生産機としての信頼性
KM-1eの本稼働開始は今年4月。「繁忙期の立ち上げだったが、とくに苦労話はない。これもKM-1eの魅力のひとつ」(緒方氏)
6台のIndigoとの使い分けは、「白が必要」「マットに仕上げたい」「インクの定着が苦手な素材」などをIndigoで、「生産性が必要」「オーソドックスな素材」などをKM-1eで、という基準を設けている。実際、KM-1では6台のIndigoの生産に匹敵する30万枚/月を印刷しているという。
デジタル印刷の現場を統括する喜多侑里氏は、「印刷方式的に接触/非接触に起因するメンテナンス時間の差がある。KM-1eはジョブ毎のメンテナンスなしで連続印刷ができる。始業・終業時のメンテナンス時間も短く済み、当社では30ジョブ/時を目標にしている。時間外労働が半減しているのも、このKM-1eの生産性が大きく寄与している」と説明。緒方氏も「Indigoは、当社の開発力を支える『創造力を掻き立てるマシン』、KM-1eは生産機としての信頼性に優れたマシン』」と表現している。
一方、KM-1eは「広範なメディア互換性」もひとつの特徴としているが、同社ではとくにエンボス系の用紙における印刷表現を高く評価している。喜多氏は「エンボス紙でも何ら調整を行う必要がなく、綺麗な印刷ができる。同人誌の表紙用途で使われるケースが増えつつあり、今後はひとつのトレンドにしたい」と語る。
また緒方氏は、「品質に対するクレームはゼロである」と説明。同社が導入したKM-1eは、画像不良を自動的に検知するインラインセンサーを搭載した世界初号機でもある。スジや汚れ、ヘッドのノズル不良などを検査し、不良品の外部流出を未然に防止できる。一方、これとは別に緒方氏は、「1ヵ月に数件程度あった再版時の色再現におけるクレームがなくなった。『色が転ばない』という表現が正しいのかもしれない。刷り見本がない我々のビジネスモデルにおいて、この安定した色再現性は大きな魅力である」と評価する。
「圧倒的な画質」によって、RGBデータを使用する同人誌との相性の良さも評価する緒方氏。同人誌の分野では「Indigo品質」が広く認知されているが、今後はオフセット印刷を超えるインクジェット印刷機「KM-1e品質」による感動を顧客に提供し、ブランド化を試みる考えだ。
KM-1eの増設を計画
国内外の展示会にも積極的に足を運び、デジタル印刷分野の情報収集に余念がない緒方氏だが、「今後少なくとも3年間は、KM-1eを超える画質を再現できるマシンは世に出ない」と断言する。以前はインクジェット技術に否定的であった緒方氏をここまで変えた「画質」の信憑性は高まる一方だ。
そして同社はすでにKM-1eの増設を計画している。「バックアップ機としての機能も必要だと考えるが、生産キャパシティを新たに確保することで、KM-1eの新たな可能性を引き出す商材の開発にも乗り出す」(緒方氏)。同社では、11月に4台のZUND製カッティングマシンを導入するほか、フォトブックの設備を強化するなど、加工を含めた新商材の開発に意欲を示している。
同社の「積極投資による急成長」という良好なサイクルを生み出している背景のひとつに、粗利率の高さがある。資材の調達コストを限界まで抑えるための量とルートを確保する同社の粗利率は、なんと約70%。この資材調達コストに対する徹底した努力が低価格のサービスを支え、それが評価され、さらに受注増に繋がる。そして、さらに調達量が増加することでコストが下がるという良好なサイクルが同社の飛躍的な成長を支えているわけだ。
そして今回のKM-1eへの投資は、平均年齢30歳弱という従業員が30年、40年と働ける環境と経営基盤づくりにおいて、「労働生産性の向上」というミッションを担っている。
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生産機としての信頼性
KM-1eの本稼働開始は今年4月。「繁忙期の立ち上げだったが、とくに苦労話はない。これもKM-1eの魅力のひとつ」(緒方氏)
6台のIndigoとの使い分けは、「白が必要」「マットに仕上げたい」「インクの定着が苦手な素材」などをIndigoで、「生産性が必要」「オーソドックスな素材」などをKM-1eで、という基準を設けている。実際、KM-1では6台のIndigoの生産に匹敵する30万枚/月を印刷しているという。
デジタル印刷の現場を統括する喜多侑里氏は、「印刷方式的に接触/非接触に起因するメンテナンス時間の差がある。KM-1eはジョブ毎のメンテナンスなしで連続印刷ができる。始業・終業時のメンテナンス時間も短く済み、当社では30ジョブ/時を目標にしている。時間外労働が半減しているのも、このKM-1eの生産性が大きく寄与している」と説明。緒方氏も「Indigoは、当社の開発力を支える『創造力を掻き立てるマシン』、KM-1eは生産機としての信頼性に優れたマシン』」と表現している。
一方、KM-1eは「広範なメディア互換性」もひとつの特徴としているが、同社ではとくにエンボス系の用紙における印刷表現を高く評価している。喜多氏は「エンボス紙でも何ら調整を行う必要がなく、綺麗な印刷ができる。同人誌の表紙用途で使われるケースが増えつつあり、今後はひとつのトレンドにしたい」と語る。
また緒方氏は、「品質に対するクレームはゼロである」と説明。同社が導入したKM-1eは、画像不良を自動的に検知するインラインセンサーを搭載した世界初号機でもある。スジや汚れ、ヘッドのノズル不良などを検査し、不良品の外部流出を未然に防止できる。一方、これとは別に緒方氏は、「1ヵ月に数件程度あった再版時の色再現におけるクレームがなくなった。『色が転ばない』という表現が正しいのかもしれない。刷り見本がない我々のビジネスモデルにおいて、この安定した色再現性は大きな魅力である」と評価する。
「圧倒的な画質」によって、RGBデータを使用する同人誌との相性の良さも評価する緒方氏。同人誌の分野では「Indigo品質」が広く認知されているが、今後はオフセット印刷を超えるインクジェット印刷機「KM-1e品質」による感動を顧客に提供し、ブランド化を試みる考えだ。
KM-1eの増設を計画
国内外の展示会にも積極的に足を運び、デジタル印刷分野の情報収集に余念がない緒方氏だが、「今後少なくとも3年間は、KM-1eを超える画質を再現できるマシンは世に出ない」と断言する。以前はインクジェット技術に否定的であった緒方氏をここまで変えた「画質」の信憑性は高まる一方だ。
そして同社はすでにKM-1eの増設を計画している。「バックアップ機としての機能も必要だと考えるが、生産キャパシティを新たに確保することで、KM-1eの新たな可能性を引き出す商材の開発にも乗り出す」(緒方氏)。同社では、11月に4台のZUND製カッティングマシンを導入するほか、フォトブックの設備を強化するなど、加工を含めた新商材の開発に意欲を示している。
同社の「積極投資による急成長」という良好なサイクルを生み出している背景のひとつに、粗利率の高さがある。資材の調達コストを限界まで抑えるための量とルートを確保する同社の粗利率は、なんと約70%。この資材調達コストに対する徹底した努力が低価格のサービスを支え、それが評価され、さらに受注増に繋がる。そして、さらに調達量が増加することでコストが下がるという良好なサイクルが同社の飛躍的な成長を支えているわけだ。
そして今回のKM-1eへの投資は、平均年齢30歳弱という従業員が30年、40年と働ける環境と経営基盤づくりにおいて、「労働生産性の向上」というミッションを担っている。
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