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サンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現

IPA2023で最優秀賞受賞〜インクジェットの新たな領域へ

2024年2月14日企業・経営

サンエムカラーとしてのデジタル印刷機を

 同社がJet Pressを導入したのは、2022年5月。「仕事は、楽しむことが大切」と語る松井会長は、「楽しいからこそ仕事に対し、一生懸命に向き合うことができる。今回のJet Pressについても楽しみながら運用していくことで、新たな可能性が生まれてくるはず」と新たな感動を生み出す生産機としての稼働に期待をかけている。
篠澤氏(左)と大畑氏 
 その想いを受け継いでいる大畑氏は、Jet Pressの導入に際し、「誰が操作してもボタンを押して、すぐに印刷できるデジタル印刷機」ではなく、高精細印刷のサンエムカラーだからできるデジタル印刷機としての運用を目指した。

 「当社では、1,000線によるオフセット印刷技術を確立しているため、標準スペックのままのデジタル印刷機では、品質に差が生じてしまう。そのため会長とも相談し、サンエムカラーとしてのデジタル印刷機を確立するために様々なカスタマイズを施している」(大畑氏)

 大畑氏は、Jet Press設置後、すぐにICCプロファイル作成や出力設定に着手。テスト出力などを経て、約1ヵ月でサンエムカラーとしてのJet Pressに仕上げている。その結果、より広い色域での印刷を実現している。オフセットとのカラーマッチングも高精度に行い、使用する用紙によって異なるが、平均値でデルタE1以下を達成しているという。
Jet Press 750S
 松井会長も「オフセット印刷は、変動要素が多いが、デジタル印刷機では、それがほとんどない。今回の作品でも色の再設定や再出力などにも迅速に対応できた。その点については、デジタル印刷機の優位性を発揮できたと感じている」と評価している。

IPAでの最優秀賞獲得はスタートライン

 「"SUN BOOK"by YOSHIROTTEN」はその後、IPAでの入賞作品が自動エントリーされる「2023 ASIAN PRINT AWARDS」においても「Book Printing Inkjet部門」の金賞を受賞し、二重の快挙を成し遂げた。シンガポールで開催されたその表彰式には、篠澤氏と大畑氏が出席。翌日には、シンガポールのアーティストとの面談やアートブックの市場調査をするなど、今後のビジネス発展の機会につなげている。

 「一般的には本を作る経験を持つ人が減っているのか、我々からすると仕上がり具合が想定できる範囲のオーダーが増えている。一方で国内外の著名なブックデザイナーは、印刷の概念を超えた、単なる情報伝達のための本ではなく、体験型の本を制作している。特殊な製本をできる現場と本を作る、今後はそういった要素も貪欲に取り込んでいくことで本の価値観をさらに高めたものづくりに挑戦していきたい」(篠澤氏)

 「尖った印刷」、つまり他にはない独自性をもった面白い印刷を得意とする同社には、自然と尖った印刷を好む顧客が集まってくる。篠澤氏と大畑氏は、JetPressについて、その「尖った印刷」をオフセット印刷とは別の次元で実現できる生産機であると断言する。実際に今回の2つのコンテストプログラムでの入賞に端を発して、すでに「尖った印刷」の企画が数多く寄せられているという。

 松井会長は、IPAで獲得した最優秀賞受賞を同社のJet Press運用におけるスタートラインと位置付けている。
 
 「そのくらいの気概をもって挑んでいけば、印刷業界も変わっていくはず。『印刷』ではなく、『美術』、つまり美意識をもって仕事に取り組んでいくことが大切である。だからこそ、今回の受賞を新たなスタートと捉え、Jet Pressの運用に励んでもらいたい」と、最優秀賞受賞に満足することなく、さらなる成長を目指し、従業員だけでなく会長自身も含め、研鑽に努めていくことの大切さを語った。

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サンエムカラーとしてのデジタル印刷機を

 同社がJet Pressを導入したのは、2022年5月。「仕事は、楽しむことが大切」と語る松井会長は、「楽しいからこそ仕事に対し、一生懸命に向き合うことができる。今回のJet Pressについても楽しみながら運用していくことで、新たな可能性が生まれてくるはず」と新たな感動を生み出す生産機としての稼働に期待をかけている。
篠澤氏(左)と大畑氏 
 その想いを受け継いでいる大畑氏は、Jet Pressの導入に際し、「誰が操作してもボタンを押して、すぐに印刷できるデジタル印刷機」ではなく、高精細印刷のサンエムカラーだからできるデジタル印刷機としての運用を目指した。

 「当社では、1,000線によるオフセット印刷技術を確立しているため、標準スペックのままのデジタル印刷機では、品質に差が生じてしまう。そのため会長とも相談し、サンエムカラーとしてのデジタル印刷機を確立するために様々なカスタマイズを施している」(大畑氏)

 大畑氏は、Jet Press設置後、すぐにICCプロファイル作成や出力設定に着手。テスト出力などを経て、約1ヵ月でサンエムカラーとしてのJet Pressに仕上げている。その結果、より広い色域での印刷を実現している。オフセットとのカラーマッチングも高精度に行い、使用する用紙によって異なるが、平均値でデルタE1以下を達成しているという。
Jet Press 750S
 松井会長も「オフセット印刷は、変動要素が多いが、デジタル印刷機では、それがほとんどない。今回の作品でも色の再設定や再出力などにも迅速に対応できた。その点については、デジタル印刷機の優位性を発揮できたと感じている」と評価している。

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 「一般的には本を作る経験を持つ人が減っているのか、我々からすると仕上がり具合が想定できる範囲のオーダーが増えている。一方で国内外の著名なブックデザイナーは、印刷の概念を超えた、単なる情報伝達のための本ではなく、体験型の本を制作している。特殊な製本をできる現場と本を作る、今後はそういった要素も貪欲に取り込んでいくことで本の価値観をさらに高めたものづくりに挑戦していきたい」(篠澤氏)

 「尖った印刷」、つまり他にはない独自性をもった面白い印刷を得意とする同社には、自然と尖った印刷を好む顧客が集まってくる。篠澤氏と大畑氏は、JetPressについて、その「尖った印刷」をオフセット印刷とは別の次元で実現できる生産機であると断言する。実際に今回の2つのコンテストプログラムでの入賞に端を発して、すでに「尖った印刷」の企画が数多く寄せられているという。

 松井会長は、IPAで獲得した最優秀賞受賞を同社のJet Press運用におけるスタートラインと位置付けている。
 
 「そのくらいの気概をもって挑んでいけば、印刷業界も変わっていくはず。『印刷』ではなく、『美術』、つまり美意識をもって仕事に取り組んでいくことが大切である。だからこそ、今回の受賞を新たなスタートと捉え、Jet Pressの運用に励んでもらいたい」と、最優秀賞受賞に満足することなく、さらなる成長を目指し、従業員だけでなく会長自身も含め、研鑽に努めていくことの大切さを語った。

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