Jet Pressで顧客の課題解決を実践した作品をIPAに応募
その同社では、2023年度の「Innovation Print Awards(以下、IPA)」にJet Pressの能力を活かした作品で応募。IPAは、富士フイルムビジネスイノベーションアジアパシフィックが2008年から毎年開催しているデジタル印刷コンテストプログラムで、印刷物が作品として第三者の審査員によって評価されるプログラム。同社が出品した作品は残念ながら入賞には至らなかったが、同社の技術力を世界に向けて発信することができたという。
IPAにエントリーした理由について狩野氏は、「当社の実力を広く知ってもらうこと、そしてIPAを通じて新たな顧客や企業との接点が生まれ、将来的には協力して価値を高め合うパートナーとして成長できればと考え、応募した」と説明する。
同社が応募したのは、「かんなみ仏の里美術館『桑原薬師堂の仏像』図録」と「写真集 加藤 健:その生きた証」の2作品。「かんなみ仏の里美術館『桑原薬師堂の仏像』図録」は、平安時代から伝わる24体の仏像の写真を収めたA4判120ページの図録。初版時は、オフセット印刷で制作していたが、仏像の荘厳なイメージを表現したグレー背景の色調のバラツキが大きく、現物と画像データの比較や幾度にもわたる色調整や刷り直しなど、非常に多くの時間と工数、コストがかかっていた。この問題を一気に解消するために同社は、クライアントに対してJet Pressに切り替えた印刷を提案し、制作した。
「オフセット印刷では、仏像の微妙な茶色のバランスなど、ブレが生じることがあった。しかし、Jet Pressでは、その現象もなく、安定した品質で提供できるようになった」(狩野氏)
Jet Pressの導入を機に「高い印刷品質」のみならず「印刷工程の効率化」と「印刷コスト削減」を実現でき、重版の受注に至った。
「Jet Pressでは、製本加工用の予備紙だけで済み、また微細な色表現が必要となることから、今までのオフセット印刷では刷り増しが生じ、本来やるべき仕事に支障をきたしていた。そのようなことが一切なくなったことはJet Press導入の大きな効果だと実感している」(土屋氏)
「写真集 加藤 健:その生きた証」は、2022年に95歳で亡くなった写真家の加藤健氏の写真集。同作品の制作にあたって、加藤氏の奥様でクリエーターの博子氏から、過去の写真集(オフセット印刷)同等の印刷品質、300冊での納得感あるコスト、制作期間1か月という短納期での制作要望を受け、同社では印刷にJet Pressを採用。安定出力による準備時間の大幅削減、余剰用紙の削減、デザイン校了まで短納期対応が図れ、オフセット印刷と比較して約50%の工数とコスト削減を実現し、クライアントからも高評価を得られる作品に仕上げている。
両作品とも従来、オフセット印刷で制作していたものをJet Pressに切り替えたかたちだが、コスト削減や作業効率の圧倒的な向上、そしてクライアントの要望を完全に満たすなど、新たな価値と効果をもたらしている。
協創による新たな価値提供へ
社内に7つのプロ集団を組織し、複合的な提案力で顧客支援を展開している同社であるが、近年では、内部のリソースや外部のリソースを含め、パートナーシップをもって顧客に価値を提供することも実践しているという。それは、一社単独ではなく、JV(共同企業体)型の活動だ。これまで競合が当たり前であった受注活動から、それぞれの強みを活かし合い、また苦手な分野を補うことでクライアントに新たな価値を提供する潮流が生まれていると大房氏は説明する。
また、「協創」の流れは、対外的なものだけでなく、社内にも浸透してきている。これまで同社では、担当者が一人で仕事をこなすことが一般的であったが、現在では、チームで仕事に取り組むことを実践している。
「一人で仕事を抱え込むことで負担が重なり、精神的にも肉体的にも疲弊してしまう。しかし、チームで仕事にあたれば、個人の負担は分散され、余裕が生まれる。その余裕を顧客への企画・提案活動に使うことができるようになる。これにより従業員に働きやすい環境を提供することができ、離職率の低減にもつながる」
同社では、自社の苦手な分野を他社と協力して価値を創出する、このJV型の受注活動による「価値協創」で、顧客の課題解決支援に取り組んでいく方針だ。
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Jet Pressで顧客の課題解決を実践した作品をIPAに応募
その同社では、2023年度の「Innovation Print Awards(以下、IPA)」にJet Pressの能力を活かした作品で応募。IPAは、富士フイルムビジネスイノベーションアジアパシフィックが2008年から毎年開催しているデジタル印刷コンテストプログラムで、印刷物が作品として第三者の審査員によって評価されるプログラム。同社が出品した作品は残念ながら入賞には至らなかったが、同社の技術力を世界に向けて発信することができたという。
IPAにエントリーした理由について狩野氏は、「当社の実力を広く知ってもらうこと、そしてIPAを通じて新たな顧客や企業との接点が生まれ、将来的には協力して価値を高め合うパートナーとして成長できればと考え、応募した」と説明する。
同社が応募したのは、「かんなみ仏の里美術館『桑原薬師堂の仏像』図録」と「写真集 加藤 健:その生きた証」の2作品。「かんなみ仏の里美術館『桑原薬師堂の仏像』図録」は、平安時代から伝わる24体の仏像の写真を収めたA4判120ページの図録。初版時は、オフセット印刷で制作していたが、仏像の荘厳なイメージを表現したグレー背景の色調のバラツキが大きく、現物と画像データの比較や幾度にもわたる色調整や刷り直しなど、非常に多くの時間と工数、コストがかかっていた。この問題を一気に解消するために同社は、クライアントに対してJet Pressに切り替えた印刷を提案し、制作した。
「オフセット印刷では、仏像の微妙な茶色のバランスなど、ブレが生じることがあった。しかし、Jet Pressでは、その現象もなく、安定した品質で提供できるようになった」(狩野氏)
Jet Pressの導入を機に「高い印刷品質」のみならず「印刷工程の効率化」と「印刷コスト削減」を実現でき、重版の受注に至った。
「Jet Pressでは、製本加工用の予備紙だけで済み、また微細な色表現が必要となることから、今までのオフセット印刷では刷り増しが生じ、本来やるべき仕事に支障をきたしていた。そのようなことが一切なくなったことはJet Press導入の大きな効果だと実感している」(土屋氏)
「写真集 加藤 健:その生きた証」は、2022年に95歳で亡くなった写真家の加藤健氏の写真集。同作品の制作にあたって、加藤氏の奥様でクリエーターの博子氏から、過去の写真集(オフセット印刷)同等の印刷品質、300冊での納得感あるコスト、制作期間1か月という短納期での制作要望を受け、同社では印刷にJet Pressを採用。安定出力による準備時間の大幅削減、余剰用紙の削減、デザイン校了まで短納期対応が図れ、オフセット印刷と比較して約50%の工数とコスト削減を実現し、クライアントからも高評価を得られる作品に仕上げている。
両作品とも従来、オフセット印刷で制作していたものをJet Pressに切り替えたかたちだが、コスト削減や作業効率の圧倒的な向上、そしてクライアントの要望を完全に満たすなど、新たな価値と効果をもたらしている。
協創による新たな価値提供へ
社内に7つのプロ集団を組織し、複合的な提案力で顧客支援を展開している同社であるが、近年では、内部のリソースや外部のリソースを含め、パートナーシップをもって顧客に価値を提供することも実践しているという。それは、一社単独ではなく、JV(共同企業体)型の活動だ。これまで競合が当たり前であった受注活動から、それぞれの強みを活かし合い、また苦手な分野を補うことでクライアントに新たな価値を提供する潮流が生まれていると大房氏は説明する。
また、「協創」の流れは、対外的なものだけでなく、社内にも浸透してきている。これまで同社では、担当者が一人で仕事をこなすことが一般的であったが、現在では、チームで仕事に取り組むことを実践している。
「一人で仕事を抱え込むことで負担が重なり、精神的にも肉体的にも疲弊してしまう。しかし、チームで仕事にあたれば、個人の負担は分散され、余裕が生まれる。その余裕を顧客への企画・提案活動に使うことができるようになる。これにより従業員に働きやすい環境を提供することができ、離職率の低減にもつながる」
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