宇和島から世界へ--。愛媛県松山市に本社を置く佐川印刷(株)(佐川正純社長)は、リコー(株)とオープンイノベーション契約を締結予定で、愛媛県宇和島市の吉田工場で生産した製品を日本全国へ、そして世界へ発信するための取り組みに挑戦している。その一環として、同社は吉田工場にリコーのワイドフォーマットインクジェットプリンタ「RICOH Pro L5160e」、「RICOH Pro TF6251」、ガーメントプリンター「RICOH Ri 2000」を導入。同工場内に2021年12月13日、「Sakawa Digital Printing Factory」をオープンし、新たなビジネス領域拡大に向けた生産ラインの実働を開始した。
佐川印刷は1947年12月に創業。その創業の地となったのが、愛媛県宇和島市の地にあるこの吉田工場だ。2021年12月13日にリコーと共同で開催した業界報道陣向けの見学会の冒頭、佐川社長は「私が小学生の頃に建ったのを覚えている。活版印刷でスタートし、その後、オフセット印刷への転換を図り、主に地元の地域に向け、需要はあるが付加価値は高くない印刷物を生産していた」と自社の生い立ちについて振り返った。
1990年には松山本社・吉田本社の2本社体制を敷き、工場も松山にあったことから、一時は吉田工場を閉鎖することも考えたようだが、「工場の社員は地元で当社の仕事をメインにした兼業農家であったり、地域の公民館の館長をしていたり、消防団に入っていたりと、地域の社会貢献をしている社員も多かった。吉田工場を閉鎖することは、地域経済にも影響があると踏み止まった」と佐川社長は話す。多くの社員、そして佐川社長の出身地でもある宇和島市の経済のためにも、何とか吉田工場を存続させるための手段を考えていたようだ。しかし、当時の吉田工場のビジネスモデルでは、「社員を増やすことはおろか、給料を増やすことも不可能だった」(佐川社長)。そのような中、吉田工場を存続させるための道筋として見出したのが、デジタル印刷に特化した工場への業態変革であった。
「吉田工場では15年前に大型インクジェットプリンターを導入し、ポスターやのぼり旗のプリントを行っていた。そこでその技術を生かし、インクジェットを中心にしたデジタル印刷専門の工場に生まれ変わろうと決意した結果、今の吉田工場がある」(佐川社長)
これにより、社員の給料も増やせると考え、社員にやることをすべて変えていこうと宣言。どうせやるなら徹底してやろうと、「まずはアナログ設備を捨てることから始めた」(佐川社長)。これが6年前の話だ。印刷物の注文には、PODでできるものだけを自社で行い、それ以外はアウトソーシングするようにした。また、屋外広告用の看板のプリンターやデジタル対応の加工機などの設備導入を進めた。設備は徐々に大型化していき、投資額も一桁増えた。
「はじめは今まで使ってきた設備を捨てられ、私を見ると目を伏せるような社員もいたが、これにより社員も私が本気だと気付き、一気に目が輝いてきた。そしてようやく意志の疎通につながった」(佐川社長)
新着トピックス
-
ケーススタディ 門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
-
ケーススタディ 尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日ケーススタディ
「アイデア什器」の(株)リンクス(本社/岐阜県関市倉知2639-1、吉田哲也社長)は昨年11月、富士フイルムの枚葉インクジェットデジタルプレス「JetPress750S」(厚紙仕様)...全文を読む
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日製品・テクノロジー
コニカミノルタジャパン(株)は、デジタルカラー印刷システムの最上位機種「AccurioPress(アキュリオプレス) C14010シリーズ」の発売を記念して4月23・24日の2日間、...全文を読む
最新ニュース
エプソン、世界最少の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が「機械遺産」に選定
2025年8月7日
セイコーエプソン(株)がエプソンミュージアム諏訪(長野県諏訪市)に所蔵している、1968年より発売した世界最小(同社調べ(当時))の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が、(一...全文を読む
リコー、広幅対応DTFプリンター「RICOH Pro D1600」を松井色素化学工業所に供給開始
2025年8月7日
(株)リコー(大山晃社長)は、産業用テキスタイル印刷市場向けに、高生産性を実現する広幅対応Direct To Film(DTF)プリンター「RICOH Pro D1600」について、...全文を読む
コニカミノルタ、反応染料用インライン前処理インク「O'ROBE」の提供開始
2025年7月29日
コニカミノルタ(株)(本社/東京都千代田区、大幸利充社長、以下、コニカミノルタ)は、インクジェットテキスタイルプリンター「Nassenger(ナッセンジャー)」シリーズ用インクとして...全文を読む
佐川印刷、「Sakawa Digital Printing Factory」オープン
宇和島から世界へ製品提供 〜 吉田工場にリコー3製品を一挙に導入
2022年1月5日企業・経営
宇和島から世界へ--。愛媛県松山市に本社を置く佐川印刷(株)(佐川正純社長)は、リコー(株)とオープンイノベーション契約を締結予定で、愛媛県宇和島市の吉田工場で生産した製品を日本全国へ、そして世界へ発信するための取り組みに挑戦している。その一環として、同社は吉田工場にリコーのワイドフォーマットインクジェットプリンタ「RICOH Pro L5160e」、「RICOH Pro TF6251」、ガーメントプリンター「RICOH Ri 2000」を導入。同工場内に2021年12月13日、「Sakawa Digital Printing Factory」をオープンし、新たなビジネス領域拡大に向けた生産ラインの実働を開始した。
佐川印刷は1947年12月に創業。その創業の地となったのが、愛媛県宇和島市の地にあるこの吉田工場だ。2021年12月13日にリコーと共同で開催した業界報道陣向けの見学会の冒頭、佐川社長は「私が小学生の頃に建ったのを覚えている。活版印刷でスタートし、その後、オフセット印刷への転換を図り、主に地元の地域に向け、需要はあるが付加価値は高くない印刷物を生産していた」と自社の生い立ちについて振り返った。
1990年には松山本社・吉田本社の2本社体制を敷き、工場も松山にあったことから、一時は吉田工場を閉鎖することも考えたようだが、「工場の社員は地元で当社の仕事をメインにした兼業農家であったり、地域の公民館の館長をしていたり、消防団に入っていたりと、地域の社会貢献をしている社員も多かった。吉田工場を閉鎖することは、地域経済にも影響があると踏み止まった」と佐川社長は話す。多くの社員、そして佐川社長の出身地でもある宇和島市の経済のためにも、何とか吉田工場を存続させるための手段を考えていたようだ。しかし、当時の吉田工場のビジネスモデルでは、「社員を増やすことはおろか、給料を増やすことも不可能だった」(佐川社長)。そのような中、吉田工場を存続させるための道筋として見出したのが、デジタル印刷に特化した工場への業態変革であった。
「吉田工場では15年前に大型インクジェットプリンターを導入し、ポスターやのぼり旗のプリントを行っていた。そこでその技術を生かし、インクジェットを中心にしたデジタル印刷専門の工場に生まれ変わろうと決意した結果、今の吉田工場がある」(佐川社長)
これにより、社員の給料も増やせると考え、社員にやることをすべて変えていこうと宣言。どうせやるなら徹底してやろうと、「まずはアナログ設備を捨てることから始めた」(佐川社長)。これが6年前の話だ。印刷物の注文には、PODでできるものだけを自社で行い、それ以外はアウトソーシングするようにした。また、屋外広告用の看板のプリンターやデジタル対応の加工機などの設備導入を進めた。設備は徐々に大型化していき、投資額も一桁増えた。
「はじめは今まで使ってきた設備を捨てられ、私を見ると目を伏せるような社員もいたが、これにより社員も私が本気だと気付き、一気に目が輝いてきた。そしてようやく意志の疎通につながった」(佐川社長)
新着トピックス
-
門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
2025年8月8日 ケーススタディ
-
尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
2025年8月4日 ケーススタディ
-
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日 ケーススタディ
-
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日 製品・テクノロジー
-
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日 ケーススタディ
新着ニュース
SNSランキング
- 63sharesミマキ、330シリーズとエコ溶剤インクが3M MCS保証認定
- 43sharesパラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
- 39sharesエプソン、立体物への直接印刷を可能にする「Direct to Shape Printing System」発表
- 38sharesKOMORI、241名が来場した新春特別内覧会のデモ動画(Impremia IS29s」公開
- 29sharesKOMORI、インクジェット印刷機とデジタル加飾機の連携披露
- 27shares日印機工とプリデジ協、IGAS2027の日程決定-2027年8月に東京ビッグサイトで開催
- 27sharesリコー、企業内・商用印刷の幅広いニーズに対応するカラー機の新機種発売
- 26sharesミヤコシ、軟包装向け水性インクジェット「MJP ADVANCED 45X for FILM」発表
- 25shares富士フイルムBI、デジタル印刷作品のコンテスト「IPA」の作品募集開始
- 23sharesリコー、広幅対応DTFプリンター「RICOH Pro D1600」を松井色素化学工業所に供給開始
おすすめコンテンツ
尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
竹田印刷、多様な個性をかたちに〜アール・ブリュット作品を世界に発信
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞