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ジップ、年間3億通を封入発送〜独自のダイレクトマーケティング事業展開

フルカラーバリアブルDM事業を強化

2023年12月27日企業・経営

 「感動で繋がる」──年間3億通にのぼる郵便物の発送代行業務を手掛ける(株)ジップ(本社/岡山県瀬戸内市長船町長船301-11、三鍋英治社長)。通販事業をトータルにサポートする「ダイレクトマーケティングソリューション企業」として知られる同社だが、三鍋社長は、その一角を担うDM事業について「今後は、よりセグメントされることで多くの企画が必要になり、そこに新たな需要が生まれる」と指摘する。今回、その需要に対し、フルカラーバリアブルDMの新たな価値訴求に乗り出した同社の取り組みを中心に取材した。

トナー機7台と輪転型インクジェットプレス1台を設備

ベネッセ支援の物流ノウハウに強み

 同社の設立は1991年。「進研ゼミ」「進研模試」のDMや学習教材発送を主業務とする物流サービス企業として、(株)ベネッセコーポレーションと日宝綜合製本(株)の共同出資により誕生した。以来、封入・ラッピング業務を主体とした物流支援事業で大きな成長を遂げ、ここで培った物流基盤をベースに、受注支援(BPO)や販促支援分野にもその守備範囲を拡大。現在は、通販事業をトータルにサポートする「ダイレクトマーケティングソリューション企業」として知られる存在である。設立当時14名だった従業員も、いまや正社員460名、契約社員・パート社員などを含めると1,800名超のスタッフを擁する組織へと成長している。

 全国に22の事業拠点と5つの営業拠点を展開する同社。これらから発送されるDMは、なんと年間およそ3億通におよぶ。ベネッセの仕事をはじめ、健康食品や化粧品、量販店、IT関連などの発送代行業務も手掛ける。

 これら物流支援事業を支えているのは、ベネッセの発送代行で培った豊富なロジスティクスノウハウである。教科書、進度、地域、男女、選択別など、十数万通りに及ぶ細かなセグメントにも、最新鋭の機器とIT技術で対応。多種多様なメーリング機器を有機的に結び付けるだけでなく、フィルムインサーターやサンプルフィーダーなどは、自社で独自開発しているのも特筆すべき点だ。

 しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、やはり同社の受注構造に変化をもたらした。総合通販の伸びに比較し、単品通販商品の発送量が伸び悩む中で、クライアント側ではコスト削減を目的に、ゆうパックや宅急便での発送を、ポストインタイプのサービスであるゆうパケットなどへの切り替えを進めた。

 「ゆうパケット化で売上全体の約2割を占める運賃の減少による影響を受けている一方で、ゆうパケット送付商品の封入封緘の自動化によるコスト削減も進めている」(三鍋社長)

三鍋 社長

DM企画への期待の高まり

 メーリング、商品発送といったロジスティクス分野に基づく顧客データ管理やデータ入力はもちろん、同社の事業領域は現在、メーリングから派生するDM制作や販促企画、あるいは商品発送から派生するコールセンターやBPOへと広がり、これらを横断的に展開する事業が、同社が標榜する「ダイレクトマーケティングソリューション」だ。

 なかでも、CRM特化型の企画・制作では、個性的なDMを提案できるのも、封入現場を知る同社ならではの強みである。通販会社でDM企画に携わっていたスタッフを中心に7名で組織し、開封率アップの施策やレスポンス獲得に関する分析・提案を含めた企画・制作・印刷・発送までをワンストップで提供している。いまでは外部で成功したDMのノウハウをベネッセ側にフィードバックして提案し、採用されている。例えばメーラー系の仕事で、小口を段々に圧着して1枚ずつ剥がして見られる8頁物のDMがある。定形外ではあるが制作は封書より安価で、しかも充分な紙面を確保できる。また、型抜きのメーラーなどの採用実績もある。

 DMについては、コロナ禍におけるコスト削減施策として、封書からメーラーへの移行が顕著だったという三鍋社長。「確かにDM全体としてはデジタルに置き換えられている部分もあり、よりターゲティングが進むことで通数は減少しているように感じるが、DMの企画数そのものは決して減っていない。ここにきてDM企画への期待の高まりを感じる」との見方を示している。

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 全国に22の事業拠点と5つの営業拠点を展開する同社。これらから発送されるDMは、なんと年間およそ3億通におよぶ。ベネッセの仕事をはじめ、健康食品や化粧品、量販店、IT関連などの発送代行業務も手掛ける。

 これら物流支援事業を支えているのは、ベネッセの発送代行で培った豊富なロジスティクスノウハウである。教科書、進度、地域、男女、選択別など、十数万通りに及ぶ細かなセグメントにも、最新鋭の機器とIT技術で対応。多種多様なメーリング機器を有機的に結び付けるだけでなく、フィルムインサーターやサンプルフィーダーなどは、自社で独自開発しているのも特筆すべき点だ。

 しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、やはり同社の受注構造に変化をもたらした。総合通販の伸びに比較し、単品通販商品の発送量が伸び悩む中で、クライアント側ではコスト削減を目的に、ゆうパックや宅急便での発送を、ポストインタイプのサービスであるゆうパケットなどへの切り替えを進めた。

 「ゆうパケット化で売上全体の約2割を占める運賃の減少による影響を受けている一方で、ゆうパケット送付商品の封入封緘の自動化によるコスト削減も進めている」(三鍋社長)

三鍋 社長

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