IPA2024「サステナビリティ部門」第1位を獲得
完成したbeakは、A4サイズから抜き出す平らな紙を折り紙のように立体に組み立てる紙製の食器。100人分の紙食器を組み立て前に積み重ねた厚さは、わずか45mmしかなく、保管や輸送の負担を軽減できる。用紙は、耐熱・耐水・耐油性に優れながらも2年で自然分解される大王製紙の「エリプラ+(プラス)」を使用している。
IPAに出品された作品は、日本からのエントリーということで「和」をイメージできるようブラックをベースに錦鯉や扇子などの絵柄を採用し、さらにゴールドトナーによるアクセントも付加している。
アウトドア商材としての活用も進む
営業としてbeakの拡販を担う藤枝氏は、各種展示会への出展や大手流通チェーンなどでのワークショップを開催し、その機能性を体験してもらうことに注力してきた。
「ワークショップでは、小学生から高齢者まで、beakを楽しみながら組み立ててくれたことが、大きな収穫であった」(藤枝氏)
同じく拡販に携わる梅田氏は、「CSRの観点から多くの民間企業に防災グッズとして提案し、受注を獲得することができた。また、自治体にも備蓄用の食器として提案している」とbeakの市場展開について説明する。
これらの拡販活動が功を奏し、beakは多くのメディアにも取り上げられるなど大きな反響を得ることとなる。さらに当初想定していた防災グッズとしてだけではなく、持ち運びが便利で洗う手間もないことから、キャンプなどのアウトドアグッズとしても注目を集めるようになった。
beakは、2021年4月に特許出願され、2023年3月には、日本発明振興協会(石井卓爾会長)と日刊工業新聞社共催の「第48回(2022年度)発明大賞」において「考案功労賞」を受賞している。
beak 10,000シートを被災地・石川県に発送
2024年1月1日、最大震度7を記録した能登半島地震が発生した。同社は、石川県健康福祉部厚生政策課に災害支援を申し出て、beak の皿と丼、合わせて1万シートを1月11日に寄贈している。
震災発生の報道を受け、石川県との連絡を行った藤枝氏は、「先方の担当者からは、食器が足りないので、すぐにでも送って欲しいとの返答があった」と当時の切迫した状況を振り返る。
年末に「年賀用beak」5,000セットを生産していたため、仕事始めの1月5日の時点では「エリプラ+(プラス)」の在庫がない状況だったが、1月9日に用紙が納品されるとすぐに作業を開始。そして11日には石川県に向けて無事発送した。
「中1日で10,000シートを仕上げることができた。これは作業に関わったすべての社員に感謝している」(山田氏)
紙製食器の強みを発揮
被災地域では未だ混乱が治まっていないことから石川県側の要望を受け、発送には宅急便を利用。ここでも、シート状であるbeakの最大の強みが活かされた。
通常の食器を10,000個発送するとなると、破損を防ぐための緩衝材などが必要となるため、その箱数は膨大となる。しかし、beakはシート状のため、緩衝材も必要ない。実際に1万シートの発送費用は15,000円と、シート状であることに加え、紙製のため軽量であることから発送面での優位性も発揮している。また、多くの被災者が肩を寄せ合って暮らす避難所では、保管スペースを確保することすら難しいが、シート状のbeakは、場所を選ぶことなく比較的省スペースで保管できる。また、beakを箱詰めした段ボールには、QRコードを表示し、組み立て方法を動画で確認できるように配慮している。
同社では現在、beakを通じて学校などの教育機関と連携し、避難訓練などに参加し、防災意識の重要性を訴えている。
今年8年ぶりに開催された「drupa 2024」においてIPA2024入賞作品として展示されたbeakは、世界中からの来場者の関心を多く集めていたという。
同社では、現在の折り紙食器としての活用方以外のアイテムとして、beakの新たな商品開発も検討している。
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能登半島地震の被災者支援でも活用
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IPA2024「サステナビリティ部門」第1位を獲得
完成したbeakは、A4サイズから抜き出す平らな紙を折り紙のように立体に組み立てる紙製の食器。100人分の紙食器を組み立て前に積み重ねた厚さは、わずか45mmしかなく、保管や輸送の負担を軽減できる。用紙は、耐熱・耐水・耐油性に優れながらも2年で自然分解される大王製紙の「エリプラ+(プラス)」を使用している。
IPAに出品された作品は、日本からのエントリーということで「和」をイメージできるようブラックをベースに錦鯉や扇子などの絵柄を採用し、さらにゴールドトナーによるアクセントも付加している。
アウトドア商材としての活用も進む
営業としてbeakの拡販を担う藤枝氏は、各種展示会への出展や大手流通チェーンなどでのワークショップを開催し、その機能性を体験してもらうことに注力してきた。
「ワークショップでは、小学生から高齢者まで、beakを楽しみながら組み立ててくれたことが、大きな収穫であった」(藤枝氏)
同じく拡販に携わる梅田氏は、「CSRの観点から多くの民間企業に防災グッズとして提案し、受注を獲得することができた。また、自治体にも備蓄用の食器として提案している」とbeakの市場展開について説明する。
これらの拡販活動が功を奏し、beakは多くのメディアにも取り上げられるなど大きな反響を得ることとなる。さらに当初想定していた防災グッズとしてだけではなく、持ち運びが便利で洗う手間もないことから、キャンプなどのアウトドアグッズとしても注目を集めるようになった。
beakは、2021年4月に特許出願され、2023年3月には、日本発明振興協会(石井卓爾会長)と日刊工業新聞社共催の「第48回(2022年度)発明大賞」において「考案功労賞」を受賞している。
beak 10,000シートを被災地・石川県に発送
2024年1月1日、最大震度7を記録した能登半島地震が発生した。同社は、石川県健康福祉部厚生政策課に災害支援を申し出て、beak の皿と丼、合わせて1万シートを1月11日に寄贈している。
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「中1日で10,000シートを仕上げることができた。これは作業に関わったすべての社員に感謝している」(山田氏)
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同社では現在、beakを通じて学校などの教育機関と連携し、避難訓練などに参加し、防災意識の重要性を訴えている。
今年8年ぶりに開催された「drupa 2024」においてIPA2024入賞作品として展示されたbeakは、世界中からの来場者の関心を多く集めていたという。
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