コダック、「PROSPER」ブランドをパッケージ分野へ展開
「高速処理=プライマー」- Stream技術の優位性とは
執行役員エンタープライズIJシステム本部長 河原一郎氏に聞く
2019年4月9日スペシャリスト
-
ワールドワイドでパッケージ分野にフォーカスしたインクジェットソリューションを展開するコダックは今年2月、イタリア・ベローナにあるUteco社の本社において、パッケージ分野に向けた2つのインクジェットソリューションを発表した。これまでデータプリントやダイレクトメール分野におけるデファクトスタンダードとしてその地位を確立してきた「KODAK PROSPER」のブランド力をパッケージ分野へと展開する上で、その存在を明確に知らしめることが狙いだ。そこで今回、執行役員エンタープライズインクジェットシステム本部長の河原一郎氏に、その新たな展開について聞いた。
イタリア・Uteco社で新展開発表イベント
まず、パッケージ分野向けのインプリンティングソリューションとして「PROSPER Plus」を発表した。
これは、PROSPER Sシリーズをベースに開発されたもので、プリントヘッドをコアに、プレコーティングの技術と食品安全パッケージ向けインクの提供、さらに様々な材料や他社ベンダーの既存設備などとの互換性担保というソリューション・コンセプトで構成されている。
プリントヘッドは、パッケージ分野向けに最適化した260メートル/分と600メートル/分の2モデル。それぞれに105ミリ幅と210ミリ幅(2つのヘッドをステッチング)をラインアップし、計4モデルの製品構成となる。これらのコンポーネントは、オフセット、フレキソ、グラビア印刷機にインラインで搭載できるほか、折り加工や糊付けシステムといったフィニッシングラインにも実装でき、既存の様々な印刷工程全体にデジタルを柔軟に取り入れることが可能である。
ベローナでのもうひとつのトピックスは、Uteco社がULTRASTREAM製品を正式に購入する契約締結の発表である。drupa2016で発表したULTRASTREAMは、現在19社のOEMベンダーと覚書を締結しているが、今回のUteco社との契約は、それを一歩進めた法的拘束力のある開発契約であり、いよいよラインヘッドの供給が開始される。
ULTRASTREAMは、小さいサイズのドロップを均一に落とし、印刷されない部分に電荷をチャージして、それを抜き取るという技術。印刷部分は電荷に影響されずに落ちてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはStreamのおよそ1/3になり、各種の用紙やフィルムに最高150m/分の速度で600×1,800dpiの高精細印刷が可能となる。
今回の発表は、Uteco社とコダックが共同開発した軟包装向けデジタルプレス「Sapphire EVO」のプリントヘッドとしてULTRASTREAM技術を採用するという話しではなく、基本的にはまったく新しい機械設計になると思われる。ULTRASTREAMはOEM製品。コダック側のスキームは、「どの幅でラインヘッドを組み上げるか」ということで、これはOEMベンダーによって異なる。
現在のSapphire EVOは620ミリ幅で、6個のプリントヘッドをステッチングしている。Uteco社のSapphire EVOの資料には、「ULTRASTREAMにも対応可」を謳っているため、Uteco社には少なくとも620ミリ幅以上のラインヘッドが供給されるだろう。Uteco社は、ULTRASTREAMテクノロジーを使用する最初の機器メーカーとして、フレキシブルパッケージングの高生産性デジタル印刷機ポートフォリオを2020年に拡大する計画である。他の積極的なOEMベンダーも2020年のdrupaに照準を定めており、富士機械工業や三菱重工機械システムを含む日本のパートナー企業5社も今回のUteco社の動きに追随する形で製品化の実現に向けた動きを加速させるものと推測される。
新着トピックス
サンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現
2024年2月14日企業・経営
豊富に蓄積した印刷技術を組み合わせながら夢と感動をクライアント、さらにはエンドユーザーに伝える「芸術の工業化」に取り組んでいる(株)サンエムカラー(本社/京都府京都市)は、2023年...全文を読む
ヤマゼンコミュニケイションズ、VRの世界観を印刷物として提供
2024年1月26日企業・経営
ヤマゼンコミュニケイションズ(株)(本社/栃木県宇都宮市、山本堅嗣宣社長)は、2023年度の「Innovation print Awards(以下、IPA)」において、「フォトブック...全文を読む
最新ニュース
日本HP、4月16日「HP Indigo デジタル印刷機 新製品発表オンラインセミナー」開催
2024年3月27日
(株)日本HPは4月16日、「HP Indigo デジタル印刷機 新製品発表オンラインセミナー」を開催する。 同社では、2024年5月28日からドイツ デュッセルドルフで開催さ...全文を読む
コニカミノルタ、drupa2024でB2サイズの新機種「AccurioJet 60000」公開
2024年3月26日
コニカミノルタ(株)(本社/東京都千代田区、大幸利充社長)は、5月28日から6月7日まで、ドイツ・デュッセルドルフで開催される世界最大規模の印刷・メディア産業展「drupa2024」...全文を読む
富士フイルム、軟包装印刷向け水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」発売
2024年3月26日
富士フイルム(株)(後藤禎一社長・CEO)は、インクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップとして、軟包装印刷市場を対象とした水性インクジェットプレス「J...全文を読む
コダック、「PROSPER」ブランドをパッケージ分野へ展開
「高速処理=プライマー」- Stream技術の優位性とは 執行役員エンタープライズIJシステム本部長 河原一郎氏に聞く
2019年4月9日スペシャリスト
ワールドワイドでパッケージ分野にフォーカスしたインクジェットソリューションを展開するコダックは今年2月、イタリア・ベローナにあるUteco社の本社において、パッケージ分野に向けた2つのインクジェットソリューションを発表した。これまでデータプリントやダイレクトメール分野におけるデファクトスタンダードとしてその地位を確立してきた「KODAK PROSPER」のブランド力をパッケージ分野へと展開する上で、その存在を明確に知らしめることが狙いだ。そこで今回、執行役員エンタープライズインクジェットシステム本部長の河原一郎氏に、その新たな展開について聞いた。
イタリア・Uteco社で新展開発表イベント
まず、パッケージ分野向けのインプリンティングソリューションとして「PROSPER Plus」を発表した。
これは、PROSPER Sシリーズをベースに開発されたもので、プリントヘッドをコアに、プレコーティングの技術と食品安全パッケージ向けインクの提供、さらに様々な材料や他社ベンダーの既存設備などとの互換性担保というソリューション・コンセプトで構成されている。
プリントヘッドは、パッケージ分野向けに最適化した260メートル/分と600メートル/分の2モデル。それぞれに105ミリ幅と210ミリ幅(2つのヘッドをステッチング)をラインアップし、計4モデルの製品構成となる。
これらのコンポーネントは、オフセット、フレキソ、グラビア印刷機にインラインで搭載できるほか、折り加工や糊付けシステムといったフィニッシングラインにも実装でき、既存の様々な印刷工程全体にデジタルを柔軟に取り入れることが可能である。
ベローナでのもうひとつのトピックスは、Uteco社がULTRASTREAM製品を正式に購入する契約締結の発表である。drupa2016で発表したULTRASTREAMは、現在19社のOEMベンダーと覚書を締結しているが、今回のUteco社との契約は、それを一歩進めた法的拘束力のある開発契約であり、いよいよラインヘッドの供給が開始される。
ULTRASTREAMは、小さいサイズのドロップを均一に落とし、印刷されない部分に電荷をチャージして、それを抜き取るという技術。印刷部分は電荷に影響されずに落ちてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはStreamのおよそ1/3になり、各種の用紙やフィルムに最高150m/分の速度で600×1,800dpiの高精細印刷が可能となる。
今回の発表は、Uteco社とコダックが共同開発した軟包装向けデジタルプレス「Sapphire EVO」のプリントヘッドとしてULTRASTREAM技術を採用するという話しではなく、基本的にはまったく新しい機械設計になると思われる。
ULTRASTREAMはOEM製品。コダック側のスキームは、「どの幅でラインヘッドを組み上げるか」ということで、これはOEMベンダーによって異なる。
現在のSapphire EVOは620ミリ幅で、6個のプリントヘッドをステッチングしている。Uteco社のSapphire EVOの資料には、「ULTRASTREAMにも対応可」を謳っているため、Uteco社には少なくとも620ミリ幅以上のラインヘッドが供給されるだろう。Uteco社は、ULTRASTREAMテクノロジーを使用する最初の機器メーカーとして、フレキシブルパッケージングの高生産性デジタル印刷機ポートフォリオを2020年に拡大する計画である。他の積極的なOEMベンダーも2020年のdrupaに照準を定めており、富士機械工業や三菱重工機械システムを含む日本のパートナー企業5社も今回のUteco社の動きに追随する形で製品化の実現に向けた動きを加速させるものと推測される。
新着トピックス
-
昭和堂、小児患者と家族に希望を-子どもの絵画をデジタル印刷で作品化
2024年4月1日 企業・経営
-
大阪印刷、6台のIndigoで急成長する同人誌印刷ビジネス〜選ばれる「デジオフ品質」
2024年2月21日 ケーススタディ
-
サンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現
2024年2月14日 企業・経営
-
ヤマゼンコミュニケイションズ、VRの世界観を印刷物として提供
2024年1月26日 企業・経営
-
コダックジャパン、オフとデジタル両輪で印刷業界にコミット
2024年1月16日 スペシャリスト
新着ニュース
SNSランキング
- 93sharesサンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現
- 76sharesジップ、年間3億通を封入発送〜独自のダイレクトマーケティング事業展開
- 42sharesエイエイピー、「デジタル×紙」でイベント事業の高付加価値化へ[バリアブル印刷ソフトFormMagic採用事例]
- 39sharesSCREEN GA、「Creating A Future In Print 〜Tech x Irodori〜」テーマにdrupa2024に出展
- 38sharesFFGS、製造現場の可視化・分析で印刷DXを支援
- 30shares富士フイルムBI、DX実証の場へと進化した「Future Edge」
- 29sharesエプソン、機能性インクを搭載したMonna Lisaシリーズの新機種発売
- 27shares軟包装印刷向け水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」発売
- 25sharesブラザー、水性顔料ラテックスインクを搭載した大判プリンター「WF1-L640」発売
- 25sharesコダック、drupa2024でインクジェットとオフセットのソリューション展開