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DXで生産性向上と付加価値創出[DX推進PT 福田浩志委員長に聞く]

未来の印刷産業を具現化〜生産協調で収益構造を改善

2021年7月5日企業・経営スペシャリスト

 全日本印刷工業組合連合会(全印工連、滝澤光正会長)では、ブランドスローガン「Happy Industry〜人々の暮らしを彩り幸せを創る印刷産業〜」を目指し、令和版構造改善事業に着手している。その取り組みの中核を担う構想として「印刷DX(デジタルトランスフォーメーション)推進プロジェクト」を立ち上げ、昨年度より本格的な活動を開始した。今回、同プロジェクトチームの福田浩志委員長に、改めて全印工連が推進する印刷DXの概要や目的、そして今後の展開などについて聞いた。

福田 委員長

 「印刷DX推進プロジェクト」とは、組合員に参加を募り、参加企業の協業による「生産協調」を推し進めることで効率的な生産体制を確立し、供給過剰による低収益構造から高収益構造にシフトしていくことを支援するもの。これにより参加企業は、オープンプラットフォームによる生産管理システムと受発注マッチングシステムを共有することで、より効率的な生産体制を構築できるようになる。

 DXは、デジタル化とは違うと認識して欲しい。デジタル化とは、あくまでも手段であり、DXは、産業構造を改革することを目的としている。そのため全印工連では、印刷産業におけるDXの定義を「デジタル技術とデータの活用により、印刷産業が抱える諸問題を改善し、生産の効率化やビジネスモデルの変革を促進することで、印刷産業全体の構造改革をもたらし、印刷産業が光り輝く産業として変貌を遂げ、Happy Industryとなること」としている。

経済産業省の調査から見えた印刷産業の課題

 全印工連では、経済産業省に対し、国として印刷産業の実態調査の実施を要望してきた。その要望が通り、2019年度の事業として「印刷産業における取引環境実態調査」として取りまとめられた。その調査から「設備稼働率の悪化」「生産設備の供給過剰」「受注単価下落による営業利益の低下」「収益管理が行えていない」「経営者の高齢化による事業承継の問題」などが印刷産業の課題として浮き彫りとなった。

 「設備稼働率の悪化」と「生産設備の供給過剰」は共通課題と捉えており、生産設備が市場に溢れていることから必然的に稼働率が低下し、結果として生産性が上がらない。「受注単価下落による営業利益の低下」は、縮小傾向にある市場では、価格競争が激化し、その結果、営業利益を生み出すことが難しくなっていること。営業利益が低下すると新たな設備投資もできず、より生産性が落ちていくといった負のスパイラルに陥っている。

 また、デジタル技術を活用したシステム化が行われておらず、正確な収益管理ができていない印刷会社も少なくない。そのような会社では、赤字受注なども当たり前のように行われている。

 これらの課題を解決する手段として「様々な企業連携」「個々の得意分野の把握」「得意領域の組み合わせ」「稼働情報データの連携」「管理コストの引き下げ」を実行することで印刷産業の底上げを図ることが重要である。これを実現するのがDXであり、生産性向上と付加価値創出を目指していくものである。

得意分野に経営資源を集中投下

 全印工連が想定しているスキームの1つとしては、主に印刷製造を担うファクトリー機能と付加価値提供を担うサービスプロバイダー機能を業務基幹システムでつなげ、稼働状況やエリアや納期などの共有する情報などから最適なファクトリーを選択・発注できる環境の整備を目指していく。これにより産業全体の生産性を向上させ、その効率化によって発生した余力を付加価値創出にシフトさせ、印刷製造以外の付帯サービスへの取り組みによる収益向上につなげていく。

 DX導入による生産協調を進めることで、生産を縮小あるいはサービスに特化する会社は、顧客接点を最大化することに経営資源を投下し、高い付加価値を創出していくことに集中できる。

 一方、生産に経営資源を投下する会社は、さらなる生産性向上によりスマートファクトリー化を推し進め、高効率生産が可能となる。

DXとは現代版の「デジタル共創ネットワーク」

 DXの構図として、付加価値を創出するサービスプロバイダー側と生産に特化したファクトリー側に分かれると認識している組合員も多いかもしれない。しかし、市場がシュリンクする中で、サービスプロバイダー側でもファクトリー側でもコロナ禍によって経営資源は、逼迫しているはず。そのため自社の得意分野に投資することはできても、それ以外の分野には現実的に不可能といえる。その足りない部分を生産協調で補うことが必要となってくる。

 かつて全印工連では、組合企業同士で自社の強みや弱みを補完し合うことを目的とした「共創ネットワーク」を提唱している。現在、我々が推し進めているDXは、この「共創ネットワーク」を現代版として、デジタルの力を活用したかたちで構築するもの。つまり「デジタル共創ネットワーク」とも言える。自社の強みを最大限に発揮できる環境を生産協調によって生み出すことで生産の効率化、収益性の改善を目的としている。そのため必ずしもサービスプロバイダーとファクトリーのどちらかに自社を当てはめる必要はなく、あくまでも自社の強みをさらに極め、苦手な分野については生産協調で補っていくと理解して欲しい。

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未来の印刷産業を具現化〜生産協調で収益構造を改善

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 全日本印刷工業組合連合会(全印工連、滝澤光正会長)では、ブランドスローガン「Happy Industry〜人々の暮らしを彩り幸せを創る印刷産業〜」を目指し、令和版構造改善事業に着手している。その取り組みの中核を担う構想として「印刷DX(デジタルトランスフォーメーション)推進プロジェクト」を立ち上げ、昨年度より本格的な活動を開始した。今回、同プロジェクトチームの福田浩志委員長に、改めて全印工連が推進する印刷DXの概要や目的、そして今後の展開などについて聞いた。

福田 委員長

 「印刷DX推進プロジェクト」とは、組合員に参加を募り、参加企業の協業による「生産協調」を推し進めることで効率的な生産体制を確立し、供給過剰による低収益構造から高収益構造にシフトしていくことを支援するもの。これにより参加企業は、オープンプラットフォームによる生産管理システムと受発注マッチングシステムを共有することで、より効率的な生産体制を構築できるようになる。

 DXは、デジタル化とは違うと認識して欲しい。デジタル化とは、あくまでも手段であり、DXは、産業構造を改革することを目的としている。そのため全印工連では、印刷産業におけるDXの定義を「デジタル技術とデータの活用により、印刷産業が抱える諸問題を改善し、生産の効率化やビジネスモデルの変革を促進することで、印刷産業全体の構造改革をもたらし、印刷産業が光り輝く産業として変貌を遂げ、Happy Industryとなること」としている。

経済産業省の調査から見えた印刷産業の課題

 全印工連では、経済産業省に対し、国として印刷産業の実態調査の実施を要望してきた。その要望が通り、2019年度の事業として「印刷産業における取引環境実態調査」として取りまとめられた。その調査から「設備稼働率の悪化」「生産設備の供給過剰」「受注単価下落による営業利益の低下」「収益管理が行えていない」「経営者の高齢化による事業承継の問題」などが印刷産業の課題として浮き彫りとなった。

 「設備稼働率の悪化」と「生産設備の供給過剰」は共通課題と捉えており、生産設備が市場に溢れていることから必然的に稼働率が低下し、結果として生産性が上がらない。「受注単価下落による営業利益の低下」は、縮小傾向にある市場では、価格競争が激化し、その結果、営業利益を生み出すことが難しくなっていること。営業利益が低下すると新たな設備投資もできず、より生産性が落ちていくといった負のスパイラルに陥っている。

 また、デジタル技術を活用したシステム化が行われておらず、正確な収益管理ができていない印刷会社も少なくない。そのような会社では、赤字受注なども当たり前のように行われている。

 これらの課題を解決する手段として「様々な企業連携」「個々の得意分野の把握」「得意領域の組み合わせ」「稼働情報データの連携」「管理コストの引き下げ」を実行することで印刷産業の底上げを図ることが重要である。これを実現するのがDXであり、生産性向上と付加価値創出を目指していくものである。

得意分野に経営資源を集中投下

 全印工連が想定しているスキームの1つとしては、主に印刷製造を担うファクトリー機能と付加価値提供を担うサービスプロバイダー機能を業務基幹システムでつなげ、稼働状況やエリアや納期などの共有する情報などから最適なファクトリーを選択・発注できる環境の整備を目指していく。これにより産業全体の生産性を向上させ、その効率化によって発生した余力を付加価値創出にシフトさせ、印刷製造以外の付帯サービスへの取り組みによる収益向上につなげていく。

 DX導入による生産協調を進めることで、生産を縮小あるいはサービスに特化する会社は、顧客接点を最大化することに経営資源を投下し、高い付加価値を創出していくことに集中できる。

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 かつて全印工連では、組合企業同士で自社の強みや弱みを補完し合うことを目的とした「共創ネットワーク」を提唱している。現在、我々が推し進めているDXは、この「共創ネットワーク」を現代版として、デジタルの力を活用したかたちで構築するもの。つまり「デジタル共創ネットワーク」とも言える。自社の強みを最大限に発揮できる環境を生産協調によって生み出すことで生産の効率化、収益性の改善を目的としている。そのため必ずしもサービスプロバイダーとファクトリーのどちらかに自社を当てはめる必要はなく、あくまでも自社の強みをさらに極め、苦手な分野については生産協調で補っていくと理解して欲しい。

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