千葉印刷、特殊紙+特色による多彩な提案で受注拡大
[Iridesse Production Press導入事例]期待超える+αの提案〜社員のモチベーションアップに
2020年6月22日ケーススタディ
東京・渋谷区に本社を置く(株)千葉印刷(本社/東京都渋谷区円山町25-5、柳川満生社長)は、2018年11月にカラーオンデマンド・パブリッシング・システム「富士ゼロックス Iridesse Production Press」を導入し、さまざまな用紙とゴールドやシルバー、メタリックカラーの特殊色を活かした印刷物でPODビジネスを展開している。印刷物の手触り感やデザイン性に強いこだわりを持つクライアントが多いという同社だが、Iridesseをどのように活用し、どんな価値を提供しているのか。柳川社長に話を伺った。
「店頭で商談、その場で見本出力」の営業スタイル
千葉印刷は、POD機を4台(カラー3台、モノクロ1台)、オフセット印刷機を2台持ち、カタログ・パンフレットからチラシ、メニュー、ポスター、名刺、封筒まで幅広い印刷物を手がける。渋谷駅から徒歩10分という立地から、飲食店やアパレル、百貨店などからの受注が多い。特殊用紙の在庫と知識が豊富で、印刷技術だけでなく、マテリアルからの提案に定評がある。
また、店頭受付を活用した独自の営業形態も特色のひとつだ。クライアントへの訪問営業だけでなく、本社1階の打ち合わせスペースで見本の出力などを行いながら商談を進めるスタイルをとる。デザイナーや企業の企画・販促部門の担当者が相談に訪れ、用紙の風合いや、POD出力した際の色再現などをその場で確認しながら、印刷物の仕様を決めていくケースも多いという。
「こちらからお客様の方に出向くのが本来の営業なのかもしれないが、店頭ならすぐに見本をPOD出力してお見せできるというメリットがある。それを期待して来店されるお客様も多い。そんなお客様にとって身近な『印刷屋』でありたい。PODの世界はとくに『身近な存在』になることが重要だ。お客様のことをどれだけわかったうえで、コストやクオリティの要望に応えられるか。とくに当社の場合は変わったものをつくりたいというお客様が多いので、紙や色についての提案で付加価値を乗せていくことを大事にしている」(柳川社長)
同社の提案内容に対するクライアントの満足度は高く、その評判が口コミで広まることで新たな受注につながっているという。
サンプルチャートで認知度を高める
そんな千葉印刷がIridesseを導入したのは2018年11月。導入理由のひとつが「白」を使った印刷物のニーズが増えてきたことだという。
「白を使う場合、選択肢としてはUVオフセットか箔押し、シルク印刷があったが、どれも文字が太るという課題があった。そのため、ホワイトトナー対応のPOD機を持つ協力会社に外注することもあったが、その機械では白の濃度が足りない。試行錯誤していたところ、Iridesseが発売されたので早速検討した」(柳川社長)
他メーカーの機種も考えたが、柳川社長は「品質面で、お客様の要望に応えるのは難しいと感じた」と振り返る。それに対してIridesseは、ホワイトトナーの濃度はもちろん、CMYKの色再現性・安定性にも優れ、これなら厳しい品質要求を満たせるという手応えを感じたという。
出力品質に加えて、Iridesse導入の大きな決め手になったのが、RIP処理の速さだ。
「あるとき、モノクロ10万枚を一晩で出力するという超短納期の仕事が入り、データを3台のPOD機に振り分けて対応したのだが、RIP処理に時間がかかり、ヒヤヒヤしたことがあった。このとき、RIPのスピードは大事だと痛感した。その点、Iridesseは瞬発力が違う」(柳川社長)
もちろん、Iridesseの大きな特長である金・銀やメタリックカラーの活用も視野に入れての導入だった。特色のニーズも確実にある。しかし、POD機で特色を使えることは、クライアントにはほとんど知られていなかった。
そこで同社は、金・銀を用いたメタリックカラーのサンプルチャートを作成し、クライアントに配布。チャートにはデータの作成方法も記載し、認知を広げていった。
「まず50冊ほど配ったが、8割ぐらいのお客様から問い合わせをいただき、そのほとんどが受注につながった。それだけ潜在需要があったわけである」(柳川社長)
こうした取り組みの結果、認知が徐々に広まり、今年に入ってからは「2日に1回は金・銀・白を使う」までになっている。Iridesseでしか再現できないメタリックカラーがあるため、ときには1万〜2万部という、通常はオフセットで印刷するようなロットの仕事をIridesseで出力するケースもある。
また、特色だけでなくプロセス4色の品質もクライアントから高く評価されている。
「私はIridesseをPODの第4世代と呼んでいるが、第3世代までのPOD機の品質に泣かされた人は多く『オンデマンド恐怖症』になっている人もいる。そんなお客様にIridesseで出したサンプルを見せると、『こんなにきれいなの?』と驚かれる。いまはPODでもこれだけの表現ができるのだという認知をもっと広めていかないといけない」(柳川社長)
新着トピックス
-
ケーススタディ 門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
-
ケーススタディ 尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日ケーススタディ
「アイデア什器」の(株)リンクス(本社/岐阜県関市倉知2639-1、吉田哲也社長)は昨年11月、富士フイルムの枚葉インクジェットデジタルプレス「JetPress750S」(厚紙仕様)...全文を読む
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日製品・テクノロジー
コニカミノルタジャパン(株)は、デジタルカラー印刷システムの最上位機種「AccurioPress(アキュリオプレス) C14010シリーズ」の発売を記念して4月23・24日の2日間、...全文を読む
最新ニュース
エプソン、世界最少の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が「機械遺産」に選定
2025年8月7日
セイコーエプソン(株)がエプソンミュージアム諏訪(長野県諏訪市)に所蔵している、1968年より発売した世界最小(同社調べ(当時))の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が、(一...全文を読む
リコー、広幅対応DTFプリンター「RICOH Pro D1600」を松井色素化学工業所に供給開始
2025年8月7日
(株)リコー(大山晃社長)は、産業用テキスタイル印刷市場向けに、高生産性を実現する広幅対応Direct To Film(DTF)プリンター「RICOH Pro D1600」について、...全文を読む
コニカミノルタ、反応染料用インライン前処理インク「O'ROBE」の提供開始
2025年7月29日
コニカミノルタ(株)(本社/東京都千代田区、大幸利充社長、以下、コニカミノルタ)は、インクジェットテキスタイルプリンター「Nassenger(ナッセンジャー)」シリーズ用インクとして...全文を読む
千葉印刷、特殊紙+特色による多彩な提案で受注拡大
[Iridesse Production Press導入事例]期待超える+αの提案〜社員のモチベーションアップに
2020年6月22日ケーススタディ
東京・渋谷区に本社を置く(株)千葉印刷(本社/東京都渋谷区円山町25-5、柳川満生社長)は、2018年11月にカラーオンデマンド・パブリッシング・システム「富士ゼロックス Iridesse Production Press」を導入し、さまざまな用紙とゴールドやシルバー、メタリックカラーの特殊色を活かした印刷物でPODビジネスを展開している。印刷物の手触り感やデザイン性に強いこだわりを持つクライアントが多いという同社だが、Iridesseをどのように活用し、どんな価値を提供しているのか。柳川社長に話を伺った。
「店頭で商談、その場で見本出力」の営業スタイル
千葉印刷は、POD機を4台(カラー3台、モノクロ1台)、オフセット印刷機を2台持ち、カタログ・パンフレットからチラシ、メニュー、ポスター、名刺、封筒まで幅広い印刷物を手がける。渋谷駅から徒歩10分という立地から、飲食店やアパレル、百貨店などからの受注が多い。特殊用紙の在庫と知識が豊富で、印刷技術だけでなく、マテリアルからの提案に定評がある。
また、店頭受付を活用した独自の営業形態も特色のひとつだ。クライアントへの訪問営業だけでなく、本社1階の打ち合わせスペースで見本の出力などを行いながら商談を進めるスタイルをとる。デザイナーや企業の企画・販促部門の担当者が相談に訪れ、用紙の風合いや、POD出力した際の色再現などをその場で確認しながら、印刷物の仕様を決めていくケースも多いという。
「こちらからお客様の方に出向くのが本来の営業なのかもしれないが、店頭ならすぐに見本をPOD出力してお見せできるというメリットがある。それを期待して来店されるお客様も多い。そんなお客様にとって身近な『印刷屋』でありたい。PODの世界はとくに『身近な存在』になることが重要だ。お客様のことをどれだけわかったうえで、コストやクオリティの要望に応えられるか。とくに当社の場合は変わったものをつくりたいというお客様が多いので、紙や色についての提案で付加価値を乗せていくことを大事にしている」(柳川社長)
同社の提案内容に対するクライアントの満足度は高く、その評判が口コミで広まることで新たな受注につながっているという。
サンプルチャートで認知度を高める
そんな千葉印刷がIridesseを導入したのは2018年11月。導入理由のひとつが「白」を使った印刷物のニーズが増えてきたことだという。
「白を使う場合、選択肢としてはUVオフセットか箔押し、シルク印刷があったが、どれも文字が太るという課題があった。そのため、ホワイトトナー対応のPOD機を持つ協力会社に外注することもあったが、その機械では白の濃度が足りない。試行錯誤していたところ、Iridesseが発売されたので早速検討した」(柳川社長)
他メーカーの機種も考えたが、柳川社長は「品質面で、お客様の要望に応えるのは難しいと感じた」と振り返る。それに対してIridesseは、ホワイトトナーの濃度はもちろん、CMYKの色再現性・安定性にも優れ、これなら厳しい品質要求を満たせるという手応えを感じたという。
出力品質に加えて、Iridesse導入の大きな決め手になったのが、RIP処理の速さだ。
「あるとき、モノクロ10万枚を一晩で出力するという超短納期の仕事が入り、データを3台のPOD機に振り分けて対応したのだが、RIP処理に時間がかかり、ヒヤヒヤしたことがあった。このとき、RIPのスピードは大事だと痛感した。その点、Iridesseは瞬発力が違う」(柳川社長)
もちろん、Iridesseの大きな特長である金・銀やメタリックカラーの活用も視野に入れての導入だった。特色のニーズも確実にある。しかし、POD機で特色を使えることは、クライアントにはほとんど知られていなかった。
そこで同社は、金・銀を用いたメタリックカラーのサンプルチャートを作成し、クライアントに配布。チャートにはデータの作成方法も記載し、認知を広げていった。
「まず50冊ほど配ったが、8割ぐらいのお客様から問い合わせをいただき、そのほとんどが受注につながった。それだけ潜在需要があったわけである」(柳川社長)
こうした取り組みの結果、認知が徐々に広まり、今年に入ってからは「2日に1回は金・銀・白を使う」までになっている。Iridesseでしか再現できないメタリックカラーがあるため、ときには1万〜2万部という、通常はオフセットで印刷するようなロットの仕事をIridesseで出力するケースもある。
また、特色だけでなくプロセス4色の品質もクライアントから高く評価されている。
「私はIridesseをPODの第4世代と呼んでいるが、第3世代までのPOD機の品質に泣かされた人は多く『オンデマンド恐怖症』になっている人もいる。そんなお客様にIridesseで出したサンプルを見せると、『こんなにきれいなの?』と驚かれる。いまはPODでもこれだけの表現ができるのだという認知をもっと広めていかないといけない」(柳川社長)
新着トピックス
-
門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
2025年8月8日 ケーススタディ
-
尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
2025年8月4日 ケーススタディ
-
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日 ケーススタディ
-
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日 製品・テクノロジー
-
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日 ケーススタディ
新着ニュース
SNSランキング
- 63sharesミマキ、330シリーズとエコ溶剤インクが3M MCS保証認定
- 43sharesパラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
- 39sharesエプソン、立体物への直接印刷を可能にする「Direct to Shape Printing System」発表
- 38sharesKOMORI、241名が来場した新春特別内覧会のデモ動画(Impremia IS29s」公開
- 29sharesKOMORI、インクジェット印刷機とデジタル加飾機の連携披露
- 27shares日印機工とプリデジ協、IGAS2027の日程決定-2027年8月に東京ビッグサイトで開催
- 27sharesリコー、企業内・商用印刷の幅広いニーズに対応するカラー機の新機種発売
- 26sharesミヤコシ、軟包装向け水性インクジェット「MJP ADVANCED 45X for FILM」発表
- 25shares富士フイルムBI、デジタル印刷作品のコンテスト「IPA」の作品募集開始
- 23sharesリコー、広幅対応DTFプリンター「RICOH Pro D1600」を松井色素化学工業所に供給開始
おすすめコンテンツ
尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
竹田印刷、多様な個性をかたちに〜アール・ブリュット作品を世界に発信
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞