日本HP、革新技術を搭載した次世代モデルを市場投入
デジタル印刷を新たなステージへ
2020年6月9日製品・テクノロジー
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「破壊と創造」と具現化した第6世代モデル
「HP Indigo V12 デジタル印刷機」は、ラベル・パッケージ向けに開発された第6世代プラットフォームのデジタル印刷機で、最大色数12色に対応する。HP社では、デジタルプレス事業の戦略として「破壊と創造」を掲げているが、このシリーズ6は、その方針を具現化した新機種で、これまでの印刷機構の見直し(破壊)、新たな技術(創造)を開発・採用している。
同社・デジタルプレス事業本部の土田泰弘氏は、「1993年に発表したIndigoデジタル印刷機の初期モデル以来の最大のブレークスルー」と説明する。まずは、印刷スピードの変化だ。「今までは4色印刷で30m/分、5色印刷で25m/分の生産性から、一気に6色印刷で120m/分、さらに最大で12色印刷にも対応できるようになっている」(土田氏)
これを実現したのが、湿式電子写真(LEP)の技術を活用した新たな印刷プロセス「LEPx」である。
常識を覆す120m/分の高速印刷
「LEPx」は、ブランケットベルトの下に小型化したプリントエンジン6つを1列に配置し、サーマルオフセットによる転写で画像を形成する技術。従来のIndigoでは、ブラン胴を4回転(30m/分)させることで4色印刷、7色印刷であれは、7回転(17m/分)させることで画像を形成していたが、この「LEPx」技術では、6つのプリントエンジンを1列に配置することで、ブランケットベルトが1回転(120m/分)で6色印刷、12色印刷でも2回転(60m/分)という高速化を図っている。高速化のポイントの1つがブランケットベルトを採用した印刷プロセスだ。
「ブランケットベルト上は加熱されているため液体トナーのキャリアはすぐに蒸発し、重たい絵柄であっても速度を落とすことなく安定した印刷が行える」(土田氏)
解像度についても、従来の812dpiから1,600dpiのLEDプリントヘッドに変更したことで、より高精度な印刷を可能としている。また、インラインでプライミング装置を搭載しているので、12ミクロンのフィルムから450ミクロンの厚紙など、多種多様な基材に対しても問題なく印刷することができる。HPでは、今後も技術開発を継続して行い、2022年の正式リリースを予定している。
また、ラベル・パッケージ向けに活用が期待されるのが、「Spot Master」だ。これは印刷機に搭載された分光光度計を使用して数分でジョブのスポットカラー(特色)を正確に測定し、自動で色再現を行う機能。印刷中もプロセスカラーおよびスポットカラーは、継続測色により自動補正が行われているので、常に安定した色管理が可能となる。さらに、これらのカラーデータは、PrintOS xにスコアリングされクラウドを介して、ビジネスオーナーや生産管理者らと情報を共有することもできる。
アプリケーション幅を広げるインクジェット輪転機
Indigoシリーズのほか、今回、インクジェットデジタル輪転機である「HP PageWideWeb Press T250HD」を発表している。IndigoとともにHPのデジタル印刷機の製品プロダクトを支えるPageWideは、講談社の採用によって国内においても多くの注目を集めた。
国内書籍・出版印刷市場では、依然として厳しい経営環境に置かれているが、PageWideを導入して、効率的な生産体制を構築し、成功を収めているユーザーもすでに存在している。つまり、生産方法を見直すこと、この場合では、インクジェット技術を活用することで、市場ニーズに適応した生産が成功のカギとなる。これこそがデジタル印刷機の強みの1つである。
同社・デジタルプレス事業本部の田口兼多氏は「ワールドワイドで見るとインクジェット方式によって生産されている書籍印刷の約75%でPageWideが使用されている」と、世界市場におけるPageWideの優位性について説明する。
上質紙やコート紙にも柔軟に対応
今回、発表されたHP PageWide Web Press T250HDの最大の特徴は、「HP Brilliantインク」の採用だ。
これまでPageWideでは、使用する用紙に合わせて、インク定着のプロセスを使い分けていた。今回、この用紙よって異なるインク定着のプロセスをHP Brilliantインクとオプティマイザーによって改善している。「オフセットの上質紙であれば、CMYKの絵柄部分にボンディングエージェントという定着剤を塗布し、また、コート紙であれば、用紙全面にプライマー処理を施してから印刷を行うプロセスであった。今回、HP Brilliantインクと絵柄部分にオプティマイザーを塗布することで、上質紙やコート紙であっても同じプロセスで印刷することができる」(田口氏)
さらに、HP Brilliantインクは、インキ定着性のほか、広い色域による人目を引く色彩、大胆な赤、目に鮮やかな青と光沢のある仕上がりにより高品質印刷を実現する。加えて、インクジェット方式の課題ともいえる「にじみ」の改善などの機能性により、従来のトランザクションや出版・書籍といった印刷領域から、ポスターやカタログ、DMなど、一般商業印刷領域への進出も可能となっている。
その新市場への進出を支援する機構として、ハリス&ブルーノ社との協業によるコーティング装置も開発し、オプションとしてインライン接続することができる。このコーティング装置は、UVと水性コーティング能力を備えおり、商業印刷およびダイレクトメールアプリケーション用に、新たな水準の品質、生産性、経済性を提供することができる。
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同社・デジタルプレス事業本部の土田泰弘氏は、「1993年に発表したIndigoデジタル印刷機の初期モデル以来の最大のブレークスルー」と説明する。
まずは、印刷スピードの変化だ。「今までは4色印刷で30m/分、5色印刷で25m/分の生産性から、一気に6色印刷で120m/分、さらに最大で12色印刷にも対応できるようになっている」(土田氏)
これを実現したのが、湿式電子写真(LEP)の技術を活用した新たな印刷プロセス「LEPx」である。
常識を覆す120m/分の高速印刷
「LEPx」は、ブランケットベルトの下に小型化したプリントエンジン6つを1列に配置し、サーマルオフセットによる転写で画像を形成する技術。従来のIndigoでは、ブラン胴を4回転(30m/分)させることで4色印刷、7色印刷であれは、7回転(17m/分)させることで画像を形成していたが、この「LEPx」技術では、6つのプリントエンジンを1列に配置することで、ブランケットベルトが1回転(120m/分)で6色印刷、12色印刷でも2回転(60m/分)という高速化を図っている。高速化のポイントの1つがブランケットベルトを採用した印刷プロセスだ。
「ブランケットベルト上は加熱されているため液体トナーのキャリアはすぐに蒸発し、重たい絵柄であっても速度を落とすことなく安定した印刷が行える」(土田氏)
解像度についても、従来の812dpiから1,600dpiのLEDプリントヘッドに変更したことで、より高精度な印刷を可能としている。また、インラインでプライミング装置を搭載しているので、12ミクロンのフィルムから450ミクロンの厚紙など、多種多様な基材に対しても問題なく印刷することができる。HPでは、今後も技術開発を継続して行い、2022年の正式リリースを予定している。
また、ラベル・パッケージ向けに活用が期待されるのが、「Spot Master」だ。これは印刷機に搭載された分光光度計を使用して数分でジョブのスポットカラー(特色)を正確に測定し、自動で色再現を行う機能。印刷中もプロセスカラーおよびスポットカラーは、継続測色により自動補正が行われているので、常に安定した色管理が可能となる。さらに、これらのカラーデータは、PrintOS xにスコアリングされクラウドを介して、ビジネスオーナーや生産管理者らと情報を共有することもできる。
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同社・デジタルプレス事業本部の田口兼多氏は「ワールドワイドで見るとインクジェット方式によって生産されている書籍印刷の約75%でPageWideが使用されている」と、世界市場におけるPageWideの優位性について説明する。
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「オフセットの上質紙であれば、CMYKの絵柄部分にボンディングエージェントという定着剤を塗布し、また、コート紙であれば、用紙全面にプライマー処理を施してから印刷を行うプロセスであった。今回、HP Brilliantインクと絵柄部分にオプティマイザーを塗布することで、上質紙やコート紙であっても同じプロセスで印刷することができる」(田口氏)
さらに、HP Brilliantインクは、インキ定着性のほか、広い色域による人目を引く色彩、大胆な赤、目に鮮やかな青と光沢のある仕上がりにより高品質印刷を実現する。加えて、インクジェット方式の課題ともいえる「にじみ」の改善などの機能性により、従来のトランザクションや出版・書籍といった印刷領域から、ポスターやカタログ、DMなど、一般商業印刷領域への進出も可能となっている。
その新市場への進出を支援する機構として、ハリス&ブルーノ社との協業によるコーティング装置も開発し、オプションとしてインライン接続することができる。このコーティング装置は、UVと水性コーティング能力を備えおり、商業印刷およびダイレクトメールアプリケーション用に、新たな水準の品質、生産性、経済性を提供することができる。
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