検査速度と品質を両立、製本工程の不良も検査
ダックエンジニアリングが開発した「全面フルカラーバリアブル印刷検査装置」は、PDF、BMP、TIFF-CMYK、TIFF-RGBのデジタルデータとアナログ画像に対応する。部分的な可変印字検査だけでなく、1枚ごとに変化する全体可変図柄をフルカラー/フルデジタルで最新特殊光学系Coco!(ココ)センサーで品質検査することができる。
そして、ホリゾンがこの検査装置を評価している最大のポイントは、全面バリアブル印刷検査に対応するだけでなく、高生産性を誇るホリゾン後加工製品の加工速度を落とすことなく、高品質な検査を実現できることだ。大津氏は「加工速度にはまったく影響がない」と評価する。
開発には3年以上の期間を要したが、それでもこの技術を実現できたのは、ダックエンジニアリングの検査装置の画像処理部は「ソフトウェア処理」だけではなく、「独自の専用画像処理ハードウェア」を開発していることが大前提としてあるようだ。
「多くの検査装置メーカーは、ソフトウェアで検査装置を開発している。これは複雑な動きの場合、検査スピードが遅くなるという欠点がある。当社の検査装置はハードウェアとして開発しているため、そのようなことはなく、さらに新たにLSI画像処理チップを開発したことにより、生産性と検査品質を両立できるバリアブル印刷検査装置として開発することができた」(氷上社長)
「HSF2021」においてダックエンジニアリングは、ホリゾンの無線綴じ製本システムの一部であるシートカット装置「SmartStacker」に、全面フルカラーバリアブル印刷検査装置を搭載して実演した。
同検査装置は、RIP済みPDFと比較することで、シートカット後の全可変データを連続検査する。これにより、良品のみを選別して製造が可能になる。デジタル印刷機ではなく、シートカット装置に搭載することにより、断裁後、無線綴じの前に検査し、印刷不良だけでなく、カットずれや丁合を含めて検査することができる。大津氏は「位置ズレ、見当ズレがこのようなハイスピードで、かつ、この段階で検査できるのは画期的な技術である」と評価する。
大津氏はさらに「ホリゾンの製品は、各コンベアの部分でリジェクト機能を付けることができる。バリアブル検査装置の情報を受け取り、リジェクト機能を臨機応変に付けられるため、スマートファクトリーを実現できる検査装置としても高く評価できる」と話す。
ダックエンジニアリングは「page2022」でも、ホリゾンブースにおいて、ホリゾンの後加工ラインにバリアブル検査装置を搭載して実演した。pegeでは、検査装置としての能力をさらに向上させた新開発ハードウェアを搭載した。
「当社はこれまで、バリアブル検査はQRコードのような部分可変も全面フルカラーバリアブル検査も同じだと考えていた。しかし、これはお客様が求められている要求と違うということに気が付いた」(氷上社長)。現在、部分可変と全面可変のそれぞれに適した検査装置の提供が可能になっている。
コニカミノルタの印刷機とホリゾンのロータリーダイカットシステムでは、多列シートが一面ごとに傾いても、XYθ補正により搬送ズレでの過検出が無く、安定した高速な品質検査で印刷ズレやカットズレの検出が可能となった。
リコーの印刷機とホリゾンのシートカット&クリーサ「SmartSlitter」では、固定絵柄とQR・バーコード・OCRの部分的な可変印刷を多面で順列検査、読取照合検査、品質検査が同時に行える。
人の手を介さず「最終成果物」を作るのが終着点
スマートファクトリーの実現により、ホリゾンが最終的な目標とするのは「フルオートメーション」。完全な無人化ということである。これを実現するポイントとして大津氏は「将来的に高級品の印刷物が残っていくという未来は見えているが、そこには、それを担保するための『検査』が不可欠」と検査装置の重要性を強調しており、ダックエンジニアリングへの期待は大きい。長年のアプローチと技術開発により協業が実現し、「ようやく技術が追い付いてきた」と話していた氷上社長であるが、さらなる技術開発を期待されている。
両社は今後も、スマートファクトリーによる発展という共通の目標に向けて、手を携えていく方針だ。
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検査速度と品質を両立、製本工程の不良も検査
ダックエンジニアリングが開発した「全面フルカラーバリアブル印刷検査装置」は、PDF、BMP、TIFF-CMYK、TIFF-RGBのデジタルデータとアナログ画像に対応する。部分的な可変印字検査だけでなく、1枚ごとに変化する全体可変図柄をフルカラー/フルデジタルで最新特殊光学系Coco!(ココ)センサーで品質検査することができる。
そして、ホリゾンがこの検査装置を評価している最大のポイントは、全面バリアブル印刷検査に対応するだけでなく、高生産性を誇るホリゾン後加工製品の加工速度を落とすことなく、高品質な検査を実現できることだ。大津氏は「加工速度にはまったく影響がない」と評価する。
開発には3年以上の期間を要したが、それでもこの技術を実現できたのは、ダックエンジニアリングの検査装置の画像処理部は「ソフトウェア処理」だけではなく、「独自の専用画像処理ハードウェア」を開発していることが大前提としてあるようだ。
「多くの検査装置メーカーは、ソフトウェアで検査装置を開発している。これは複雑な動きの場合、検査スピードが遅くなるという欠点がある。当社の検査装置はハードウェアとして開発しているため、そのようなことはなく、さらに新たにLSI画像処理チップを開発したことにより、生産性と検査品質を両立できるバリアブル印刷検査装置として開発することができた」(氷上社長)
「HSF2021」においてダックエンジニアリングは、ホリゾンの無線綴じ製本システムの一部であるシートカット装置「SmartStacker」に、全面フルカラーバリアブル印刷検査装置を搭載して実演した。
同検査装置は、RIP済みPDFと比較することで、シートカット後の全可変データを連続検査する。これにより、良品のみを選別して製造が可能になる。デジタル印刷機ではなく、シートカット装置に搭載することにより、断裁後、無線綴じの前に検査し、印刷不良だけでなく、カットずれや丁合を含めて検査することができる。大津氏は「位置ズレ、見当ズレがこのようなハイスピードで、かつ、この段階で検査できるのは画期的な技術である」と評価する。
大津氏はさらに「ホリゾンの製品は、各コンベアの部分でリジェクト機能を付けることができる。バリアブル検査装置の情報を受け取り、リジェクト機能を臨機応変に付けられるため、スマートファクトリーを実現できる検査装置としても高く評価できる」と話す。
ダックエンジニアリングは「page2022」でも、ホリゾンブースにおいて、ホリゾンの後加工ラインにバリアブル検査装置を搭載して実演した。pegeでは、検査装置としての能力をさらに向上させた新開発ハードウェアを搭載した。
「当社はこれまで、バリアブル検査はQRコードのような部分可変も全面フルカラーバリアブル検査も同じだと考えていた。しかし、これはお客様が求められている要求と違うということに気が付いた」(氷上社長)。現在、部分可変と全面可変のそれぞれに適した検査装置の提供が可能になっている。
コニカミノルタの印刷機とホリゾンのロータリーダイカットシステムでは、多列シートが一面ごとに傾いても、XYθ補正により搬送ズレでの過検出が無く、安定した高速な品質検査で印刷ズレやカットズレの検出が可能となった。
リコーの印刷機とホリゾンのシートカット&クリーサ「SmartSlitter」では、固定絵柄とQR・バーコード・OCRの部分的な可変印刷を多面で順列検査、読取照合検査、品質検査が同時に行える。
人の手を介さず「最終成果物」を作るのが終着点
スマートファクトリーの実現により、ホリゾンが最終的な目標とするのは「フルオートメーション」。完全な無人化ということである。これを実現するポイントとして大津氏は「将来的に高級品の印刷物が残っていくという未来は見えているが、そこには、それを担保するための『検査』が不可欠」と検査装置の重要性を強調しており、ダックエンジニアリングへの期待は大きい。長年のアプローチと技術開発により協業が実現し、「ようやく技術が追い付いてきた」と話していた氷上社長であるが、さらなる技術開発を期待されている。
両社は今後も、スマートファクトリーによる発展という共通の目標に向けて、手を携えていく方針だ。
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