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ホタルコーポレーション、3Dプリント市場に参入

ミマキUVインクジェット方式3Dプリンタ導入

2018年1月15日ケーススタディ

長崎大学「軍艦島3Dプロジェクト」に協力

 同社では「3DUJ-553」を即戦力として活用するため、導入を決定した段階から学術関係ほか、各方面との折衝を進めていたという。そして同3Dプリンタを活用する第1弾となったのが、長崎市と長崎大学が進めていた「軍艦島3Dプロジェクト」のプリントモデルを出力するという試みだ。
長崎大学「軍艦島プロジェクト」の3Dデータプリントモデル

 同プロジェクトはインフラ長寿命化センターが2009年度から実施してきた「軍艦島」の研究技術を用い、軍艦島の記録、保存管理を行うプロジェクト。2014年には3Dレーザスキャナやドローンによる空撮画像から軍艦島をまるごと3Dデータ化した。軍艦島3Dは実測に基づく映像であり、建物の高さや幅などの形状、コンクリートのひび割れの状況、コンクリートの崩壊した量、海水(波)で侵食された地面の深さなど、現状を正確に把握することができる。
 「同プロジェクトの3Dデータは2015年に完成し、グッドデザイン賞を受賞している。軍艦島をCGで散歩することもできるが、これを『3DUJ-553』で実際にプリントすれば、色も精度も抜群にリアルに出力できると思い、長崎県の長崎大学担当者に交渉した。完成した3Dプリントモデルを寄贈するという条件で3Dデータを提供してもらい、完成後は3DプリンタをPRさせて欲しいと話を持ちかけたところ、許可を得ることができた」(福永本部長)

ゲーム用3DCGデータの3Dプリント挑戦記事(CG WARLD1月号掲載予定)の フィギュアの造形 完成した軍艦島のフルカラー3Dプリントモデルは、長崎県とミマキに寄贈。今後、アカデミック分野から様々な3Dデータを3Dプリントして欲しいなどのニーズが出てくることに期待しているという。
 また、福永本部長はある3Dソフトのセミナーを受講。セミナーの講師に画期的な3Dプリンタである「3DUJ-553」を紹介したという。
 「講師の先生はCG専門誌に記事を書くほどの人。その先生にゲーム用3DCGキャラクターデータを3Dプリントで現実世界に出現させてみませんか?成功するまでの工程を記録して業界に紹介しませんかと持ち掛け、専門誌に寄稿したところ、記事として採用していただけることになった。もともとはゲームの中にしか存在しない3Dデータのキャラクターをフィギュアとしてプリントするという、3Dプリント業界に新風を吹き込む取り組みになると期待している」(福永本部長)
 また、フィギュアの原型を造る職業である「デジタル原形師」にも「3DUJ-553」を紹介していく考えだ。
 「これまでのフィギュアはデータをパーツに分けて原型を作り、型をとって金型を製作し、材料を流し込んで成型、そして着彩、さらに組立といういくつもの工程が必要であったが、『3DUJ-553』によりこれらの工程は不要になり、デジタル原形師のイメージ通りのフィギュアを低コストで造形できるため、注目されるはずである。今春に開催される関西のデジタル原形師のイベントに協力して、ミマキ製3DプリンタをPRしたい」(福永本部長)
 さらに、NASAの研究者、環境庁の職員、クリエイター達が協力して行っている環境問題に関するボランティア活動では年々変動する南極の氷を題材にした子供向けのワークショップに協力しているという。
 「平面の資料だけでなく、立体模型があればわかりやすいという話があって協力させていただいた。画期的な3Dプリンタである『3DUJ-553』を活用して社会貢献活動にも取り組んでいきたい」(福永本部長)

新たに「インクジェット3Dプリント市場」を創出する気持ちで

アニメフィギュアからアカデミック関連まであらゆる分野への活用が期待できる 「3Dプリント」とインターネットで検索すると、「3Dプリントサービス」を展開している様々な業者がヒットする。しかし、フルカラープリントは石膏タイプしかなく、樹脂タイプの3Dプリントもあるにはあるがその色域は多くても500万色ほどしかない。そこで同社では、このような業界にも1,000万色以上の豊かな色彩の「3DUJ-553」をPRしていく考えだ。
 「『3DUJ-553』の発色の良さは他の方式と比べても群を抜いている。また、石膏タイプはもろくて水にも弱く、湿気の多いところに置いておくと記念のフィギュアがぼろぼろになったという話もある。インターネットで3Dプリントサービスを展開している代理店などにも『3DUJ-553』を紹介していきたい」(福永本部長)
 アニメフィギュアからアカデミック関連まで、「3DUJ-553」はあらゆる分野に活用できる可能性を秘めた3Dプリンタであることは間違いなさそうだ。福永本部長は「3D業界も『3DUJ-553』のクオリティーの高さには驚いている様子だ。3Dプリント市場の常識を変えるくらいのインパクトを持っている。新しいフルカラー3Dプリント市場はこれから我々が創っていかなければならないものと認識している。とにかく、まずは『3DUJ-553』の良さを知ってもらうために努力していきたい」と意気込みを語る。同プリンタの登場が3Dプリント業界のみならず印刷業界の可能性を広げることは間違いなく、今後の動向に注目したい。

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 同社では「3DUJ-553」を即戦力として活用するため、導入を決定した段階から学術関係ほか、各方面との折衝を進めていたという。そして同3Dプリンタを活用する第1弾となったのが、長崎市と長崎大学が進めていた「軍艦島3Dプロジェクト」のプリントモデルを出力するという試みだ。
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 同プロジェクトはインフラ長寿命化センターが2009年度から実施してきた「軍艦島」の研究技術を用い、軍艦島の記録、保存管理を行うプロジェクト。2014年には3Dレーザスキャナやドローンによる空撮画像から軍艦島をまるごと3Dデータ化した。軍艦島3Dは実測に基づく映像であり、建物の高さや幅などの形状、コンクリートのひび割れの状況、コンクリートの崩壊した量、海水(波)で侵食された地面の深さなど、現状を正確に把握することができる。
 「同プロジェクトの3Dデータは2015年に完成し、グッドデザイン賞を受賞している。軍艦島をCGで散歩することもできるが、これを『3DUJ-553』で実際にプリントすれば、色も精度も抜群にリアルに出力できると思い、長崎県の長崎大学担当者に交渉した。完成した3Dプリントモデルを寄贈するという条件で3Dデータを提供してもらい、完成後は3DプリンタをPRさせて欲しいと話を持ちかけたところ、許可を得ることができた」(福永本部長)

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 また、福永本部長はある3Dソフトのセミナーを受講。セミナーの講師に画期的な3Dプリンタである「3DUJ-553」を紹介したという。
 「講師の先生はCG専門誌に記事を書くほどの人。その先生にゲーム用3DCGキャラクターデータを3Dプリントで現実世界に出現させてみませんか?成功するまでの工程を記録して業界に紹介しませんかと持ち掛け、専門誌に寄稿したところ、記事として採用していただけることになった。もともとはゲームの中にしか存在しない3Dデータのキャラクターをフィギュアとしてプリントするという、3Dプリント業界に新風を吹き込む取り組みになると期待している」(福永本部長)
 また、フィギュアの原型を造る職業である「デジタル原形師」にも「3DUJ-553」を紹介していく考えだ。
 「これまでのフィギュアはデータをパーツに分けて原型を作り、型をとって金型を製作し、材料を流し込んで成型、そして着彩、さらに組立といういくつもの工程が必要であったが、『3DUJ-553』によりこれらの工程は不要になり、デジタル原形師のイメージ通りのフィギュアを低コストで造形できるため、注目されるはずである。今春に開催される関西のデジタル原形師のイベントに協力して、ミマキ製3DプリンタをPRしたい」(福永本部長)
 さらに、NASAの研究者、環境庁の職員、クリエイター達が協力して行っている環境問題に関するボランティア活動では年々変動する南極の氷を題材にした子供向けのワークショップに協力しているという。
 「平面の資料だけでなく、立体模型があればわかりやすいという話があって協力させていただいた。画期的な3Dプリンタである『3DUJ-553』を活用して社会貢献活動にも取り組んでいきたい」(福永本部長)

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 「『3DUJ-553』の発色の良さは他の方式と比べても群を抜いている。また、石膏タイプはもろくて水にも弱く、湿気の多いところに置いておくと記念のフィギュアがぼろぼろになったという話もある。インターネットで3Dプリントサービスを展開している代理店などにも『3DUJ-553』を紹介していきたい」(福永本部長)
 アニメフィギュアからアカデミック関連まで、「3DUJ-553」はあらゆる分野に活用できる可能性を秘めた3Dプリンタであることは間違いなさそうだ。福永本部長は「3D業界も『3DUJ-553』のクオリティーの高さには驚いている様子だ。3Dプリント市場の常識を変えるくらいのインパクトを持っている。新しいフルカラー3Dプリント市場はこれから我々が創っていかなければならないものと認識している。とにかく、まずは『3DUJ-553』の良さを知ってもらうために努力していきたい」と意気込みを語る。同プリンタの登場が3Dプリント業界のみならず印刷業界の可能性を広げることは間違いなく、今後の動向に注目したい。

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