キーワードで検索

富士フイルム、進化を遂げる「FUJIFILM Inkjet Technology」

「力強い品質」に評価 〜 SAMBAヘッドとインク技術

2018年11月21日製品・テクノロジー

「SAMBA」採用の輪転機

 IGAS2018で発表されたもうひとつのデジタルプレスが、富士ゼロックス製輪転インクジェットデジタルプレス「11000 Inkjet Press(仮称)」だ。ヘッドとインクは富士フイルム、用紙搬送やコントロール部分は富士ゼロックスが開発した。

11000 Inkjet Press(仮称)

 プレコートなしで印刷用コート紙に安定した印刷が可能で、1200×1200dpiの高解像度で最高80m/分(画質優先モードで50m/分)、1,200×600dpiの速度優先モードで150m/分の高速印字を実現予定。本番印刷前に高精度センサーにより画像のスジ・ムラを検知し、補正する調整印刷の機能を備えている。

 「従来の輪転タイプのインクジェットプレスは、主流が600dpiだったこともあり、『高速だが品質が...』という印象が否めないところで、対象業務も多くがトランザクション系に留まっていた。しかし今回の11000 Inkjet Press(仮称)は、1,200dpiの『SAMBA』ヘッドを搭載し、新開発インクにより、高速でもコート紙に安定した印刷が可能である。ようやく商業印刷分野をターゲットにできる輪転タイプのインクジェットプレスが誕生することになる」(石田部長)

 プリンタの品質向上により、前後のインラインシステムやワークフローコントローラーを付加することで、省人化、無人化、コスト削減が可能になる。そういうイメージを経営者が理解しやすい出力機と言えるだろう。

 IGAS2018では、来場者から「商業印刷分野で使える輪転インクジェットプレス」としての評価と期待の声があったという。とくに車のバンパーの反射具合や、メッシュ系の靴の蛍光色、また空と山(青と緑)など、あえて避けたい絵柄にチャレンジし、そこで評価を得た。またコミックにおいても、濃淡とグラデーションの再現性に高い評価を得たという。

 その品質について、宮城部長は「力強い」と表現する。

 「従来の輪転インクジェットプレスは、ダイナミックレンジが低く、鮮やかなフォトデータを印刷しても、どうしても浅くて眠たい品質になってしまっていた。11000 Inkjet Press(仮称)にはそれがなく、まさにJet Pressに迫る高精細で、かつ力強い印刷を可能にしている。輪転インクジェットプレスの品質の議論は、この11000 Inkjet Press(仮称)で終わりにできるのではないか。今後は、如何に活用するかに集中できるのではないか」(宮城部長)

先進の「SAMBAプリントヘッド」が高精細な描画を実現

 11000 Inkjet Press(仮称)の最大のポイントは、「SAMBA」ヘッドと新開発のインクのマッチングにある。プレコンディショナーを使わずにコート紙に直接印刷できるというのも、これら技術が寄与している。

 「議論の末、輪転インクジェットプレスでは、プレコンディショナーを使用せずに、1液とすることを決めていた。このため、これまでの常識では、ヘッドの表面で固化して、ノズルが詰まってしまう程、乾燥性能を高めた水性インクを新開発した。インクが吐出するギリギリのところまで、常にインクを循環させる『RediJet技術』を採用した『SAMBA』ヘッドだからこそ、実現した処方で、このヘッドとインクのインテグレーションには絶対の自信がある」(宮城部長)

 一方、石田部長は、同機に搭載されている富士ゼロックスのGX Print Serverにも注目を促している。

 このGX Print Serverは、他の輪転モデルやトナー機の「Iridesse Production Press」に搭載されている内製プリントサーバーのRIP処理能力を高めた拡張版で、高解像度画質での高速処理を実現する。「今後、トランザクション系でもクオリティの高い通知物にはデータ可変へのニーズが高まる可能性がある。そういう時にも追随できる」(石田部長)

新着トピックス

kodak_ij24_tn.jpg

コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結

2024年9月20日製品・テクノロジースペシャリスト

 コダックは「drupa2024」において、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを搭載した「PROSPER ULTRA 520プレス」と、PROSPERイン...全文を読む

喜多氏と「AccurioJet KM-1e」

大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]

2024年9月20日ケーススタディ

 同人誌印刷ビジネスで急成長を遂げる大阪印刷(株)(大阪市西淀川区御幣島5-5-23、根田貴裕社長)は今年4月、コニカミノルタの29インチ枚葉UVインクジェット印刷機「AccurioJ...全文を読む

最新ニュース

規格袋にPOD機で直接印刷

富士フイルム、TOKYO PACK 出展でパッケージの付加価値提案

2024年10月9日

 富士フイルムグループは、「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」に出展し、インクジェット方式やトナー方式など、富士フイルムが独自開発した幅広いラインアップのデジタルプリン...全文を読む

dp_iic_j560hdx_tn.jpg

SCREEN GA、京都・久御山事業所に「インクジェットイノベーションセンター京都」開設

2024年10月7日

 (株)SCREENグラフィックソリューションズ(京都府京都市、田中志佳社長、以下、SCREEN GA)は、2024年10月に印刷関連機器の開発・製造を担う京都・久御山事業所に「インク...全文を読む

dp_book_on_demand_hsf2024_tn.jpg

SCREEN GA、「Horizon Smart Factory 2024」で無人化生産ラインを紹介

2024年9月24日

 (株)SCREENグラフィックソリューションズ(SCREEN GA)は、10月9日から11日の3日間、ホリゾン本社びわこ工場内「Horizon Inovation Park」(滋賀県...全文を読む

富士フイルム、進化を遂げる「FUJIFILM Inkjet Technology」

「力強い品質」に評価 〜 SAMBAヘッドとインク技術

2018年11月21日製品・テクノロジー

  • twitter
  • facebook
  • line

「SAMBA」採用の輪転機

 IGAS2018で発表されたもうひとつのデジタルプレスが、富士ゼロックス製輪転インクジェットデジタルプレス「11000 Inkjet Press(仮称)」だ。ヘッドとインクは富士フイルム、用紙搬送やコントロール部分は富士ゼロックスが開発した。

11000 Inkjet Press(仮称)

 プレコートなしで印刷用コート紙に安定した印刷が可能で、1200×1200dpiの高解像度で最高80m/分(画質優先モードで50m/分)、1,200×600dpiの速度優先モードで150m/分の高速印字を実現予定。本番印刷前に高精度センサーにより画像のスジ・ムラを検知し、補正する調整印刷の機能を備えている。

 「従来の輪転タイプのインクジェットプレスは、主流が600dpiだったこともあり、『高速だが品質が...』という印象が否めないところで、対象業務も多くがトランザクション系に留まっていた。しかし今回の11000 Inkjet Press(仮称)は、1,200dpiの『SAMBA』ヘッドを搭載し、新開発インクにより、高速でもコート紙に安定した印刷が可能である。ようやく商業印刷分野をターゲットにできる輪転タイプのインクジェットプレスが誕生することになる」(石田部長)

 プリンタの品質向上により、前後のインラインシステムやワークフローコントローラーを付加することで、省人化、無人化、コスト削減が可能になる。そういうイメージを経営者が理解しやすい出力機と言えるだろう。

 IGAS2018では、来場者から「商業印刷分野で使える輪転インクジェットプレス」としての評価と期待の声があったという。とくに車のバンパーの反射具合や、メッシュ系の靴の蛍光色、また空と山(青と緑)など、あえて避けたい絵柄にチャレンジし、そこで評価を得た。またコミックにおいても、濃淡とグラデーションの再現性に高い評価を得たという。

 その品質について、宮城部長は「力強い」と表現する。

 「従来の輪転インクジェットプレスは、ダイナミックレンジが低く、鮮やかなフォトデータを印刷しても、どうしても浅くて眠たい品質になってしまっていた。11000 Inkjet Press(仮称)にはそれがなく、まさにJet Pressに迫る高精細で、かつ力強い印刷を可能にしている。輪転インクジェットプレスの品質の議論は、この11000 Inkjet Press(仮称)で終わりにできるのではないか。今後は、如何に活用するかに集中できるのではないか」(宮城部長)

先進の「SAMBAプリントヘッド」が高精細な描画を実現

 11000 Inkjet Press(仮称)の最大のポイントは、「SAMBA」ヘッドと新開発のインクのマッチングにある。プレコンディショナーを使わずにコート紙に直接印刷できるというのも、これら技術が寄与している。

 「議論の末、輪転インクジェットプレスでは、プレコンディショナーを使用せずに、1液とすることを決めていた。このため、これまでの常識では、ヘッドの表面で固化して、ノズルが詰まってしまう程、乾燥性能を高めた水性インクを新開発した。インクが吐出するギリギリのところまで、常にインクを循環させる『RediJet技術』を採用した『SAMBA』ヘッドだからこそ、実現した処方で、このヘッドとインクのインテグレーションには絶対の自信がある」(宮城部長)

 一方、石田部長は、同機に搭載されている富士ゼロックスのGX Print Serverにも注目を促している。

 このGX Print Serverは、他の輪転モデルやトナー機の「Iridesse Production Press」に搭載されている内製プリントサーバーのRIP処理能力を高めた拡張版で、高解像度画質での高速処理を実現する。「今後、トランザクション系でもクオリティの高い通知物にはデータ可変へのニーズが高まる可能性がある。そういう時にも追随できる」(石田部長)

新着トピックス

新着ニュース

PAGE TOP