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コームラ、オールデジタル印刷化で業績V字回復 - FFGS「最適生産ソリューション」先行事例

付加価値経営で「余力」創出〜スキルレス化で品質安定担保

2022年3月29日企業・経営

 富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(辻重紀社長、「FFGS」)が昨年から提案する「最適生産ソリューション」は、オフセット印刷とデジタル印刷の共存を始めとした、生産環境全体の最適化により生み出した「余力」を再分配するという考え方にもとづくもので、「DX(Digital Transformation)」実現への期待を前提に、企業の持続的な成長へのアプローチをメソッド化している。今回、その先行事例とも言える(株)コームラ(岐阜市三輪ぷりんとぴあ3、鴻村健司社長)のドラスティックな経営変革を取材した。

鴻村 社長

 昨年7月、富士フイルムの「グラフィックシステム事業部」と富士フイルムビジネスイノベーション(「富士フイルムBI」、旧富士ゼロックス)の「グラフィックコミュニケーションサービス事業本部」が統合され、富士フイルムに「グラフィックコミュニケーション事業部」が設立された。

 同社は、この事業統合で目指す「印刷業界への価値提供」に向け、新たなソリューション「最適生産ソリューション」を提案する。

 これは、客観的な分析から印刷会社が抱える本質的な課題を見える化し、その課題を解決に導く「生産改革」と、そこで生みだした経営資源の「余力」を企業の「成長戦略」に再分配することで印刷会社の持続的な成長を支えるもの。デジタルソリューション営業部の鈴木重雄部長は、「従来の仕事のやり方をしていると、経営資源である時間・人材・設備・経営資金を不用意に浪費してしまう。そこをデジタル技術の活用により改善できれば、そこから潜在的な経営資源が顕在化する。これがソリューションの根幹」と説明する。

 さらに、ここで抽出した経営資源を成長戦略に再分配していくことが重要になる。そこで顧客基盤や会社が持つ情報、また企業文化やブランドといった無形財産などを絡ませて成長戦略に仕立て上げていくことで、はじめてDXが完成するというわけだ。

計12台のPODが稼働 投資の原資は「足元の改善」から確保

 同社の創業は昭和12年。軍関連の事務用品を扱う鴻村維一商店として産声をあげた同社は、その後、官公庁をはじめ国立病院や大学へと販路を広げ、約4,000アイテムにもおよぶ伝票・帳票類の印刷物を中心とした通信カタログ販売で飛躍的な成長を遂げる。

 そんな同社のひとつの転機となったのが大学関連事業の強化だ。競争激化の様相を呈した約10年前、それまでも強固な事業基盤のあった大学向けの事業にさらなる経営資源を投入。Web制作やアンケート調査、印刷、イベントグッズなど、大学関連の様々な商材をワンストップで提供することで企業価値向上を実現。さらに、この実績をもとにWeb制作、印刷物、看板・案内板(大判印刷)、会場設営/映像機器・PC受付手配、発送代行、粗品・備品手配など、学会運営に関わるあらゆるアイテムをパッケージ化した「学会スマート」を商品化し、これまでに累計365大会をサポートしている。

 同社は、現在最も注力するこの学会サポート事業、Web・システム事業、印刷事業の3つを柱とし、これらの事業すべてにおいて大学向け事業(8割)に軸足を置いた事業構造になっている。

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 富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(辻重紀社長、「FFGS」)が昨年から提案する「最適生産ソリューション」は、オフセット印刷とデジタル印刷の共存を始めとした、生産環境全体の最適化により生み出した「余力」を再分配するという考え方にもとづくもので、「DX(Digital Transformation)」実現への期待を前提に、企業の持続的な成長へのアプローチをメソッド化している。今回、その先行事例とも言える(株)コームラ(岐阜市三輪ぷりんとぴあ3、鴻村健司社長)のドラスティックな経営変革を取材した。

鴻村 社長

 昨年7月、富士フイルムの「グラフィックシステム事業部」と富士フイルムビジネスイノベーション(「富士フイルムBI」、旧富士ゼロックス)の「グラフィックコミュニケーションサービス事業本部」が統合され、富士フイルムに「グラフィックコミュニケーション事業部」が設立された。

 同社は、この事業統合で目指す「印刷業界への価値提供」に向け、新たなソリューション「最適生産ソリューション」を提案する。

 これは、客観的な分析から印刷会社が抱える本質的な課題を見える化し、その課題を解決に導く「生産改革」と、そこで生みだした経営資源の「余力」を企業の「成長戦略」に再分配することで印刷会社の持続的な成長を支えるもの。デジタルソリューション営業部の鈴木重雄部長は、「従来の仕事のやり方をしていると、経営資源である時間・人材・設備・経営資金を不用意に浪費してしまう。そこをデジタル技術の活用により改善できれば、そこから潜在的な経営資源が顕在化する。これがソリューションの根幹」と説明する。

 さらに、ここで抽出した経営資源を成長戦略に再分配していくことが重要になる。そこで顧客基盤や会社が持つ情報、また企業文化やブランドといった無形財産などを絡ませて成長戦略に仕立て上げていくことで、はじめてDXが完成するというわけだ。

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 同社の創業は昭和12年。軍関連の事務用品を扱う鴻村維一商店として産声をあげた同社は、その後、官公庁をはじめ国立病院や大学へと販路を広げ、約4,000アイテムにもおよぶ伝票・帳票類の印刷物を中心とした通信カタログ販売で飛躍的な成長を遂げる。

 そんな同社のひとつの転機となったのが大学関連事業の強化だ。競争激化の様相を呈した約10年前、それまでも強固な事業基盤のあった大学向けの事業にさらなる経営資源を投入。Web制作やアンケート調査、印刷、イベントグッズなど、大学関連の様々な商材をワンストップで提供することで企業価値向上を実現。さらに、この実績をもとにWeb制作、印刷物、看板・案内板(大判印刷)、会場設営/映像機器・PC受付手配、発送代行、粗品・備品手配など、学会運営に関わるあらゆるアイテムをパッケージ化した「学会スマート」を商品化し、これまでに累計365大会をサポートしている。

 同社は、現在最も注力するこの学会サポート事業、Web・システム事業、印刷事業の3つを柱とし、これらの事業すべてにおいて大学向け事業(8割)に軸足を置いた事業構造になっている。

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