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兵田印刷工芸、印刷ビジネスに新概念を〜「B2バリアブル」の価値訴求へ

商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入事例

2019年4月5日ケーススタディ

 「マーケティング×デジタル×紙」─デジタル技術への積極投資で印刷物製造工程における標準化・自動化を推し進める兵田印刷工芸(株)(兵庫県西宮市笠屋町3-16、兵田好雄社長)は昨年9月、富士フイルムの商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」を導入するとともに、オフセット印刷部門を撤廃。「完全デジタル印刷会社」へと変貌を遂げた同社は、Jet Pressが生み出す「B2バリアブル」という「価値」を訴求することで、新たな印刷需要創出に乗り出している。
兵田 社長

設備投資は「社員教育」

 同社の創業は1966年。阪神間の中心に位置する西宮市において、事務用印刷物をメインに手掛ける印刷会社として起業した同社だが、兵田社長が代表に就任した2000年頃を契機に商業印刷分野へとその事業領域を拡大。当時、阪神・淡路大震災の爪痕が未だに残る兵庫の地において、地域密着型の印刷ビジネスを展開することで、その地域復興とともに成長を遂げてきた。

 そんな同社がデジタル武装を身に纏った印刷会社としてその地位を確立した背景には、「先進技術への積極投資」という企業ポリシーがあった。なかでも同社のターニングポイントとなったのが、2009年の「JDF自動運用開始」である。印刷業に特化した基幹業務管理システム「プリントサピエンス」とハイデルベルグのワークフロー「プリネクト」の連携により、2台の4色機と断裁機をJDFで自動運用。当時は、先進事例として多くの見学者を受け入れたという。

 そして2014年10月に4色機1台を廃棄し、8色機と富士ゼロックスのオンデマンド印刷機「Color1000Press」を導入。ここから同社の「デジタル印刷会社化構想」がスタートする。

 この段階において8色機を導入した理由について兵田社長は、「直需のみの当社にとって8色機は明らかにオーバースペック。しかし、その狙いは『残業ゼロ化』にあった」と説明する。当時現場の月当たりの残業時間は平均で5〜6時間。これでもかなり少ない方だが、8色機導入後は1〜2時間に減少。そこで生まれた余剰労働力を「人間力の向上」に費やすことを社員に推奨してきたという。まさに、いま印刷会社が目指すべき「働き方改革」のひとつの形ではないだろうか。

 「設備投資は『社員教育』である。会社組織の中で通用する社会人としてのスキルを磨く時間を社員に提供する。そのために設備投資を実施する。多能工化を含め、どこの会社に勤めても自ら考えて仕事ができる人材づくりを目指している」(兵田社長)

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商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入事例

2019年4月5日ケーススタディ

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 「マーケティング×デジタル×紙」─デジタル技術への積極投資で印刷物製造工程における標準化・自動化を推し進める兵田印刷工芸(株)(兵庫県西宮市笠屋町3-16、兵田好雄社長)は昨年9月、富士フイルムの商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」を導入するとともに、オフセット印刷部門を撤廃。「完全デジタル印刷会社」へと変貌を遂げた同社は、Jet Pressが生み出す「B2バリアブル」という「価値」を訴求することで、新たな印刷需要創出に乗り出している。
兵田 社長

設備投資は「社員教育」

 同社の創業は1966年。阪神間の中心に位置する西宮市において、事務用印刷物をメインに手掛ける印刷会社として起業した同社だが、兵田社長が代表に就任した2000年頃を契機に商業印刷分野へとその事業領域を拡大。当時、阪神・淡路大震災の爪痕が未だに残る兵庫の地において、地域密着型の印刷ビジネスを展開することで、その地域復興とともに成長を遂げてきた。

 そんな同社がデジタル武装を身に纏った印刷会社としてその地位を確立した背景には、「先進技術への積極投資」という企業ポリシーがあった。なかでも同社のターニングポイントとなったのが、2009年の「JDF自動運用開始」である。印刷業に特化した基幹業務管理システム「プリントサピエンス」とハイデルベルグのワークフロー「プリネクト」の連携により、2台の4色機と断裁機をJDFで自動運用。当時は、先進事例として多くの見学者を受け入れたという。

 そして2014年10月に4色機1台を廃棄し、8色機と富士ゼロックスのオンデマンド印刷機「Color1000Press」を導入。ここから同社の「デジタル印刷会社化構想」がスタートする。

 この段階において8色機を導入した理由について兵田社長は、「直需のみの当社にとって8色機は明らかにオーバースペック。しかし、その狙いは『残業ゼロ化』にあった」と説明する。当時現場の月当たりの残業時間は平均で5〜6時間。これでもかなり少ない方だが、8色機導入後は1〜2時間に減少。そこで生まれた余剰労働力を「人間力の向上」に費やすことを社員に推奨してきたという。まさに、いま印刷会社が目指すべき「働き方改革」のひとつの形ではないだろうか。

 「設備投資は『社員教育』である。会社組織の中で通用する社会人としてのスキルを磨く時間を社員に提供する。そのために設備投資を実施する。多能工化を含め、どこの会社に勤めても自ら考えて仕事ができる人材づくりを目指している」(兵田社長)

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