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クルツジャパン創立50周年記念インタビュー、表面加飾技術で日本の印刷業界に貢献

日本市場進出から50年〜今後も印刷物の高付加価値化を支援

2021年10月20日企業・経営

 高度な表面加飾技術で印刷物の高付加価値化を支援してきたクルツジャパン(株)は今年、創業50周年を迎える。印刷物に高級感を演出する同社の箔転写技術は、国内印刷業界でも高く評価され、これまでに多くのアプリケーションで活用されている。この付加価値ソリューションを日本市場に根付かせたのが、レオナルドクルツ社(ドイツ)のワイター・クルツ氏だ。今回、日本での事業開始50周年を記念してクルツ氏に、改めて同社のグローバル戦略や日本での事業開始の経緯、日本文化がクルツグループに与えた影響などについて聞いた。
レオナルドクルツ社 現CEOのワイター・クルツ氏
--100年以上にわたり成功し続けているクルツのビジネス戦略とは

クルツ氏 122年前、1899年に金箔押しからスタートしたクルツは、現在では薄膜技術に特化したグローバル企業として、さまざまな分野で活躍している。現在の主な分野は、印刷・包装、自動車、一般プラスチック、そして偽造防止のためのセキュリティ技術である。

 金箔(日本にも金沢の金箔工芸の歴史があるが)は、商品の装飾につながり、商品の魅力を増し、多くの場合、顧客の注目を集め、販売性を高めることになる。これは、製造業として最も薄い層を作り、扱うという基本的な能力と結びついている。この「装飾の知識」と「最も繊細で、最も薄く、最も細かい層を取り扱う能力」は、今日でもクルツの世界戦略の最重要成分となっている。私たちは、新しい開発や技術革新に対する好奇心を持っている。例えば2代目のコンラッド・クルツは、手作りのオリジナル金箔装飾技術を工業的な大量生産プロセスで実現するという強い意志を持っていた。

 これにより、当社の製造とユーザーでの当社製品の使用の両方において、段階的な機能開発が行われた。そして1932年に世界初の連続式スパッタリングチャンバーを使用して、初めて本物の金箔をホットスタンプすることに成功している。
純金箔の打ち金がクルツの最初の技術革新につながっている
 3代目である父、ヘルベルト・クルツは、1963年に日本を最終目的地とした7週間の旅を皮切りに、何度も太平洋地域を訪れている。この異文化や環境、機会に対するオープンな姿勢が、クルツの戦略を長期的に特徴づけている。このように目標に向かって決してあきらめず、10年以上にわたっても目標を追い続けることは、日本の考え方や精神性に近いアイデンティティであり、他企業に見られる株主価値のみの考え方とは一線を画している。また、製品を常に改良し、今日の成功に決して満足しないという姿勢は、日本人の考え方に通じるものがあると考えている。

--1971年当時の日本市場に対する印象について

クルツ氏 第二次世界大戦後、日本とドイツの両国は多大な被害を受けた。1960年代初頭に来日した私の父は、日本の伝統的なビジネス文化に触れ、非常に感銘を受け、日本に対して生涯にわたる愛情を抱いていた。父は、息子たちを通じて、この尊敬と愛情をクルツグループ、経営陣、従業員に伝えている。私自身、日本の重要なユーザーがドイツの当社施設を初めて訪問した時のことを覚えおり、こうした初期の交流によって長期的な関係を築くことができた。

--日本でビジネスを展開する上で文化や独自性など、最大の課題となったことは

クルツ氏 日本には、世界でも類を見ない歴史と伝統のあるビジネス文化がある。クルツは60年代の早い時期に、この文化に浸り、研究し、そこから学ぶという貴重な機会を得て、私たちは、日本のユーザーとサプライヤーの間の長期的な関係について学んできた。また、日本市場では、世界的に見ても最高の品質が求められることから、当社では「クルツ・ジャパン・スタンダード」という特別な製造基準を導入し、世界中のクルツ製品の品質レベルの向上に役立ててきた。

 絶え間ない改善は、日本のビジネスや製造業の文化の基本的な哲学と言える。世界中が日本から多くのことを学んでいるが、私たちは早くから日本で学び、習得する機会を得られたことに感謝している。

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 高度な表面加飾技術で印刷物の高付加価値化を支援してきたクルツジャパン(株)は今年、創業50周年を迎える。印刷物に高級感を演出する同社の箔転写技術は、国内印刷業界でも高く評価され、これまでに多くのアプリケーションで活用されている。この付加価値ソリューションを日本市場に根付かせたのが、レオナルドクルツ社(ドイツ)のワイター・クルツ氏だ。今回、日本での事業開始50周年を記念してクルツ氏に、改めて同社のグローバル戦略や日本での事業開始の経緯、日本文化がクルツグループに与えた影響などについて聞いた。
レオナルドクルツ社 現CEOのワイター・クルツ氏
--100年以上にわたり成功し続けているクルツのビジネス戦略とは

クルツ氏 122年前、1899年に金箔押しからスタートしたクルツは、現在では薄膜技術に特化したグローバル企業として、さまざまな分野で活躍している。現在の主な分野は、印刷・包装、自動車、一般プラスチック、そして偽造防止のためのセキュリティ技術である。

 金箔(日本にも金沢の金箔工芸の歴史があるが)は、商品の装飾につながり、商品の魅力を増し、多くの場合、顧客の注目を集め、販売性を高めることになる。これは、製造業として最も薄い層を作り、扱うという基本的な能力と結びついている。この「装飾の知識」と「最も繊細で、最も薄く、最も細かい層を取り扱う能力」は、今日でもクルツの世界戦略の最重要成分となっている。私たちは、新しい開発や技術革新に対する好奇心を持っている。例えば2代目のコンラッド・クルツは、手作りのオリジナル金箔装飾技術を工業的な大量生産プロセスで実現するという強い意志を持っていた。

 これにより、当社の製造とユーザーでの当社製品の使用の両方において、段階的な機能開発が行われた。そして1932年に世界初の連続式スパッタリングチャンバーを使用して、初めて本物の金箔をホットスタンプすることに成功している。
純金箔の打ち金がクルツの最初の技術革新につながっている
 3代目である父、ヘルベルト・クルツは、1963年に日本を最終目的地とした7週間の旅を皮切りに、何度も太平洋地域を訪れている。この異文化や環境、機会に対するオープンな姿勢が、クルツの戦略を長期的に特徴づけている。このように目標に向かって決してあきらめず、10年以上にわたっても目標を追い続けることは、日本の考え方や精神性に近いアイデンティティであり、他企業に見られる株主価値のみの考え方とは一線を画している。また、製品を常に改良し、今日の成功に決して満足しないという姿勢は、日本人の考え方に通じるものがあると考えている。

--1971年当時の日本市場に対する印象について

クルツ氏 第二次世界大戦後、日本とドイツの両国は多大な被害を受けた。1960年代初頭に来日した私の父は、日本の伝統的なビジネス文化に触れ、非常に感銘を受け、日本に対して生涯にわたる愛情を抱いていた。父は、息子たちを通じて、この尊敬と愛情をクルツグループ、経営陣、従業員に伝えている。私自身、日本の重要なユーザーがドイツの当社施設を初めて訪問した時のことを覚えおり、こうした初期の交流によって長期的な関係を築くことができた。

--日本でビジネスを展開する上で文化や独自性など、最大の課題となったことは

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