日光プロセス、Impala3によるディスプレイ事業で「オフセット品質」追求
「テカリ」なく「滑らかな階調」評価〜swissQprint製UVIJ「Impala3」導入事例
2019年9月26日ケーススタディ
技術開発やノウハウを引き出してくれる戦略機
現在、「脱・印刷」を経営ビジョンに掲げる同社。自社が提供できるサービス、持っている商材を印刷以外の業界に訴求していく中で、その守備範囲に最も近い分野として「ディスプレイ」にターゲットを定めている。その戦略機として今年3月、ハイエンドモデルのswissQprint製2.5×2mフラットベッドUVインクジェットプリンタ「Impala3」を導入した。
この設備投資により同社が目指したのは「オフセット品質」だ。このことについて製造本部 東京製造部の橋本孝志部長は「RGB色域の再現というよりも、オフセット印刷同等のクオリティを追求している。Impala3は、UVインクジェットプリンタ特有のテカリがなく、レベリングされたインクの載り感がオフセット印刷に近似している。また、ヘッドやテーブル上のピンの精度により見当精度が高く、白打ち後、4色印刷した際も白がはみ出るようなことはない。白のインク被膜自体も山状ではなく正確な四角い形状になっている」と評価する。
一方、原田社長は、「滑らかな階調」を高く評価する。「我々のターゲットは、従来の看板クオリティではなく、その上のハイクオリティなディスプレイの世界だ。バンディングが少なく、滑らかな階調表現は、我々にとって重要なポイントである」。同社のImpala3はスペック上最大となる9色仕様だが、ビビッドな表現に必要なオレンジ、グリーンは搭載しておらず、CMYKのプロセスカラーに加え、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラック、ホワイト、バーニッシュ(透明ニス)を搭載。とくにライトブラックの搭載が墨の階調の滑らかさに寄与しており、「ここには製版のノウハウが活かされている」と原田社長は説明する。
さらに橋本部長は「決定的に違うのが操作性である」と強調する。「出力機なのでデータが完璧に出来ていれば誰が出力しても同じ物が仕上がることが大前提になる。その上で、機械操作が非常にスマートだ。テーブルの高さも低めに設定され、女性にも扱いやすい他、始業時の立ち上がりのセットアップや、ヘッドクリーニングにも手間が掛からない。メンテナンス、セッティングを含めた操作性は抜群に良い」
また、生産性についても、swissQprint社が推奨するモードより2段階上の高解像度モードに設定しているのにもかかわらず、従来比1.7倍の生産性を実現しているという。
現在、Impala3による仕事は、駅貼りポスターを中心に、塩ビやバックライト系(コルトン)、ウインドウ系の透明フィルムへの出力と広がりを見せている。なかでも電飾看板に用いられるFFシートへの出力では、照射している夜間はキレイでも光を当てていない昼間では絵柄が濃くなってしまうが、同社では、何層かに分けてインクを重ねて印刷することで、昼夜を問わず同じように見える技術を開発するなど、こだわりの技術・ノウハウの蓄積にも余念がない。原田社長は「Impala3は、そんな技術開発やノウハウを引き出してくれるプリンタでもある」と説明する。
また、Impala3はLED-UV硬化タイプのため、クリアインクの厚盛り「バーニッシュ」において、非常に透明度の高い厚盛りが可能で、もちろん熱を発しないため、紙焼けしないというメリットもあるようだ。
色表現が求められるフィールドへ
「グラフィック分野にこだわらず、高品質の色表現が求められる分野を攻めていきたい」と語る原田社長。そのひとつが、同社が注力するディスプレイ事業である。「新聞や雑誌と比較して、印刷産業におけるポスター印刷の占める割合はごく僅か。しかしながら、市場の縮小幅も小さく、決してなくなることはない」(原田社長)とし、今後も主力事業として伸ばしていく考えだ。
また、他分野への展開において原田社長は、共通言語でやり取りできるパッケージ分野と、色にこだわる世界として建材分野を挙げており、今後、グラフィック、ディスプレイ、パッケージ、建材という4つの事業を柱として育てていく考えだ。
「当社は、『何千部、何万部』ではなく、『何台、何種類』という仕事をターゲットとし、今後もその姿勢は変わらない。そこでメディアは選ばない。高いクオリティの実現に対して、手間、コスト掛け、その分の価値に見合う料金をお支払いいただく。ここが最も当社の力を発揮できるフィールドである。その戦略機としてImpala3は今後、重要な役割を担っていくことになる」(原田社長)
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この設備投資により同社が目指したのは「オフセット品質」だ。このことについて製造本部 東京製造部の橋本孝志部長は「RGB色域の再現というよりも、オフセット印刷同等のクオリティを追求している。Impala3は、UVインクジェットプリンタ特有のテカリがなく、レベリングされたインクの載り感がオフセット印刷に近似している。また、ヘッドやテーブル上のピンの精度により見当精度が高く、白打ち後、4色印刷した際も白がはみ出るようなことはない。白のインク被膜自体も山状ではなく正確な四角い形状になっている」と評価する。
一方、原田社長は、「滑らかな階調」を高く評価する。「我々のターゲットは、従来の看板クオリティではなく、その上のハイクオリティなディスプレイの世界だ。バンディングが少なく、滑らかな階調表現は、我々にとって重要なポイントである」。同社のImpala3はスペック上最大となる9色仕様だが、ビビッドな表現に必要なオレンジ、グリーンは搭載しておらず、CMYKのプロセスカラーに加え、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラック、ホワイト、バーニッシュ(透明ニス)を搭載。とくにライトブラックの搭載が墨の階調の滑らかさに寄与しており、「ここには製版のノウハウが活かされている」と原田社長は説明する。
さらに橋本部長は「決定的に違うのが操作性である」と強調する。「出力機なのでデータが完璧に出来ていれば誰が出力しても同じ物が仕上がることが大前提になる。その上で、機械操作が非常にスマートだ。テーブルの高さも低めに設定され、女性にも扱いやすい他、始業時の立ち上がりのセットアップや、ヘッドクリーニングにも手間が掛からない。メンテナンス、セッティングを含めた操作性は抜群に良い」
また、生産性についても、swissQprint社が推奨するモードより2段階上の高解像度モードに設定しているのにもかかわらず、従来比1.7倍の生産性を実現しているという。
現在、Impala3による仕事は、駅貼りポスターを中心に、塩ビやバックライト系(コルトン)、ウインドウ系の透明フィルムへの出力と広がりを見せている。なかでも電飾看板に用いられるFFシートへの出力では、照射している夜間はキレイでも光を当てていない昼間では絵柄が濃くなってしまうが、同社では、何層かに分けてインクを重ねて印刷することで、昼夜を問わず同じように見える技術を開発するなど、こだわりの技術・ノウハウの蓄積にも余念がない。原田社長は「Impala3は、そんな技術開発やノウハウを引き出してくれるプリンタでもある」と説明する。
また、Impala3はLED-UV硬化タイプのため、クリアインクの厚盛り「バーニッシュ」において、非常に透明度の高い厚盛りが可能で、もちろん熱を発しないため、紙焼けしないというメリットもあるようだ。
色表現が求められるフィールドへ
「グラフィック分野にこだわらず、高品質の色表現が求められる分野を攻めていきたい」と語る原田社長。そのひとつが、同社が注力するディスプレイ事業である。「新聞や雑誌と比較して、印刷産業におけるポスター印刷の占める割合はごく僅か。しかしながら、市場の縮小幅も小さく、決してなくなることはない」(原田社長)とし、今後も主力事業として伸ばしていく考えだ。
また、他分野への展開において原田社長は、共通言語でやり取りできるパッケージ分野と、色にこだわる世界として建材分野を挙げており、今後、グラフィック、ディスプレイ、パッケージ、建材という4つの事業を柱として育てていく考えだ。
「当社は、『何千部、何万部』ではなく、『何台、何種類』という仕事をターゲットとし、今後もその姿勢は変わらない。そこでメディアは選ばない。高いクオリティの実現に対して、手間、コスト掛け、その分の価値に見合う料金をお支払いいただく。ここが最も当社の力を発揮できるフィールドである。その戦略機としてImpala3は今後、重要な役割を担っていくことになる」(原田社長)
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