想定した保湿剤も極めて少量であることから、印刷物の乾燥性が高く、インクカバレッジが大きい仕事への対応が可能になる。
さらに速乾性、広域なカラーガモットを追求したコダクロームインク並びにオプティマックスプライマーも開発し、150m/分のスピードでハイカバレッジな印刷が可能となった。ハイカバレッジのジョブの場合、DODインクジェットプレスと比較し、生産性は3台分をカバーする。
コダック社の今後の戦略を私なりに解釈すると、もともとフィルムメーカーからプレートメーカーへシフトしたように、次はインクメーカーへのシフトを目指しており、現在その初期段階にあると捉えている。
さらにコダックは昨年6月、ウェブ印刷・搬送機のメーカーであるGSS社を買収するなど、インクジェット分野への投資を強化している。現在、ドライヤー以外のプリントヘッドやインク、DFE、搬送機まで、ほとんどのコンポーネントをコダックの自社製品でカバーしており、今後はカスタマイズされたユニークな製品開発も可能になる点に私も期待している。
今年5月末から開催されるdrupa2024のコダックブースでは、インクジェット製品の出展がメインになることは間違いない。PROSPER ULTRA 520プレスに加え、GSS社から加わった新しい付帯設備が発表されることが予想され、オフセットからデジタルへのトランスフォームがテーマになるだろう。
また、ULTRASTREAM技術採用のOEM製品の進捗も気になるところ。トップバッターとしてUTECO社のデジタルパッケージング印刷機「SAPPHIRE EVO Wプレス」の導入がすでに全世界で開始されているが、他メーカーでも協業が進められており、軟包装分野での参入を目指している。「グラビア印刷のリプレイス」がテーマになる。
この分野では、人材や環境の問題を抱えているが、その解決策の選択肢として水性フレキソ印刷、あるいはインクジェットへのシフトがあり、とくにインクジェットへのストーリーは非常に分かりやすい。すでに印刷に関しては問題ないが、加工適性のすべてをクリアするにはもう少し時間がかかると思う。しかし大きなポテンシャルをもつマーケットであることは間違いない。
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