コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結
PROSPER ULTRA 520プレス / PROSPERプリントバー
2024年9月20日製品・テクノロジースペシャリスト
-
コダックは「drupa2024」において、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを搭載した「PROSPER ULTRA 520プレス」と、PROSPERインプリンティングシステムの拡張版である「PROSPERプリントバー」を中心に、高速インクジェットにおける生産の多用途性とインライン機能の向上を訴求した。
300メートル/分の超高速印刷が可能なPROSPERヘッドはこれまで、105ミリ幅で印字するハイブリッド印刷を提案し、日本でも数百台が稼働している。今回発表された「PROSPERプリントバー」は、この「PROSPERヘッド」の拡張アプリケーションで、PROSPERヘッドを千鳥配列することで印字幅を拡張。モノクロなら最大4ヘッドで420ミリ幅、フルカラーなら最大3ヘッド(4色で計12ヘッド)で310ミリ幅までのバリアブル印刷が可能である。インクは、環境に優しい水性顔料インクとして、食品包装規格に対応したパッケージ用インクやパーソナルケア用インクも新たに発表されている。
コダックジャパン・プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原一郎本部長は、「コダックのソフトウェアを改良し、ヘッドとヘッドの境目を判別しづらくすることで幅広印刷が可能になっている。世界的には9インチのヴァーサマークヘッドの置き換え需要として案件がある」と説明する。
同ソリューションは、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などの印刷機だけでなく、ポストプレスや加工ラインにも統合可能で、カスタムパッケージ、セキュリティ、商業印刷アプリケーションに高品質なインプリンティング(追い刷り)を実現する。
コンティニュアス方式のプリントヘッド技術
コダックは、コンティニュアスインクジェットテクノロジー(ライティングシステム)、デジタルフロントエンド&コントローラー(ワークフロー&カラーマネージメント)、ナノテクノロジー水性インク&プライマー(マテリアルサイエンス)という、インクジェットに関わるコアテクノロジーを自社で開発・製造しているが、今回、新たにインクジェット印刷機搬送システムのGraphic Systems Services社(GSS社)を買収し、搬送機や前後処理機も自社完結している。drupaでは、OPTIMAXプレコーターを出品し、PROSPER ULTRA 520プレスとともにインラインのデモが行われた。
「シートカッターや折り機といった加工機も自社で開発可能。4つのコア技術をもっているのは世界でコダックのみ。今後、インクジェットプレス分野で大きな差別化になる」(河原氏)
drupaで最大の目玉となったのは、やはり「ゲームチェンジャー」と称される「PROSPER ULTRA 520プレス」だ。コダックのPROSPERシステムのコア技術となっているのがコンティニュアス方式のプリントヘッド技術。この技術を採用しているのはコダックのみで、他の世界的なインクジェットメーカーは、すべてドロップ・オン・デマンド(DOD)方式を採用している。
このコンティニュアス方式でも、前世代のSTREAM技術と第4世代のULTRASTREAM技術とでは、ドロップを生成するテクノロジーは同様であるものの、制御方法が異なる。
STREAM技術は、大小のドロップを均一に落とし、小さいドロップを風で飛ばして再循環用に回収し、大きなドロップを落としてイメージを形成する。これに対し、第4世代となるULTRASTREAMはその逆。大きいドロップに電荷をチャージして抜き取り、小さいドロップを落としてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはSTREAMのおよそ1/3になり、インクドロップの再現性に優れることから、粒状性のある高解像度の品質で高速印刷できるわけだ。
drupa出展機の構成は、前工程にOPTIMAXプレコーター、後工程にハリス&ブルーノのポストコーター(水性ニスによる光沢、艶出し)をインライン接続。そこからフルカラーのカタログの折りや断裁をインラインで行った他、ポスターの印刷では、印刷後巻き取ったロール紙をニアラインでカットしてスタックしていた。デモは1日3回行われ、すべてのデモでヘビーカバレッジのジョブを152m/分で印刷していた。
新着トピックス
大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
2024年9月20日ケーススタディ
同人誌印刷ビジネスで急成長を遂げる大阪印刷(株)(大阪市西淀川区御幣島5-5-23、根田貴裕社長)は今年4月、コニカミノルタの29インチ枚葉UVインクジェット印刷機「AccurioJ...全文を読む
富士フイルムBI、独自のインクジェット技術で新たなソリューション提供
2024年9月11日製品・テクノロジー
富士フイルムビジネスイノベーション(株)(本社/東京都港区、浜直樹社長・CEO)は2024年5月、新たな商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「Jet Press 1...全文を読む
最新ニュース
富士フイルム、TOKYO PACK 出展でパッケージの付加価値提案
2024年10月9日
富士フイルムグループは、「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」に出展し、インクジェット方式やトナー方式など、富士フイルムが独自開発した幅広いラインアップのデジタルプリン...全文を読む
SCREEN GA、京都・久御山事業所に「インクジェットイノベーションセンター京都」開設
2024年10月7日
(株)SCREENグラフィックソリューションズ(京都府京都市、田中志佳社長、以下、SCREEN GA)は、2024年10月に印刷関連機器の開発・製造を担う京都・久御山事業所に「インク...全文を読む
SCREEN GA、「Horizon Smart Factory 2024」で無人化生産ラインを紹介
2024年9月24日
(株)SCREENグラフィックソリューションズ(SCREEN GA)は、10月9日から11日の3日間、ホリゾン本社びわこ工場内「Horizon Inovation Park」(滋賀県...全文を読む
コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結
PROSPER ULTRA 520プレス / PROSPERプリントバー
2024年9月20日製品・テクノロジースペシャリスト
コダックは「drupa2024」において、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを搭載した「PROSPER ULTRA 520プレス」と、PROSPERインプリンティングシステムの拡張版である「PROSPERプリントバー」を中心に、高速インクジェットにおける生産の多用途性とインライン機能の向上を訴求した。
300メートル/分の超高速印刷が可能なPROSPERヘッドはこれまで、105ミリ幅で印字するハイブリッド印刷を提案し、日本でも数百台が稼働している。今回発表された「PROSPERプリントバー」は、この「PROSPERヘッド」の拡張アプリケーションで、PROSPERヘッドを千鳥配列することで印字幅を拡張。モノクロなら最大4ヘッドで420ミリ幅、フルカラーなら最大3ヘッド(4色で計12ヘッド)で310ミリ幅までのバリアブル印刷が可能である。
インクは、環境に優しい水性顔料インクとして、食品包装規格に対応したパッケージ用インクやパーソナルケア用インクも新たに発表されている。
コダックジャパン・プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原一郎本部長は、「コダックのソフトウェアを改良し、ヘッドとヘッドの境目を判別しづらくすることで幅広印刷が可能になっている。世界的には9インチのヴァーサマークヘッドの置き換え需要として案件がある」と説明する。
同ソリューションは、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などの印刷機だけでなく、ポストプレスや加工ラインにも統合可能で、カスタムパッケージ、セキュリティ、商業印刷アプリケーションに高品質なインプリンティング(追い刷り)を実現する。
コンティニュアス方式のプリントヘッド技術
コダックは、コンティニュアスインクジェットテクノロジー(ライティングシステム)、デジタルフロントエンド&コントローラー(ワークフロー&カラーマネージメント)、ナノテクノロジー水性インク&プライマー(マテリアルサイエンス)という、インクジェットに関わるコアテクノロジーを自社で開発・製造しているが、今回、新たにインクジェット印刷機搬送システムのGraphic Systems Services社(GSS社)を買収し、搬送機や前後処理機も自社完結している。drupaでは、OPTIMAXプレコーターを出品し、PROSPER ULTRA 520プレスとともにインラインのデモが行われた。
「シートカッターや折り機といった加工機も自社で開発可能。4つのコア技術をもっているのは世界でコダックのみ。今後、インクジェットプレス分野で大きな差別化になる」(河原氏)
drupaで最大の目玉となったのは、やはり「ゲームチェンジャー」と称される「PROSPER ULTRA 520プレス」だ。コダックのPROSPERシステムのコア技術となっているのがコンティニュアス方式のプリントヘッド技術。この技術を採用しているのはコダックのみで、他の世界的なインクジェットメーカーは、すべてドロップ・オン・デマンド(DOD)方式を採用している。
このコンティニュアス方式でも、前世代のSTREAM技術と第4世代のULTRASTREAM技術とでは、ドロップを生成するテクノロジーは同様であるものの、制御方法が異なる。
STREAM技術は、大小のドロップを均一に落とし、小さいドロップを風で飛ばして再循環用に回収し、大きなドロップを落としてイメージを形成する。これに対し、第4世代となるULTRASTREAMはその逆。大きいドロップに電荷をチャージして抜き取り、小さいドロップを落としてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはSTREAMのおよそ1/3になり、インクドロップの再現性に優れることから、粒状性のある高解像度の品質で高速印刷できるわけだ。
drupa出展機の構成は、前工程にOPTIMAXプレコーター、後工程にハリス&ブルーノのポストコーター(水性ニスによる光沢、艶出し)をインライン接続。そこからフルカラーのカタログの折りや断裁をインラインで行った他、ポスターの印刷では、印刷後巻き取ったロール紙をニアラインでカットしてスタックしていた。デモは1日3回行われ、すべてのデモでヘビーカバレッジのジョブを152m/分で印刷していた。
新着トピックス
-
共同印刷工業(京都)、安定性の高さが決め手[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年10月9日 ケーススタディ
-
ミマキ、捺染方式を刷新 - 簡便性と汎用性の「TRAPIS」
2024年9月28日 製品・テクノロジー
-
大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
2024年9月20日 ケーススタディ
-
富士フイルムBI、独自のインクジェット技術で新たなソリューション提供
2024年9月11日 製品・テクノロジー
-
エコー(東京)、「オフセットと遜色のない品質」[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年8月2日 ケーススタディ
新着ニュース
SNSランキング
- 84shares大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
- 68sharesafter drupa 2024|富士フイルム、「Discover the difference」─過去最大規模で
- 59sharesエプソン、印刷プロセスのデジタル化をリードするFiery社を完全子会社化
- 39sharesミマキ、印刷脱色技術実用化でタペストリーのアップサイクル実現
- 38shares富士フイルムBI、モノクロ機に印刷物の検品工程を自動化する新機能搭載
- 30shares独SDVグループ、PROSPER ULTRA 520プレス欧州初採用
- 30sharesエコー(東京)、「オフセットと遜色のない品質」[Revoria Press PC1120導入事例]
- 29shares日本HP、「HP Indigo実機見学会〜都内60分でおさえるHPデジタル印刷オープンハウス」開催
- 28shares富士フイルムBI、ワークフローの新領域へ〜真の自動化によるDXを訴求
- 24shares奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞