兵田印刷工芸、B2バリアブルポスターでアンケート
[アンケートポスター]紙 → デジタル → 紙で販促へ、汎用アプリ「ARUNO」も
2019年8月2日マーケティングケーススタディ
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「マーケティング×デジタル×紙」─デジタル技術への積極投資で印刷物製造工程における標準化・自動化を推し進める兵田印刷工芸(株)(兵庫県西宮市笠屋町3-16、兵田好雄社長)は、富士フイルムの商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」が生み出す「B2バリアブル」という「価値」に「クロスメディア」「マーケティング」を掛け合わせた販促ツール「アンケートポスター」を商品化。現在、印刷会社に向けたキャンペーンを実施している。
マーケティングの「入り口」
「先進技術への積極投資」という企業ポリシーのもと、デジタル武装を推し進めてきた同社。2014年からは「デジタル印刷会社化構想」をスタートさせ、昨年9月、富士フイルムの商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入をきっかけに、オフセット印刷部門を撤廃し、「完全デジタル印刷会社」へと変貌を遂げている。
同社がこのJet Pressを導入した狙いは、デジタル印刷の真骨頂とも言えるバリアブル印刷をB2サイズで提供できるという「印刷ビジネスにおける新たな概念の創造」にあった。「Jet Pressの品質はオフセット印刷以上だ。しかし、我々がクライアントに最も訴求したいのはその部分ではなく、『B2バリアブル』といういままでになかった『価値』である」(兵田社長)
クロスメディアでも多くの実績を誇る同社が、その考え方をひとつの形として印刷会社向けに商品化したのが「アンケートポスター」である。
これは、B2サイズのバリアブル大型ポスターに印刷されたQRコードをトリガーとして、データ収集から集計データのフィードバックまでをパッケージ化したアンケートシステムである。このQRコードをスマートフォンでかざすと、アンケートフォームが立ち上がり、そこでユーザーがアンケートに答えて送信するとサンキューページが表示される。そこで電子クーポンなどを表示することも可能だ。
送信データは2〜3秒で集計シートに反映され、CSV書き出しにも対応。印刷会社は、その集計結果をもとにターゲティングしたダイレクトメールなどの印刷物をクライアントに提案できる。いわゆる「紙→デジタル→紙」の販促・マーケティングツールである。さらに、同社が開発した汎用アプリ「ARUNO(アルノ)」を使ってポスターからARによる3Dや動画を表示することもできる。
同社ソリューション営業課の西中辰也課長は開発の経緯について次のように語る。
「マーケティングに関する印刷会社向けのセミナーや講習は、かなり高度なレベルのものも多い。正直、参加者の何割が理解できているか疑問に感じていた。そこで、より簡素化して分かりやすい、しかも汎用性の高いマーケティングツールを提供できれば多くの印刷会社で利用してもらえると考えた」
「アンケートポスター」のポイントのひとつは、Jet Pressによるバリアブル大型ポスターによって、絵柄の違うそれぞれのポスターからの流入先を特定し、そのユーザーの趣味・嗜好までを解析できることだ。また、ポスターを掲載している場所を特定すれば、人の流れや位置的な視点からのデータ収集・分析も可能になる。
兵田社長は、「One to Oneのダイレクトメールと違い、不特定多数が目にするポスターでマーケティング効果を発揮するため、回答率の高い、直接的で正確なマーケティングが可能になる」と説明。また、西中氏も「『アンケートポスター』は、グーグルアナリティクスのような統計的な情報しか得られないマーケティングに対し、もっと深層のニーズを捉えることができ、印刷会社は、そのニーズを紙媒体に落とし込み、次の段階の販促やマーケティングへと繋げることができる」と説明する。
同社では今年、大学の食堂でこの「アンケートポスター」を使ったアンケート調査を実施。結果、食堂を利用した2,000人のうち、600人から回答を得たという。シンプルなフォーム設計に加え、サンキューページで「飲み物プレゼント」のクーポンを表示する仕掛けが、この高い回答率を弾き出したようだ。さらに、このアンケートフォームにはフリーで入力できる欄を設定。そこには食堂に対するクレームや要望が多く書き込まれ、食堂の改善活動にも役立つ結果となった。「印刷会社は基本的にマーケティングを苦手としている。それは、仕事が溢れていた時代の『受注産業の体質』が未だに抜け切れていないからだ。しかし、今は仕事を創造する必要がある。マーケティングができれば、そこに提案が生まれる。それをシンプルで簡単に実現できるツールとして『アンケートポスター』は有効である」(兵田社長)
同社では現在、「アンケートポスター」に関するキャンペーンを実施しており、▽バリアブルB2大型ポスター10枚▽アンケートフォーム5項目(運用1ヵ月)をパッケージにしたものを10万円(税別、定価は12万4,800円)のキャンペーン価格で提供している。
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マーケティングの「入り口」
「先進技術への積極投資」という企業ポリシーのもと、デジタル武装を推し進めてきた同社。2014年からは「デジタル印刷会社化構想」をスタートさせ、昨年9月、富士フイルムの商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入をきっかけに、オフセット印刷部門を撤廃し、「完全デジタル印刷会社」へと変貌を遂げている。
同社がこのJet Pressを導入した狙いは、デジタル印刷の真骨頂とも言えるバリアブル印刷をB2サイズで提供できるという「印刷ビジネスにおける新たな概念の創造」にあった。「Jet Pressの品質はオフセット印刷以上だ。しかし、我々がクライアントに最も訴求したいのはその部分ではなく、『B2バリアブル』といういままでになかった『価値』である」(兵田社長)
クロスメディアでも多くの実績を誇る同社が、その考え方をひとつの形として印刷会社向けに商品化したのが「アンケートポスター」である。
これは、B2サイズのバリアブル大型ポスターに印刷されたQRコードをトリガーとして、データ収集から集計データのフィードバックまでをパッケージ化したアンケートシステムである。このQRコードをスマートフォンでかざすと、アンケートフォームが立ち上がり、そこでユーザーがアンケートに答えて送信するとサンキューページが表示される。そこで電子クーポンなどを表示することも可能だ。
送信データは2〜3秒で集計シートに反映され、CSV書き出しにも対応。印刷会社は、その集計結果をもとにターゲティングしたダイレクトメールなどの印刷物をクライアントに提案できる。いわゆる「紙→デジタル→紙」の販促・マーケティングツールである。さらに、同社が開発した汎用アプリ「ARUNO(アルノ)」を使ってポスターからARによる3Dや動画を表示することもできる。
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「マーケティングに関する印刷会社向けのセミナーや講習は、かなり高度なレベルのものも多い。正直、参加者の何割が理解できているか疑問に感じていた。そこで、より簡素化して分かりやすい、しかも汎用性の高いマーケティングツールを提供できれば多くの印刷会社で利用してもらえると考えた」
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同社では今年、大学の食堂でこの「アンケートポスター」を使ったアンケート調査を実施。結果、食堂を利用した2,000人のうち、600人から回答を得たという。シンプルなフォーム設計に加え、サンキューページで「飲み物プレゼント」のクーポンを表示する仕掛けが、この高い回答率を弾き出したようだ。さらに、このアンケートフォームにはフリーで入力できる欄を設定。そこには食堂に対するクレームや要望が多く書き込まれ、食堂の改善活動にも役立つ結果となった。
「印刷会社は基本的にマーケティングを苦手としている。それは、仕事が溢れていた時代の『受注産業の体質』が未だに抜け切れていないからだ。しかし、今は仕事を創造する必要がある。マーケティングができれば、そこに提案が生まれる。それをシンプルで簡単に実現できるツールとして『アンケートポスター』は有効である」(兵田社長)
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