(株)ミヤコシ(本社/千葉県習志野市、宮腰亨社長)は、2023年5月より、シリーズセミナー企画「MIYAKOSHI DAY」を開催している。「MIYAKOSHI DAY」は、様々な業界からリーディングカンパニーを招聘し、印刷ビジネスの課題解決に挑むシリーズセミナー企画。第1回目のセミナーでは、「紙の本革命」をテーマにスマートファクトリーの先駆者である兵藤伊織氏を迎え「国内におけるマスカスタマイゼーションモデル成功の秘訣」と題したプレゼンテーションが行われた。今回、同セミナーにおいて行われた兵藤氏およびミヤコシ・亀井雅彦氏のプレゼンテーション「変わる世界の出版~日本はなぜ変わらないのか?」を再現する。
<変わる世界の出版〜日本はなぜ変わらないのか?>(亀井氏)
近年、書籍の購入方法は、書店ではなくWebによるオンライン販売へと急速に移行している。つまり物理的な在庫がなくても購入でき、書店に出向いて購入する必要がなくなったということ。もう1つがW2P(印刷通販)の普及である。Web上で注文し、データベースから直接印刷、加工、納品までを行うことができるようになった。そして最後がインクジェット技術の進化で、そのデータベースからデータを受け取り、一気に印刷することができる。さらには、1冊ごとに内容が違うものを生産することができるようになった。この3つが三位一体となって世界の出版を大きく変えたと言える。今までは、書籍が物理的に流通し、書店の棚に入るまで購入することはできなかった。
これまでの書籍流通は、著者から出版社、取次、書店を経て消費者が購入できる環境が整うが、この三位一体による新しいビジネスモデルでは、取次や書店などが必要なくなった。また、在庫がなければ購入できなかったが、これからのビジネスモデルは「売れてから刷る」に変化している。具体的には、巨大なデータベースから印刷データを集約し、オンライン書店で注文を集約、そして最適な面付けでマスカスタマイゼーションして一冊のオーダーでも、まとめて一気に印刷することでコスト吸収している。これにより世界の出版市場のビジネスモデルは大きく変化した。結果としてインクジェットは大きく伸長し、米国市場での総書籍印刷に占めるインクジェットの割合は、2024年には50%に達すると予測されている。
世界の出版は、「在庫を売る」のではなく、「売れてから生産、即出荷」する時代となっている。1冊ずつ生産するため在庫が不要となる。また、ロットに関係なく生産できるので書籍点数も増加し、また、在庫レスになったことで環境負荷低減にも貢献している。では、なぜ日本の出版は変わらないのか。日本の出版は、最高の品質かつ安価な書籍を全国の書店に届けるという点では、間違いなく世界最高の情報流通基盤であった。しかし、その流通基盤が障壁となり、高品質で安価な書籍をデジタル印刷に移行できなくなっている。
米国でデジタル化されている代表的な書籍がペーパーバッグだが、日本の文庫本は、その約3分の1の価格である。このコスト形態が日本の出版のデジタル化が進まない大きな理由となっている。このように一般書籍のデジタル化は、現状では難しいが、それ以外の書籍、カタログやマニュアルなどの商業用冊子をはじめ業務用冊子、教育用書籍などでは、大きなチャンスがある。この分野で成功しているのが、兵藤氏である。
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<変わる世界の出版〜日本はなぜ変わらないのか?>(亀井氏)
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米国でデジタル化されている代表的な書籍がペーパーバッグだが、日本の文庫本は、その約3分の1の価格である。このコスト形態が日本の出版のデジタル化が進まない大きな理由となっている。このように一般書籍のデジタル化は、現状では難しいが、それ以外の書籍、カタログやマニュアルなどの商業用冊子をはじめ業務用冊子、教育用書籍などでは、大きなチャンスがある。この分野で成功しているのが、兵藤氏である。
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