日光プロセス、Impala3によるディスプレイ事業で「オフセット品質」追求
「テカリ」なく「滑らかな階調」評価〜swissQprint製UVIJ「Impala3」導入事例
2019年9月26日ケーススタディ
-
「深遠な色の世界を追求し、『良品』を提供する」─(株)日光プロセス(本社/東京都墨田区菊川2-23-12、原田一徳社長)は今年3月、B倍ポスターを中心としたディスプレイ事業の戦略機として、swissQprint製フラットベッドUVインクジェットプリンタ「Impala3」を導入。「テカリ」のない「オフセット印刷同等」の品質を実現したインクジェット出力で、ハイエンドのディスプレイ需要創出に乗り出すとともに、パッケージや建材分野も視野に入れた「脱・印刷」に着手している。
「デザイナーのジレンマ」から生まれたインクジェット事業
「色表現に対する徹底したこだわり」で、製版業としてそのブランドイメージを確立してきた日光プロセス。1953年の創業以来、色の世界を追求する上で「良品の提供」を貫いてきた創業者の想いは、その歴史の中で「日光イズム」として脈々と受け継がれ、いまもなおそのDNAは従業員70名1人ひとりの意識の中に息づいている。
同社がインクジェット事業へ乗り出すにあたり、そのベースとなっているのが「目伸ばし」と呼ばれる製版手法である。これは、製版カメラを用いた透過網点原稿の拡大撮影、いわゆる製版フィルムを指定の倍率まで拡大して製版する技術で、当時、大阪でも数台しかなかった製版カメラを1975年頃に導入し、B倍サイズのフィルムを製版。とくにポスターや看板を得意としていたことから「日光プロセス=ポスターに強い」というイメージが定着したという。
ここでも技術的な強みとなったのは「調子」、いわゆる「色の階調」である。このことについて原田社長は、「当社の高いレタッチ技術が前提としてあるが、『クライアントの色に対する抽象的な指示を如何に表現できるか』という感性に依存する部分で絶対的な強みを持っている」と語る。このポスターの製版事業を通じてデザイナーによる口コミが広がり、1995年頃からは広告代理店との結びつきも強くなり、交通・店頭ポスターに加え、カタログや雑誌、新聞など、ひとつの商品を売る一連の販促キャンペーンに付随する仕事の依頼が多くなっていった。
しかし、そこで同社は「デザイナーのジレンマ」に気付く。「B倍ポスターを印刷するとなると、ひとつの版で1,000〜2,000枚という話になる。しかし、例えば5人組アイドルのポスターを作る場合、やはりデザイナーは、1人ずつのビジュアルと5人のビジュアルを用意し、貼る場所などによって選択したい。となると、ひとつのビジュアルにつき20〜30枚でいい。これをインクジェットで出力するわけだが、当時の技術ではデザイナーが納得のいく品質は得られなかった。今でこそ当たり前だが、当時のデザイナーはそんなジレンマを抱えていた」(原田社長)
そこで同社は、2000年に水性インクジェットプリンタを導入し、RGBデータによる広色域をマット系の用紙に再現することで「日光品質」を保証するインクジェット出力事業に乗り出した。
「なぜかメーカーは『インクジェット=キレイ』となるとグロス系の紙を好むが、デザイナーはマット系を好む傾向にある。そこで当社は、いち早く高色域をマット系の紙に高品質で出力。これが広く受け入れられた」(原田社長)
新着トピックス
2024年4月3日スペシャリスト
コダックジャパンは、日本市場において「効率性」にフォーカスした「頁物印刷」と、郵便料金改定とSDGsを起点とした「パーソナライズDM」という2つの市場に向けたインクジェットプリンティ...全文を読む
大洞印刷、国内外の需要に対応〜デジタル印刷サービスが二桁成長
2024年4月3日企業・経営
(株)日本HP(本社/東京都港区、岡戸伸樹社長)のデジタル印刷機のユーザーである大洞印刷(株)(本社/岐阜県本巣市、大洞広和社長)は、受注から出荷までのワークフロー管理システムを導入...全文を読む
最新ニュース
京セラ、コート紙への印刷可能〜商業用インクジェットプリンター新製品展示
2024年4月17日
京セラドキュメントソリューションズ(株)(安藤博教社長)は、「drupa2024」に出展し、「Small footprint,big potential」をコンセプトに、商業用・産業...全文を読む
モリサワ、初の和文バリアブルフォント「DriveFlux」発表
2024年4月17日
(株)モリサワ(森澤彰彦社長)は、2024年度の新書体として、同社初となる和文バリアブルフォント「DriveFlux(ドライブフラックス/仮称)」を開発中であることを発表した。 「...全文を読む
富士フイルムBI、高精細な画質と高速印刷を両立するプリントヘッドの駆動技術を新開発
2024年4月16日
富士フイルムビジネスイノベーション(株)(本社/東京都港区、浜直樹社長・CEO)は、商業印刷用の高速ロール紙カラーインクジェットプリンター向けに、1,200×1,200dpiの解像度...全文を読む
日光プロセス、Impala3によるディスプレイ事業で「オフセット品質」追求
「テカリ」なく「滑らかな階調」評価〜swissQprint製UVIJ「Impala3」導入事例
2019年9月26日ケーススタディ
「深遠な色の世界を追求し、『良品』を提供する」─(株)日光プロセス(本社/東京都墨田区菊川2-23-12、原田一徳社長)は今年3月、B倍ポスターを中心としたディスプレイ事業の戦略機として、swissQprint製フラットベッドUVインクジェットプリンタ「Impala3」を導入。「テカリ」のない「オフセット印刷同等」の品質を実現したインクジェット出力で、ハイエンドのディスプレイ需要創出に乗り出すとともに、パッケージや建材分野も視野に入れた「脱・印刷」に着手している。
「デザイナーのジレンマ」から生まれたインクジェット事業
「色表現に対する徹底したこだわり」で、製版業としてそのブランドイメージを確立してきた日光プロセス。1953年の創業以来、色の世界を追求する上で「良品の提供」を貫いてきた創業者の想いは、その歴史の中で「日光イズム」として脈々と受け継がれ、いまもなおそのDNAは従業員70名1人ひとりの意識の中に息づいている。
同社がインクジェット事業へ乗り出すにあたり、そのベースとなっているのが「目伸ばし」と呼ばれる製版手法である。これは、製版カメラを用いた透過網点原稿の拡大撮影、いわゆる製版フィルムを指定の倍率まで拡大して製版する技術で、当時、大阪でも数台しかなかった製版カメラを1975年頃に導入し、B倍サイズのフィルムを製版。とくにポスターや看板を得意としていたことから「日光プロセス=ポスターに強い」というイメージが定着したという。
ここでも技術的な強みとなったのは「調子」、いわゆる「色の階調」である。このことについて原田社長は、「当社の高いレタッチ技術が前提としてあるが、『クライアントの色に対する抽象的な指示を如何に表現できるか』という感性に依存する部分で絶対的な強みを持っている」と語る。このポスターの製版事業を通じてデザイナーによる口コミが広がり、1995年頃からは広告代理店との結びつきも強くなり、交通・店頭ポスターに加え、カタログや雑誌、新聞など、ひとつの商品を売る一連の販促キャンペーンに付随する仕事の依頼が多くなっていった。
しかし、そこで同社は「デザイナーのジレンマ」に気付く。「B倍ポスターを印刷するとなると、ひとつの版で1,000〜2,000枚という話になる。しかし、例えば5人組アイドルのポスターを作る場合、やはりデザイナーは、1人ずつのビジュアルと5人のビジュアルを用意し、貼る場所などによって選択したい。となると、ひとつのビジュアルにつき20〜30枚でいい。これをインクジェットで出力するわけだが、当時の技術ではデザイナーが納得のいく品質は得られなかった。今でこそ当たり前だが、当時のデザイナーはそんなジレンマを抱えていた」(原田社長)
そこで同社は、2000年に水性インクジェットプリンタを導入し、RGBデータによる広色域をマット系の用紙に再現することで「日光品質」を保証するインクジェット出力事業に乗り出した。
「なぜかメーカーは『インクジェット=キレイ』となるとグロス系の紙を好むが、デザイナーはマット系を好む傾向にある。そこで当社は、いち早く高色域をマット系の紙に高品質で出力。これが広く受け入れられた」(原田社長)
新着トピックス
-
FFGS、製造現場の可視化・分析で印刷DXを支援
2024年4月5日 マーケティング
-
テクノロール、純国産機の「安心」提供[A3ノビサイズ枚葉コーター機]
2024年4月4日 製品・テクノロジー
-
コダックジャパン、頁物印刷とパーソナライズDMの市場開拓へ
2024年4月3日 スペシャリスト
-
大洞印刷、国内外の需要に対応〜デジタル印刷サービスが二桁成長
2024年4月3日 企業・経営
-
昭和堂、小児患者と家族に希望を-子どもの絵画をデジタル印刷で作品化
2024年4月1日 企業・経営
新着ニュース
SNSランキング
- 93sharesサンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現
- 76sharesジップ、年間3億通を封入発送〜独自のダイレクトマーケティング事業展開
- 42sharesエイエイピー、「デジタル×紙」でイベント事業の高付加価値化へ[バリアブル印刷ソフトFormMagic採用事例]
- 39sharesSCREEN GA、「Creating A Future In Print 〜Tech x Irodori〜」テーマにdrupa2024に出展
- 38sharesFFGS、製造現場の可視化・分析で印刷DXを支援
- 30shares富士フイルムBI、DX実証の場へと進化した「Future Edge」
- 29sharesエプソン、機能性インクを搭載したMonna Lisaシリーズの新機種発売
- 27shares軟包装印刷向け水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」発売
- 25sharesブラザー、水性顔料ラテックスインクを搭載した大判プリンター「WF1-L640」発売
- 25sharesコダック、drupa2024でインクジェットとオフセットのソリューション展開