対談|多角化でコロナに負けない経営:「差別化」と「地域雇用の維持」
佐川印刷・佐川正純社長 × アグフア・岡本勝弘社長
UVインクジェット技術で立体表現 - 「えひめが誇るスゴ技189選」に選定
2020年10月1日マーケティング
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多角化経営に欠かせない多能工化
岡本 ありがとうございます。当社では新しい技術、製品の開発はもちろん、製品納入後のアフターサポートにも力を入れています。
ところで、これまで事務用印刷物の製造をメインとしていた工場をデジタル印刷専用の工場にするという思い切った経営判断に、社員の方からの反応はいかがでしたか。
佐川 70年以上の歴史のある当社ですが、紙以外のビジネスに取り組んだのは初めてです。社員からは古くなったオフセット印刷機を廃棄したのをきっかけに今後の当社の方向性に疑問を感じたものもいたと思います。しかし、デジタル化によって私たちの取り巻く環境も大きく変化し、その波に乗り遅れると生き残る道は閉ざされます。日頃から社員にもそういった意識を持ってもらっていたこともあり、納得してついてきてくれました。
確かに、インクジェットビジネスへの挑戦は新しいことではありますが、これまで我々が培ってきた印刷のノウハウを活かすことでもあります。むしろオフセット印刷では表現できなかった新しい価値の創造が可能です。これまで付加価値とは無縁であった吉田工場が、今では大きな可能性を秘める工場へと変貌し、社員もやる気に満ち溢れています。
岡本 吉田工場を見学させていただき驚いたのは、社員の方の多能工化が進んでいることです。設備が充実しているのはもちろんですが、それを社員の方が使いこなし、さらに1人で数台の機械を動かしている。多能工化がうまく実現されていると思います。例えば、UVインクジェットのオペレータは、インクジェットだけでなく、レーザーカット機、または刺繍用のミシンなどもオペレーションされています。
佐川 吉田工場ではUVインクジェットを使ったサインディスプレイ事業のほか、ハッピやマスクなどのウェアプリント事業も手掛けています。UVインクジェットをはじめとして、溶剤・水性・昇華インクジェットプリンタ、刺繍用ミシン、カッターと設備ラインアップは充実していると自負しています。こうした設備を限られた人数で運用するためには多能工化は必須であり、これも多角化経営における大事な要素だと思います。
岡本 多能工、多角化経営はコロナショックの中で生き残っていくひとつのキーワードだと思っています。今回のコロナショックで日本の経済は大きく変化し、印刷需要は激減しました。減少した印刷需要は今後戻るのか?戻ってこないものも多くあるでしょう。落ち込んだ部分をどこかで補っていかなければ雇用は守れません。佐川印刷様のように他業種への参入による多角化経営へのチャレンジは、取り組む価値のあることだと思います。
佐川 他業種への参入は簡単なことではありません。しかし、何かしらの挑戦は印刷会社が生き残るために必要だと思います。我々がこれまで培ってきた印刷のノウハウは必ず強みとなります。そこに新たな武器を身につける。そうすることで、変化にも柔軟に対応できる会社になると信じて進んできました。今後も印刷の可能性を広げるべく、印刷物の制作に注力し、コロナ禍でもしっかり雇用を守れる経営をしていきたいと思います。
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佐川 70年以上の歴史のある当社ですが、紙以外のビジネスに取り組んだのは初めてです。社員からは古くなったオフセット印刷機を廃棄したのをきっかけに今後の当社の方向性に疑問を感じたものもいたと思います。しかし、デジタル化によって私たちの取り巻く環境も大きく変化し、その波に乗り遅れると生き残る道は閉ざされます。日頃から社員にもそういった意識を持ってもらっていたこともあり、納得してついてきてくれました。
確かに、インクジェットビジネスへの挑戦は新しいことではありますが、これまで我々が培ってきた印刷のノウハウを活かすことでもあります。むしろオフセット印刷では表現できなかった新しい価値の創造が可能です。これまで付加価値とは無縁であった吉田工場が、今では大きな可能性を秘める工場へと変貌し、社員もやる気に満ち溢れています。
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