キーワードで検索

テクノロジーは力強い:波に乗るか、吞まれるか?

2018年7月4日企業・経営スペシャリスト

一般社団法人PODi

一般社団法人PODi

1996年に米国で誕生した世界最大のデジタル印刷推進団体。印刷会社800社、ベンダー50社以上が参加し、デジタル印刷を活用した成功事例をはじめ、多くの情報を会員向けに公開している。また、WhatTheyThinkをはじめDMAなどの海外の団体と提携し、その主要なニュースを日本語版で配信している。

http://www.podi.or.jp

 「我々にとって価値がない」と印刷に関する発言があったのは、私(Webb博士)が参加したCEOのパネルディスカッションであった。受け入れがたいが、驚きはしなかった。そのコメントは何を意味したのか?これからの新しいメディアの大刷新のことであろうか?ここから私(Webb博士)はスマートフォンが情報の検索とシェアにおいて急成長していることと、それが年末商戦にどう影響を与えているのかを調べることとなった。これが印刷、印刷会社、そして企業買収にどういう影響を与えるのか?

変わりつつある印刷

 我々はメディアの変遷の重要な局面にいるようだ:スマートフォンによるモバイルの成長である。マーケティングをテーマとするCEOのパネルディスカッションに参加させていただいた。参加者の1人、B2B、B2C向けの宝石製造業のCEOが、今はデジタルメディアしか利用しないという。最も重要なコメントは、「効果測定が不能なので、価値が無い」という。印刷物の事である。

 もちろん、印刷物の効果測定は可能だが、デジタルを測定する方法とは異なるのだ。カタログ及びダイレクトマーケティング業界はデジタルで行っている分析コンセプトの元々の開発者であっただろう。

 本当に「測定不能」と言いたかったのか?実際にそう言ったのだが、現在のデジタルメディアと比較してそういう意見になったようだ。デジタルメディアであれば、フィードバック(結果)は瞬間である。印刷の場合は、効果を測定するには時間がかかる。なぜなら、フィードバックを受け取るには物理的な印刷物の配送プロセスが必要である。フリーダイヤルは、フィードバックのプロセスを激変させ、画期的であった。効果測定から、時間とコストという障壁を取り除いた。これはマルチチャネルのコミュニケーションの初期段階であった。ひとつのメディアがフィードバックを求め、別のメディアを使って獲得している。

 あなたは印刷のプロジェクトに分析を組み込んでいるか?既存顧客に勧めているか?自社のプロジェクトに活かしているか?

 コミュニケーションに印刷物を使わざるを得なかった時代に、印刷会社は印刷物の効果にではなく、その品質に集中していた。時が経つにつれて新たな技術が印刷生産の差を縮め、印刷知識をソフトウェアプログラミングに変換させ、実際に印刷を行うスキルの重要性が減少してきた。依然として品質の違いはあるものの、その差が収縮してきて、顧客に「印刷会社はすべて同じ」と思われることとなった。二流の印刷物ですら、かつてより格段によくなった。

 他のメディアからの競争が起こった後、投下した予算へのROI(投資の収益)が必要な評価となった。印刷会社のセールスチーム及び経営者は、メディア選択プロセスの変化を把握するのが遅かった。彼らが責任を負ったのは、結果に対してではなく、画像の忠実な再現であった。

 現在の最も成功している印刷会社は、まずデジタルメディアのインフラストラクチャーを待ち、そして代理店のように特定のメディアに関わらず、結果に対しての責任をもつ姿勢を有している。印刷物の配達を行っている人々には厳しいことである。印刷に新規性と興奮をもたらすには、現在のダイナミックなコミュニケーション市場に没頭することから生まれるであろう。印刷は他のメディアと共同で、ターゲットの顧客を結び付ける強力な武器となり、分析することによってよりよい方向を向くのである。印刷会社は「印刷物を提供」すれば終わりと考えてしまい、他のことを考えづらくなっている。

新着トピックス

リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]

2025年6月27日ケーススタディ

 「アイデア什器」の(株)リンクス(本社/岐阜県関市倉知2639-1、吉田哲也社長)は昨年11月、富士フイルムの枚葉インクジェットデジタルプレス「JetPress750S」(厚紙仕様)...全文を読む

accuriopress_c14010s_20250529_tn.jpg

コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開

2025年6月4日製品・テクノロジー

 コニカミノルタジャパン(株)は、デジタルカラー印刷システムの最上位機種「AccurioPress(アキュリオプレス) C14010シリーズ」の発売を記念して4月23・24日の2日間、...全文を読む

最新ニュース

dp_epson_ep_101_20250807_tn.jpg

エプソン、世界最少の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が「機械遺産」に選定

2025年8月7日

 セイコーエプソン(株)がエプソンミュージアム諏訪(長野県諏訪市)に所蔵している、1968年より発売した世界最小(同社調べ(当時))の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が、(一...全文を読む

dp_ricoh_pro_d1600_20250801_tn.jpg

リコー、広幅対応DTFプリンター「RICOH Pro D1600」を松井色素化学工業所に供給開始

2025年8月7日

 (株)リコー(大山晃社長)は、産業用テキスタイル印刷市場向けに、高生産性を実現する広幅対応Direct To Film(DTF)プリンター「RICOH Pro D1600」について、...全文を読む

dp_orobe_20250729_tn.jpg

コニカミノルタ、反応染料用インライン前処理インク「O'ROBE」の提供開始

2025年7月29日

 コニカミノルタ(株)(本社/東京都千代田区、大幸利充社長、以下、コニカミノルタ)は、インクジェットテキスタイルプリンター「Nassenger(ナッセンジャー)」シリーズ用インクとして...全文を読む

テクノロジーは力強い:波に乗るか、吞まれるか?

2018年7月4日企業・経営スペシャリスト

  • twitter
  • facebook
  • line
一般社団法人PODi

一般社団法人PODi

1996年に米国で誕生した世界最大のデジタル印刷推進団体。印刷会社800社、ベンダー50社以上が参加し、デジタル印刷を活用した成功事例をはじめ、多くの情報を会員向けに公開している。また、WhatTheyThinkをはじめDMAなどの海外の団体と提携し、その主要なニュースを日本語版で配信している。

http://www.podi.or.jp

 「我々にとって価値がない」と印刷に関する発言があったのは、私(Webb博士)が参加したCEOのパネルディスカッションであった。受け入れがたいが、驚きはしなかった。そのコメントは何を意味したのか?これからの新しいメディアの大刷新のことであろうか?ここから私(Webb博士)はスマートフォンが情報の検索とシェアにおいて急成長していることと、それが年末商戦にどう影響を与えているのかを調べることとなった。これが印刷、印刷会社、そして企業買収にどういう影響を与えるのか?

変わりつつある印刷

 我々はメディアの変遷の重要な局面にいるようだ:スマートフォンによるモバイルの成長である。マーケティングをテーマとするCEOのパネルディスカッションに参加させていただいた。参加者の1人、B2B、B2C向けの宝石製造業のCEOが、今はデジタルメディアしか利用しないという。最も重要なコメントは、「効果測定が不能なので、価値が無い」という。印刷物の事である。

 もちろん、印刷物の効果測定は可能だが、デジタルを測定する方法とは異なるのだ。カタログ及びダイレクトマーケティング業界はデジタルで行っている分析コンセプトの元々の開発者であっただろう。

 本当に「測定不能」と言いたかったのか?実際にそう言ったのだが、現在のデジタルメディアと比較してそういう意見になったようだ。デジタルメディアであれば、フィードバック(結果)は瞬間である。印刷の場合は、効果を測定するには時間がかかる。なぜなら、フィードバックを受け取るには物理的な印刷物の配送プロセスが必要である。フリーダイヤルは、フィードバックのプロセスを激変させ、画期的であった。効果測定から、時間とコストという障壁を取り除いた。これはマルチチャネルのコミュニケーションの初期段階であった。ひとつのメディアがフィードバックを求め、別のメディアを使って獲得している。

 あなたは印刷のプロジェクトに分析を組み込んでいるか?既存顧客に勧めているか?自社のプロジェクトに活かしているか?

 コミュニケーションに印刷物を使わざるを得なかった時代に、印刷会社は印刷物の効果にではなく、その品質に集中していた。時が経つにつれて新たな技術が印刷生産の差を縮め、印刷知識をソフトウェアプログラミングに変換させ、実際に印刷を行うスキルの重要性が減少してきた。依然として品質の違いはあるものの、その差が収縮してきて、顧客に「印刷会社はすべて同じ」と思われることとなった。二流の印刷物ですら、かつてより格段によくなった。

 他のメディアからの競争が起こった後、投下した予算へのROI(投資の収益)が必要な評価となった。印刷会社のセールスチーム及び経営者は、メディア選択プロセスの変化を把握するのが遅かった。彼らが責任を負ったのは、結果に対してではなく、画像の忠実な再現であった。

 現在の最も成功している印刷会社は、まずデジタルメディアのインフラストラクチャーを待ち、そして代理店のように特定のメディアに関わらず、結果に対しての責任をもつ姿勢を有している。印刷物の配達を行っている人々には厳しいことである。印刷に新規性と興奮をもたらすには、現在のダイナミックなコミュニケーション市場に没頭することから生まれるであろう。印刷は他のメディアと共同で、ターゲットの顧客を結び付ける強力な武器となり、分析することによってよりよい方向を向くのである。印刷会社は「印刷物を提供」すれば終わりと考えてしまい、他のことを考えづらくなっている。

新着トピックス

新着ニュース

PAGE TOP