大洋印刷、JETI MIRA導入で印刷物の立体表現へ
特殊印刷で潜在需要喚起〜BtoC市場開拓のツールに
2021年4月9日ケーススタディ
-
「圧倒的な生産性」と「微細な文字表現」
実際の運用を担当するS&D部制作課の丹田大輔係長は、「第一印象は、やはり圧倒的な生産性だった」と話す。もちろん、10年前の従来機との比較になるわけだが、B全換算で約8分程度かかった仕事がJETI MIRAならば4分、半分程度で処理できる。導入後初の実績として、2×1.5メートル、厚さ3センチの木の板への印刷4枚を納期1日で処理したという。
「これはお客様立ち会いの仕事だったが、JETI MIRAが様々な表現が可能なことから、お客様側でイメージが膨らみ、どんどん要求が増していった。従来機なら『これ以上できません』と言うこともあったが、JETI MIRAはその要求を満たしていく。結果、当社に対する期待が高まり、さらなる可能性を感じていただけたと思う。今後は、デザイン会社などにも公開し、デザインやアイデアのイメージを膨らませてもらうきっかけを提供できればと考えている」(白井本部長)
さらに丹田係長は、現場から見た品質面での評価として、仕上がりをグロス調、マット調にコントロールできるモード設定による「色の出方」、高解像度による「描画性」および「小さな文字の再現性」を挙げている。「先日、細かな文字の仕事があり、溶剤系のプリンタで出力した方が良いと判断したが、試しにJETI MIRAで印刷したところ、こっちの方が微細に表現できており、正直驚いた。一般的に大判インクジェットの場合、そこまで解像度を必要としていないが、この微細な表現は大判インクジェット分野の差別化になり得る」(丹田係長)
さらに、「インクの密着性」もアグフアプリンタの大きな特長である。同社でも、従来機で使用していたインクが堅く、プライマーも必要だったが、JETI MIRAは同じ仕事をプライマーなしで直接印刷してもインクが剥がれにくい。「インクが軟らかいため、例えば印刷後に折り曲げてもインクが割れない。現在も木やアクリル板、銅板などに印刷しているが、このインクには印刷素材や加工の幅を広げる可能性を感じる」(丹田係長)
BtoCへの可能性も
今回のJETI MIRA導入に際して、同社では全社の営業マンを対象に説明会を実施するなど、同機による新たな事業展開に力を入れている。今後は、JETI MIRAの特性を生かした様々なアプリケーションの試作を作成し、営業と生産が一体となって、クライアントに対して積極的にアウトプットしていく考えだ。齋藤執行役員は、「JETI MIRAの特殊印刷機能の可能性を実際のサンプルで示し、クライアントの潜在ニーズを引き出すこともできる。『どこにもできない印刷を手掛けたい』という我々の思いを実現させるため、さらに特殊印刷の幅を広げ、プロである同業者にもプレゼンできる体制を整えたい」と語る。
一方、白井本部長は、コロナ禍においてJETI MIRAがBtoCへの可能性を切り拓くツールとして機能することも示唆しており、「3Dレンズを使った『いままでにない印刷物』の訴求は、ネット販売との親和性も高いと考える。生産性を高めることでコスト競争力を高め、BtoCの世界で十分戦える市場開拓にも乗り出す必要性を感じている」とし、今後は特許申請を含めた、JETI MIRAによる商品開発・展開に注力していく考えだ。
新着トピックス
共同印刷工業(京都)、安定性の高さが決め手[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年10月9日ケーススタディ
京都を拠点に出版印刷を手がける共同印刷工業(株)(本社/京都市右京区西院清水町156-1、江戸孝典社長)は2024年3月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター「Revoria...全文を読む
ミマキ、捺染方式を刷新 - 簡便性と汎用性の「TRAPIS」
2024年9月28日製品・テクノロジー
(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は、2023年6月に開催されたITMAで技術出展した「捺染顔料転写プリントシステム」を製品化し、環境と人に優しい次世代...全文を読む
最新ニュース
swissQprint、SuperGraphics社に2,000台目のプリンタ納入
2024年11月28日
swissQprintは、シアトルに本社を置くSuperGraphics社に2,000台目となるワイドフォーマットプリンタを導入した。これはswissQprintにとってのマイルスト...全文を読む
望月印刷、クラウド型バリアブルソフトを導入し属人化脱却と品質向上を実現
2024年11月28日
望月印刷(株)(東京都台東区)は、このほどコニカミノルタジャパン(株)が提供するクラウド型の可変印刷ツール「Variable Studio」を導入し、属人化脱却と品質向上を実現した。...全文を読む
SCREEN、令和6年度近畿地方発明表彰「日本弁理士会会長賞」を受賞
2024年11月18日
(株)SCREENホールディングスは、(公社)発明協会が主催する「令和6年度 近畿地方発明表彰」において「用紙蛇行に対応する印刷装置(特許第6438718号)」で「日本弁理士会会長賞」...全文を読む
大洋印刷、JETI MIRA導入で印刷物の立体表現へ
特殊印刷で潜在需要喚起〜BtoC市場開拓のツールに
2021年4月9日ケーススタディ
「圧倒的な生産性」と「微細な文字表現」
実際の運用を担当するS&D部制作課の丹田大輔係長は、「第一印象は、やはり圧倒的な生産性だった」と話す。もちろん、10年前の従来機との比較になるわけだが、B全換算で約8分程度かかった仕事がJETI MIRAならば4分、半分程度で処理できる。導入後初の実績として、2×1.5メートル、厚さ3センチの木の板への印刷4枚を納期1日で処理したという。
「これはお客様立ち会いの仕事だったが、JETI MIRAが様々な表現が可能なことから、お客様側でイメージが膨らみ、どんどん要求が増していった。従来機なら『これ以上できません』と言うこともあったが、JETI MIRAはその要求を満たしていく。結果、当社に対する期待が高まり、さらなる可能性を感じていただけたと思う。今後は、デザイン会社などにも公開し、デザインやアイデアのイメージを膨らませてもらうきっかけを提供できればと考えている」(白井本部長)
さらに丹田係長は、現場から見た品質面での評価として、仕上がりをグロス調、マット調にコントロールできるモード設定による「色の出方」、高解像度による「描画性」および「小さな文字の再現性」を挙げている。「先日、細かな文字の仕事があり、溶剤系のプリンタで出力した方が良いと判断したが、試しにJETI MIRAで印刷したところ、こっちの方が微細に表現できており、正直驚いた。一般的に大判インクジェットの場合、そこまで解像度を必要としていないが、この微細な表現は大判インクジェット分野の差別化になり得る」(丹田係長)
さらに、「インクの密着性」もアグフアプリンタの大きな特長である。同社でも、従来機で使用していたインクが堅く、プライマーも必要だったが、JETI MIRAは同じ仕事をプライマーなしで直接印刷してもインクが剥がれにくい。「インクが軟らかいため、例えば印刷後に折り曲げてもインクが割れない。現在も木やアクリル板、銅板などに印刷しているが、このインクには印刷素材や加工の幅を広げる可能性を感じる」(丹田係長)
BtoCへの可能性も
今回のJETI MIRA導入に際して、同社では全社の営業マンを対象に説明会を実施するなど、同機による新たな事業展開に力を入れている。今後は、JETI MIRAの特性を生かした様々なアプリケーションの試作を作成し、営業と生産が一体となって、クライアントに対して積極的にアウトプットしていく考えだ。齋藤執行役員は、「JETI MIRAの特殊印刷機能の可能性を実際のサンプルで示し、クライアントの潜在ニーズを引き出すこともできる。『どこにもできない印刷を手掛けたい』という我々の思いを実現させるため、さらに特殊印刷の幅を広げ、プロである同業者にもプレゼンできる体制を整えたい」と語る。
一方、白井本部長は、コロナ禍においてJETI MIRAがBtoCへの可能性を切り拓くツールとして機能することも示唆しており、「3Dレンズを使った『いままでにない印刷物』の訴求は、ネット販売との親和性も高いと考える。生産性を高めることでコスト競争力を高め、BtoCの世界で十分戦える市場開拓にも乗り出す必要性を感じている」とし、今後は特許申請を含めた、JETI MIRAによる商品開発・展開に注力していく考えだ。
新着トピックス
-
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
2024年11月20日 企業・経営
-
価値協創で新たな潮流|エイエイピー、Jet Press 750Sが新たなステージへ
2024年11月13日 企業・経営
-
共同印刷工業(京都)、安定性の高さが決め手[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年10月9日 ケーススタディ
-
ミマキ、捺染方式を刷新 - 簡便性と汎用性の「TRAPIS」
2024年9月28日 製品・テクノロジー
-
コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結
2024年9月20日 製品・テクノロジースペシャリスト
新着ニュース
SNSランキング
- 84shares大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
- 68sharesafter drupa 2024|富士フイルム、「Discover the difference」─過去最大規模で
- 59sharesエプソン、印刷プロセスのデジタル化をリードするFiery社を完全子会社化
- 39sharesミマキ、印刷脱色技術実用化でタペストリーのアップサイクル実現
- 38shares富士フイルムBI、モノクロ機に印刷物の検品工程を自動化する新機能搭載
- 30shares独SDVグループ、PROSPER ULTRA 520プレス欧州初採用
- 30sharesエコー(東京)、「オフセットと遜色のない品質」[Revoria Press PC1120導入事例]
- 29shares日本HP、「HP Indigo実機見学会〜都内60分でおさえるHPデジタル印刷オープンハウス」開催
- 28shares富士フイルムBI、ワークフローの新領域へ〜真の自動化によるDXを訴求
- 21sharesSCREEN、「デジタルで彩るラベルの未来」テーマにラベルフォーラムジャパン2024に出展