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今井印刷、写真集のバリエーション展開など独自の企画提案可能に

[Jet Press 720S導入事例]新しいことにチャレンジする機運が高まり、社内変革に

2020年3月6日ケーススタディ

小ロット対応で「出版」をより身近なものに

 今井印刷が企画から携わり、「Jet Press 720S」を活かして製作した商品のひとつに、「GIFT」という写真集がある。山陰地方を中心に活動している写真家KWAN氏が撮影した美しい風景写真を収めたもので、広い色域を活かして海や植物などの鮮やかな色が美しく再現されている。しかも、表紙のビジュアルが6種類あり、それぞれページ順も異なる。オフセットでは困難だった多彩なバリエーション展開を実現しているのだ。

 「複数種類の本を1パスで印刷するという発想は、Jet Pressがなければ出てこなかっただろう。また、このような写真集をつくろうとすると、従来は初版で少なくとも1,500冊ぐらいは生産しないと利益ラインに乗らなかった。しかしJet Pressなら100冊程度からできる。時間的にも、いままで2週間かかっていたものがわずか2〜3日、ものによっては1日でできてしまう。もはや次元が違う。早く商品が完成し、売上につなげられるので、経営的なメリットは大きい。何より、どう活用しようかと考えるのが面白い。仕事の楽しさにもつながっている」(古磯常務)

多彩なバリエーションを実現した写真集「GIFT」

 また、写真家などのクリエイターからも、Jet Pressのクオリティに高い関心が寄せられているという。

 「オフセットより色域が広いこともあり、鮮やかな色彩など、伝えたいことを意図どおりに表現できるということが、クリエイターにとって大きな魅力になっている。昔オフセットで写真集をつくられた方から、『ぜひJet Pressでつくってみたい』という話をいただくこともある」(古磯常務)

 さらに、古磯常務は、「小ロット対応が可能になったことで、出版のハードルを下げることができた」と続ける。

 「たとえば書籍やフリーペーパーでも、最初から何千部もつくらずに、まずは300部、500部からやってみたいというお客様も多く、そういう方にとってもJet Pressは非常に価値があるのではないだろうか。原稿が短期間で本の形に仕上がる。コストも安い。本づくりが、ずっと身近なものになったと思う」(古磯常務)

 今井印刷にとっての営業的なメリットも大きく、Jet Press導入以降、受注件数も確実に増えているという。「仕事の幅が広がり、さまざまなことにチャレンジできるようになった」と古磯常務。Jet Pressを活かした新たなチャレンジのひとつが、本づくりのセレクトショップ「小さな今井」の開設だ。差別化戦略の一環として、また地域貢献の取り組みのひとつとして昨年9月にオープンさせた。

 「地元の方に気軽に立ち寄っていただき、本づくりの話ができるような場にしたいと考えている。イベントを企画したり、ワークショップを開いたり、さまざまな切り口で本に触れ合う機会を地域の皆さんにたくさん提供していきたい」(古磯常務)

本づくりの提案や地域交流の新たな拠点「小さな今井」

 「小さな今井」は米子市の中心部に位置することから、今井印刷の新たな営業窓口としての役割も担う。実際に、自費出版物では、ここで内容の打ち合わせを行い、本社のJet Pressで印刷し出版するケースも多い。また、同社はこのショップを、「本」に限定せず、地域の憩いの場としても広く活用していきたいと考えている。

 「やりたいことは無限にある。ソーシャルメディアの勉強会、あるいはいま話題のeスポーツの大会など。若年層からお年寄りまで、幅広い層の人たちと触れ合える場にしたい。今井書店グループとしても、この新しい拠点でいろいろな提案・発信のチャンスをつくっていきたいと考えている」(古磯常務)

クリエイターの意図を反映しやすくなった

 「Jet Press 720S」の導入は、今井印刷の生産現場にも大きなメリットをもたらしている。オペレーターを務める脇坂係長は、「オフセット印刷に比べて工数が格段に減った」と話す。

 「オフセットのような前準備作業などが必要なく、1枚目から色が合うので色校正とのマッチングで悩むこともなくなり、ストレスが格段に減った。RGBデータをそのまま出力できるため、データ変換に時間を取られなくなったことも大きい。また、トラブルがあると機械が検知してくれるので、印刷中、常に張り付いている必要もなく、別の作業を進めることができ、仕事の効率も上がっている」

 また、クリエイターの要望に素早く的確に応えられる柔軟性も魅力だと脇坂係長は強調する。

 「色域が広く、写真などの色が鮮明に再現できることもそうですが、色に関して要望があった場合でも簡単操作ですぐに応えられることも大きなメリット。オフセット印刷のように版を出し直す必要もなく、しかもデータに忠実に再現できる。クリエイターの意図を反映しやすくなった」

 加えて、古磯常務は、「営業・制作含めた社内全体に変化が生まれている」と語る。

 「Jet Pressの導入、「小さな今井」のオープンによって、新しいことをやってみようという意識が会社全体に広まってきたと感じている。『大量に安く』という世界とは違うフィールドに向かっている。どんなアイデアを出せるか、どんな工夫ができるか、そういう次元で勝負できるようになったのが、会社としての最も大きな変化である。これによって営業が強くなり、制作・印刷現場もストレスがなくなり、お客様にもメリットがある。まさに三方良し」

「小さくて強い会社」を目指す

 「Jet Press 720S」という新たな戦力を得て、受注拡大に加え、社内の活性化も図れているという今井印刷。まだ導入から日が浅いこともあり、試行錯誤を重ねているとのことだが、古磯常務は、「皆でアイデアを出しながらJet Pressの使い方を考えるのが、非常に楽しい」と笑顔を見せる。

 「このような新しい設備を採り入れていくということは、会社の社風を変えていくこと、新たな動きをつくることだと思っている。そしていま実際に会社が変わりつつある。ものすごいスピードで変化している現在の環境をどうやって生きていくかと考えると、いままでと同じやり方を続けていてはダメで、従来の受注産業スタイルから抜け出し、自ら変化していかなければならない。そのための武器として、Jet Pressのような設備はこれからマストアイテムになる」

 100年以上にわたって培ってきた印刷・出版のノウハウを活かしながら、常に時代の先を見据え、柔軟な発想で新しいことにチャレンジし続けるという攻めの姿勢が、同社の成長の原動力になっている。最後に、今井印刷が目指す将来像について古磯常務はこう語った。

 「私どもは、鳥取という全国的にも一番小さい商圏の中で生きているわけだが、どこに出しても恥ずかしくない商品をつくる力を持っていれば、会社の規模は小さくてもいいと思っている。設備も必ずしも大型の機械を揃える必要はない。アイデアと工夫で勝負できる『小さくて強い会社』を目指したい」

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小ロット対応で「出版」をより身近なものに

 今井印刷が企画から携わり、「Jet Press 720S」を活かして製作した商品のひとつに、「GIFT」という写真集がある。山陰地方を中心に活動している写真家KWAN氏が撮影した美しい風景写真を収めたもので、広い色域を活かして海や植物などの鮮やかな色が美しく再現されている。しかも、表紙のビジュアルが6種類あり、それぞれページ順も異なる。オフセットでは困難だった多彩なバリエーション展開を実現しているのだ。

 「複数種類の本を1パスで印刷するという発想は、Jet Pressがなければ出てこなかっただろう。また、このような写真集をつくろうとすると、従来は初版で少なくとも1,500冊ぐらいは生産しないと利益ラインに乗らなかった。しかしJet Pressなら100冊程度からできる。時間的にも、いままで2週間かかっていたものがわずか2〜3日、ものによっては1日でできてしまう。もはや次元が違う。早く商品が完成し、売上につなげられるので、経営的なメリットは大きい。何より、どう活用しようかと考えるのが面白い。仕事の楽しさにもつながっている」(古磯常務)

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 また、写真家などのクリエイターからも、Jet Pressのクオリティに高い関心が寄せられているという。

 「オフセットより色域が広いこともあり、鮮やかな色彩など、伝えたいことを意図どおりに表現できるということが、クリエイターにとって大きな魅力になっている。昔オフセットで写真集をつくられた方から、『ぜひJet Pressでつくってみたい』という話をいただくこともある」(古磯常務)

 さらに、古磯常務は、「小ロット対応が可能になったことで、出版のハードルを下げることができた」と続ける。

 「たとえば書籍やフリーペーパーでも、最初から何千部もつくらずに、まずは300部、500部からやってみたいというお客様も多く、そういう方にとってもJet Pressは非常に価値があるのではないだろうか。原稿が短期間で本の形に仕上がる。コストも安い。本づくりが、ずっと身近なものになったと思う」(古磯常務)

 今井印刷にとっての営業的なメリットも大きく、Jet Press導入以降、受注件数も確実に増えているという。「仕事の幅が広がり、さまざまなことにチャレンジできるようになった」と古磯常務。Jet Pressを活かした新たなチャレンジのひとつが、本づくりのセレクトショップ「小さな今井」の開設だ。差別化戦略の一環として、また地域貢献の取り組みのひとつとして昨年9月にオープンさせた。

 「地元の方に気軽に立ち寄っていただき、本づくりの話ができるような場にしたいと考えている。イベントを企画したり、ワークショップを開いたり、さまざまな切り口で本に触れ合う機会を地域の皆さんにたくさん提供していきたい」(古磯常務)

本づくりの提案や地域交流の新たな拠点「小さな今井」

 「小さな今井」は米子市の中心部に位置することから、今井印刷の新たな営業窓口としての役割も担う。実際に、自費出版物では、ここで内容の打ち合わせを行い、本社のJet Pressで印刷し出版するケースも多い。また、同社はこのショップを、「本」に限定せず、地域の憩いの場としても広く活用していきたいと考えている。

 「やりたいことは無限にある。ソーシャルメディアの勉強会、あるいはいま話題のeスポーツの大会など。若年層からお年寄りまで、幅広い層の人たちと触れ合える場にしたい。今井書店グループとしても、この新しい拠点でいろいろな提案・発信のチャンスをつくっていきたいと考えている」(古磯常務)

クリエイターの意図を反映しやすくなった

 「Jet Press 720S」の導入は、今井印刷の生産現場にも大きなメリットをもたらしている。オペレーターを務める脇坂係長は、「オフセット印刷に比べて工数が格段に減った」と話す。

 「オフセットのような前準備作業などが必要なく、1枚目から色が合うので色校正とのマッチングで悩むこともなくなり、ストレスが格段に減った。RGBデータをそのまま出力できるため、データ変換に時間を取られなくなったことも大きい。また、トラブルがあると機械が検知してくれるので、印刷中、常に張り付いている必要もなく、別の作業を進めることができ、仕事の効率も上がっている」

 また、クリエイターの要望に素早く的確に応えられる柔軟性も魅力だと脇坂係長は強調する。

 「色域が広く、写真などの色が鮮明に再現できることもそうですが、色に関して要望があった場合でも簡単操作ですぐに応えられることも大きなメリット。オフセット印刷のように版を出し直す必要もなく、しかもデータに忠実に再現できる。クリエイターの意図を反映しやすくなった」

 加えて、古磯常務は、「営業・制作含めた社内全体に変化が生まれている」と語る。

 「Jet Pressの導入、「小さな今井」のオープンによって、新しいことをやってみようという意識が会社全体に広まってきたと感じている。『大量に安く』という世界とは違うフィールドに向かっている。どんなアイデアを出せるか、どんな工夫ができるか、そういう次元で勝負できるようになったのが、会社としての最も大きな変化である。これによって営業が強くなり、制作・印刷現場もストレスがなくなり、お客様にもメリットがある。まさに三方良し」

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 「Jet Press 720S」という新たな戦力を得て、受注拡大に加え、社内の活性化も図れているという今井印刷。まだ導入から日が浅いこともあり、試行錯誤を重ねているとのことだが、古磯常務は、「皆でアイデアを出しながらJet Pressの使い方を考えるのが、非常に楽しい」と笑顔を見せる。

 「このような新しい設備を採り入れていくということは、会社の社風を変えていくこと、新たな動きをつくることだと思っている。そしていま実際に会社が変わりつつある。ものすごいスピードで変化している現在の環境をどうやって生きていくかと考えると、いままでと同じやり方を続けていてはダメで、従来の受注産業スタイルから抜け出し、自ら変化していかなければならない。そのための武器として、Jet Pressのような設備はこれからマストアイテムになる」

 100年以上にわたって培ってきた印刷・出版のノウハウを活かしながら、常に時代の先を見据え、柔軟な発想で新しいことにチャレンジし続けるという攻めの姿勢が、同社の成長の原動力になっている。最後に、今井印刷が目指す将来像について古磯常務はこう語った。

 「私どもは、鳥取という全国的にも一番小さい商圏の中で生きているわけだが、どこに出しても恥ずかしくない商品をつくる力を持っていれば、会社の規模は小さくてもいいと思っている。設備も必ずしも大型の機械を揃える必要はない。アイデアと工夫で勝負できる『小さくて強い会社』を目指したい」

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