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小松写真印刷、3,000通し以下をデジタル印刷に移行 -「品質の制約なし」

[Revoria Press PC1120導入事例]オフセット/デジタルの柔軟運用可能に

2025年3月7日ケーススタディ

 「印刷文化を通じて地域社会に貢献する」─山形県酒田市で120年以上にわたり印刷事業を展開する(株)小松写真印刷(本社/山形県酒田市京田2-59-3、村上慈社長)は2024年3月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120」(以下「PC1120」)を導入し、「オフセットジョブのデジタル印刷への移行」による生産工程の効率化を図っている。特色対応モデルではなく敢えて4色モデルを選択し、「オフセット印刷機に代わる新たな生産機」としてフル活用しているという同社に、導入の狙いや効果などについて聞いた。

PC1120のオペレーションは制作部のスタッフが担当

女性が活躍しやすい環境づくりに注力

 同社は、1902年(明治35年)、米どころ・庄内の地で小松幸吉氏により「小松活版所」として創立。米穀取引所で発行する「米券」の印刷を手がけたのが始まりである。その後、文芸誌、総合雑誌、詩集・句集などの出版物の製作を通じて地域文化の発展に貢献。ここで培った技術力や地元顧客との信頼関係を礎として、各種商業印刷、パッケージ印刷、情報誌の企画編集、Web・動画制作、イベントの企画運営などへと事業領域を拡大し、総合印刷会社としての地位を確立していった。

 現在の同社の大きな特色として、企画・制作部門に約30名と多くの人員を擁していること、そして女性従業員の比率が高いことが挙げられる。

 「酒田市は、『日本一女性が働きやすい町』を目指して行政が女性支援を積極的に行っている。当社もその流れに沿い、女性が活躍しやすい職場づくりに取り組んでおり、作業環境のクリーン化・スキルレス化などを進めている。現在、約110名の社員のうち45%ほどが女性である」(村上社長)

 1991年には、女性のみの編集部を立ち上げ、地域情報誌「SPOON」を刊行。「30歳代の女性が誇りをもって働けるよう、地元に密着した情報を発信する」というコンセプトで、庄内地域の文化や人、生活を女性目線で紹介し、幅広い世代からの支持を集めた。この「SPOON」の刊行事業により、同社は2005~2006年度に「庄内文化賞」「山形県産業賞」を受賞している。

 さらに、2023年には、女性活躍推進企業として「えるぼし」の5つの評価項目すべてを満たし「3段階目」の認定を取得した。

 現在、印刷設備としては、オフセット枚葉機4台および輪転機2台を有するほか、2017年に新設したフレキソ工場には、ウインドミュラー&ヘルシャー社のCI型フレキソ印刷機を備え、環境に配慮した水性フレキソによる軟包装印刷も手がけている。
品質重視で選定

 同社ではこれまで、PC1120の前任機である「Color1000Press」を主力機として運用していた。しかし、サポート期間の終了が近づいたことと、「今後は小ロットジョブを中心にオフセット印刷からデジタル印刷への切り替えを推進していくことが必要」との考えから、印刷設備運用の見直しも兼ね、2022年頃から新機種の検討を開始。その背景を村上社長はこう語る。

 「いま、当社にとって一番の課題は人手不足。とくにオフセット印刷機のオペレーターは、募集をかけても集まらない。小ロットのジョブが多くなると生産効率がかなり低下してしまうため、デジタル印刷で対応できる仕事はなるべくデジタル印刷機に振り分け、生産能力を確保したいという思いがあった」

 同社では、デジタル印刷機を印刷工場ではなく制作部のフロアに設置し、オペレーションも、デザイナーなど制作部のスタッフが行う体制をとっている。制作部門は印刷オペレーターに比べて人材を確保しやすいという。また、デジタル印刷機であればオフセット印刷機に比べ短期間で操作の習得が可能である。こうしたことから、デジタル印刷への移行を進め、生産工程全体の効率を高めようという考えだ。

 これを実現するためには、「オフセットと同等品質のデジタル印刷機」が必要になる。そのため、新たに導入する機種については品質を重視して選定した。

 「富士フイルム以外のメーカーの機種もいくつか検討したが、その中でオフセット印刷との品質差が最も小さかったのがPC1120だった。人物写真の入った同じデータをオフセットと比較したところ、社内でも違いがわかる人はほとんどいなかった。これだけの仕上がりが得られるなら、色に厳しい仕事でも充分に活用できると確信した」(村上社長)

 もうひとつ、選定の決め手になったのは、導入前に実施したジョブ分析だ。オフセット枚葉機のジョブを5ヵ月分抽出し、FFGSで分析した結果、菊半3,000通し以下のジョブが全体の約66%を占め、それらのジョブにおける可働率(べきどうりつ=総作業時間に対する正味印刷時間の割合)は約11%にとどまっていることが判明。その上で、オフセットジョブのPC1120への移行についてシミュレーションを行ったところ、約3,000通しのジョブでも作業時間やコストなどにおいてメリットが出ることがわかった。こうして損益分岐点や具体的な効果などがデータとして示されたことも、PC1120の導入を後押しした。

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PC1120のオペレーションは制作部のスタッフが担当

女性が活躍しやすい環境づくりに注力

 同社は、1902年(明治35年)、米どころ・庄内の地で小松幸吉氏により「小松活版所」として創立。米穀取引所で発行する「米券」の印刷を手がけたのが始まりである。その後、文芸誌、総合雑誌、詩集・句集などの出版物の製作を通じて地域文化の発展に貢献。ここで培った技術力や地元顧客との信頼関係を礎として、各種商業印刷、パッケージ印刷、情報誌の企画編集、Web・動画制作、イベントの企画運営などへと事業領域を拡大し、総合印刷会社としての地位を確立していった。

 現在の同社の大きな特色として、企画・制作部門に約30名と多くの人員を擁していること、そして女性従業員の比率が高いことが挙げられる。

 「酒田市は、『日本一女性が働きやすい町』を目指して行政が女性支援を積極的に行っている。当社もその流れに沿い、女性が活躍しやすい職場づくりに取り組んでおり、作業環境のクリーン化・スキルレス化などを進めている。現在、約110名の社員のうち45%ほどが女性である」(村上社長)

 1991年には、女性のみの編集部を立ち上げ、地域情報誌「SPOON」を刊行。「30歳代の女性が誇りをもって働けるよう、地元に密着した情報を発信する」というコンセプトで、庄内地域の文化や人、生活を女性目線で紹介し、幅広い世代からの支持を集めた。この「SPOON」の刊行事業により、同社は2005~2006年度に「庄内文化賞」「山形県産業賞」を受賞している。

 さらに、2023年には、女性活躍推進企業として「えるぼし」の5つの評価項目すべてを満たし「3段階目」の認定を取得した。

 現在、印刷設備としては、オフセット枚葉機4台および輪転機2台を有するほか、2017年に新設したフレキソ工場には、ウインドミュラー&ヘルシャー社のCI型フレキソ印刷機を備え、環境に配慮した水性フレキソによる軟包装印刷も手がけている。
品質重視で選定

 同社ではこれまで、PC1120の前任機である「Color1000Press」を主力機として運用していた。しかし、サポート期間の終了が近づいたことと、「今後は小ロットジョブを中心にオフセット印刷からデジタル印刷への切り替えを推進していくことが必要」との考えから、印刷設備運用の見直しも兼ね、2022年頃から新機種の検討を開始。その背景を村上社長はこう語る。

 「いま、当社にとって一番の課題は人手不足。とくにオフセット印刷機のオペレーターは、募集をかけても集まらない。小ロットのジョブが多くなると生産効率がかなり低下してしまうため、デジタル印刷で対応できる仕事はなるべくデジタル印刷機に振り分け、生産能力を確保したいという思いがあった」

 同社では、デジタル印刷機を印刷工場ではなく制作部のフロアに設置し、オペレーションも、デザイナーなど制作部のスタッフが行う体制をとっている。制作部門は印刷オペレーターに比べて人材を確保しやすいという。また、デジタル印刷機であればオフセット印刷機に比べ短期間で操作の習得が可能である。こうしたことから、デジタル印刷への移行を進め、生産工程全体の効率を高めようという考えだ。

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 もうひとつ、選定の決め手になったのは、導入前に実施したジョブ分析だ。オフセット枚葉機のジョブを5ヵ月分抽出し、FFGSで分析した結果、菊半3,000通し以下のジョブが全体の約66%を占め、それらのジョブにおける可働率(べきどうりつ=総作業時間に対する正味印刷時間の割合)は約11%にとどまっていることが判明。その上で、オフセットジョブのPC1120への移行についてシミュレーションを行ったところ、約3,000通しのジョブでも作業時間やコストなどにおいてメリットが出ることがわかった。こうして損益分岐点や具体的な効果などがデータとして示されたことも、PC1120の導入を後押しした。

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